☆ Sanctuary ☆  Smile for you

短編ミステリー第2話



      ☆’.・*.・:★’.・* 隠された慰霊塔の秘密 第2話 ☆’.・*.・:★


(2003.07.07 ~ 07.29制作)
母が、最後に恵理に残してくれた言葉、それが意味するものは。。
その一言が、恵理の人生に思いもよらない出来事に遭遇させる。。
そして、その出来事と慰霊塔にまつわる秘密とは?
時空を超えた短編ミステリー。。。

☆ ある晩の夢 ☆

== 戦禍の中で ==

恵理は、その晩、ベッドの中で夢を見ていた。

レンガ作りの家々が立ち並ぶ街。
銃声があちこちに響いている。
銃声が時折、激しく鳴り響く、
しばらくすると、銃声が止み、
土埃とともに、街がひっそりとした様相を見せる。
街の外に、人影は見当たらない。

「ここは、どこかしら?」
「中世のヨーロッパあたり?」
恵理は、夢の中でおぼろげに、考えていた。

あぁ、また、銃声が響く。
二人の親子が、銃弾の飛び交う街の中を、
兵士にみつからないように、気をつけながら、
小走りして、家へと急いでいる姿が見えた。
親子の手には、食糧らしきものが入った袋が、
抱えられていた。

その親子は、ブロンドの髪と青い瞳をしている。
少女は、13才くらいだろうか。
まだ、幼い面影を残している。

ほとんど瓦礫と化した建物の上から、身を隠すようにして、
一人の兵士が、その走り去ろうとする親子に向けて、
銃口を向けていた。
今、まさに、引き金を引こうとしている。「危ない!!逃げて!!」
夢の中で思わず恵理は、叫んでいた。

乾いた銃声が、響いたかと思うと、
少女の母親は、地面に倒れた。
「お母さん!お母さん!」
少女は、叫んだ。

「クレア、これを持って、逃げなさい、早く、早く。」
「お母さんは、大丈夫だから。」
「さあ、早く、行きなさい!」
遠くなる意識の中で、母親は叫んだ。
少女の名は、クレアといった。
柔らかなブロンドの長い髪と、つぶらな青い瞳をした少女。

クレアは、後ろ髪を引かれる思いで、涙をこらえながら、
銃声が響く中を必死で走った。

隠された慰霊塔の秘密 第2話


© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: