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December 14, 2010
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前回に続き、今回も少し観念的な話題です。いい声を出す、いい表現をするために、例えば「上唇と下唇を○○ミリに開き、息は毎秒○ミリリットル、喉は○ヘルツの音が出るように声帯をふるわせる」という指示が可能であり、その指示を受けたとおりに私たちが体を使えれば、科学的・客観的な指導や演奏をすることが可能になります。でも、残念ながら私たちは機械ではありませんから、仮にそんな指示をされたところでそのとおりに歌うことはできません。そこでよく使われるのが比喩表現です。私もこのブログのなかで比喩的な表現を使って説明していますが、やっかいなことにこの表現、指導者によってはまったく正反対のことを言われることがあり「どちらが正しいんだろう」と混乱させられることもしばしばです。例えば、息を吐くときに「お腹を背中の方に引っ込めていく」と教えられたかと思えば「お腹をできるだけ広げたままで保つ」と言われることもあります。これらの指示の目的は吸った息を最大限使うことができるようにするためのもので、お腹を引っ込めていく方が多くの息が出せる人もいれば、広げたままをイメージする方が長く息を出し続けられる人もいるので、本当はどちらでもいいわけです。このように合唱では非常にたくさんの比喩表現が出てきます。中にはよくわからない指示もあります。そんなときは焦らず、「この指導者はその比喩によって何をさせようとしているのだろう」とゆっくり考えてみてください。また、歌うときは「この部分はこのようなイメージで歌いたい」という、自分のなかでの比喩も豊かにしていければ、表現が必ずかわってきます。歌うときに色とか、旅先やテレビ、写真などで見た風景など、視覚的なイメージを思い浮かべながら歌うのもいいと思います。
September 23, 2008
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これまでに表現のテクニックとして、いろいろなコツを書いてきています。今回は少し理屈っぽくなりますが、それらのコツの持つ意味について考えてみたいと思います。私たちは普段、会話をとおして他の人と交流をはかっています。ですから、相手の言葉、つまり相手が「どう言ったか」ということを重視していると感じています。しかし、例えば相手が悲しんでいるように感じたと考えてみてください。はっきりと「悲しい」と言うこともありますが、たとえそのような言葉がなくても「悲しそうだな」と感じることの方が多いと思います。これはどうしてなのでしょうか?実はある調査によると、人が人を判断するとき、純粋な言葉による判断はわずか7%しかなく、実に93%の部分が言葉以外のこと(非言語的な情報)によって判断しているということです。非言語的な情報とは、体の動き(視線、表情、身振りなど)や声の調子のことなどをさします。「悲しそうな顔」とか「悲しそうな声」というとき、私たちは非言語的な情報をもとに判断しているといえるわけです。まったく言葉の意味がわからない外国の曲を聴いても感情が伝わってくるのは、このような非言語的情報を私たちが受け取っているからにほかなりません。それに、同じ「悲しい」でも、芝居がかった悲しみもあれば、抑制された悲しみもあります。哀感、慟哭だってあります。私たちは気づかないうちに非言語的メッセージとしてこのような悲しみを使い分け、また感じ取っているわけですね。ただ、やっかいなのはこのことが発信する側も受信する側もほとんど「無意識的」に行っているため、どうすれば非言語的メッセージをうまく伝えることができるか意識しにくいのです。合唱の場合、非言語的情報として伝えられるのは、声の高低、強弱、速度、明暗といったことがメインとなり、これに表情、多少の体の動きが加わることになります。これまでにお話ししてきている表現のコツは、非言語的メッセージを多少誇張することによって、より聴衆に伝わりやすくするための方法だというわけですね。
September 10, 2008
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熱心な合唱団員の方のほとんどは、普段の練習でも一生懸命歌われていることだと思います。本番が近くなってきたりすると、一層力を入れて歌われるのではないでしょうか?そのような方のために、今回はちょっと視点を変える話題です。一日の練習の終わり頃か、ひととおり歌ってみましょうという時のどこかで、わざと歌うのをやめて演奏を聴いてみましょう。「サボっているようで嫌」という方は、オリンピックでも話題になった?口パクか、ごく小さな声で歌いながら聴く方に集中してみてください。音程やリズムの不揃い、大げさすぎる表現など、歌っているときには気づかない細かなアラがたくさん聞こえるはずです。大声で気持ちよく歌っている部分が、聞いてみると「うるさいだけで聞くに堪えない」ことに気づいて愕然とすることもあります。いいハーモニーを作るためには、懸命に歌うだけではなく、懸命に聞くことも大切です。毎回する必要はありませんが、疲れているときや、体調が悪くてあまり声が出ないときなどは、「今日の練習は聴くこと」と考えて練習に臨むのもいいかもしれません。
August 26, 2008
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しばらく投稿をサボっているうちに8月に入ってしまいました。今回は前々回の記事にいただいたForstさんのコメントに関連して、アカペラの曲の歌い方を考えてみたいと思います。ピアノ伴奏つきの曲やオーケストラと一緒の曲を歌うのもいいですが、アカペラの曲をうまくハモれた時の喜びは合唱の醍醐味だといってもいいでしょう。でも、アカペラを歌った経験のある方なら、簡単な曲でもハモらせることの難しさを誰もが経験されていると思います。隣の人と音程をあわせることさえ大変なのに、他のパートの音も聴きながらあわせるというのは至難の業。ましてやハーモニーが崩れてしまったら、しかもそれが本番だったら、背筋が凍るような思いをします。では、どのように意識して歌えばいいのでしょうか?・練習では要所要所でピアノを叩いてもらって音を確認する・特に音程のずれやすいところを意識して練習する・比較的音程の正しい人を基準にする・音程が下がることに極力抵抗する(音程があがってしまうこともたまにありますが、大抵は下がります。常に少し高めの音を出すようなつもりで歌うと、音程が下がるのをある程度防ぐことができます)というのがオーソドックスなところだと思います。でも、本番でピアノを叩いてもらうわけにはいきませんし、正しい音程に固執して音楽がとまってしまっても困ります。「まずい」と思ったとき、私は「その時のメロディーを歌っているパートにあわせる」ことを原則にしています。音程が下がってしまっても、メロディーにあわせてハーモニーが作れれば、下がったなりに音楽ができていくからです。みなさんはどう対処されていますか?
August 2, 2008
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声の役割で思わず盛り上がったことに気をよくして、似たような話題を続けます。ちょっと挑発的?な書き方をしていますが、気を悪くなさらずにお読みいただけたらと思います。今回の話題は「気になる声」です。練習中、どこからか聞こえてくる「とんでもない声」。一度気になり始めると、自分が歌いたくなくなるほどイライラさせられる声。大抵の方はそんな声に出会ったことがあるか、日常的に?悩まされているのではないかと思います。その声の「何が」気になるのでしょうか?○正しい音程がとれていない(間違った音を歌う、音程が低いなど)○正しいリズムがとれていない(遅れる、突っ走る、乱れるなど)○正しい発声ができていない(いわゆる「喉声」、過剰なビブラートなど)というところが代表的なところでしょうか。こういった声は、その本人が気がついてさえいれば、練習が進むうちに気にならなくなってきます。これとは反対に、曲ができあがってくればくるほど気になり始める声もあります。それが「自己満足な声」。音程がおかしいわけでも、リズムがおかしいわけでもない。発声もそれほどおかしいわけではない。なのに気になる、目立つ声。「自己満足な声」は、そんな「指摘できるような、できないような」特徴を持っている、「自分だけが気持ちよく歌っている」のがわかる声ということができるでしょう。「自分の大きさ」で歌う「限界まで」声を張り上げるなど、全体のことはお構いなしに歌う声と言ってもいいでしょうか。自分の声を変えていくことを目的に限界にチャレンジすることはどんどんすべきですし、思いっきり歌うことの気持ちよさも否定はしません。が、本番が近づいてきたら自己満足の世界はちょっと自粛して、全体に目を向けましょう。本番では、聴衆は「あなたの声」を聴きたいのではなく、「合唱」を聴きたがっているのだということをお忘れなく。
July 11, 2008
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前回の記事に、かめまりおゆうくんさん、maetosさん、ピピノさんから熱いコメントをいただきました。コメント数も2桁をこえ(自分のコメントも含めてですが)、とても有意義なやりとりになったと感激しています。ぜひ多くの方にお読みいただき、コメントもいただけたらうれしいです。このままコメント合戦で延々と盛り上がってもおもしろいような気はしつつ、私なりの記事の続きを投稿したいと思います。実は前回と今回の記事は一気に書いていたものです。長くなったので、2回にわけました。本来ならコメントの内容も加味して記事を書いた方がいいとは思いますが、記事を書いた時点での私の結論についてまたコメントをいただくというのもいいかと思い、そのまま投稿することにしました。ご了解いただけたらと思います。さて、ようやく前回の続きです。前回、集団の声は経験的に1.ハーモニーの核になる声2.核を支える声3.邪魔にはならないが、役にも立っていない声4.ハーモニーを乱す声にわかれる、あなたはどの声を目指しますか?と書きました。同じ歌うからには、やはり「核」になる声をめざしたいところですが、私はあえて「2.核を支える声」をめざすことをお勧めします。というのは、以前から書いているように、合唱では「声のまとまり=ハーモニーの美しさ」が大切になるからです。一人一人の声が美しくても、それがバラバラで聞こえてきては、合唱としてはいいものになりません。例に挙げるのは悪いですが、音大や芸大などの学生が集まって歌う合唱はこれに近い演奏が多いと思います。個人個人の力量はアマチュアの比ではありませんが、「みんながソリスト」状態になってしまい、結果的に1の声なのか4の声なのかわからないような合唱になってしまっているんですね。合唱はあくまで「みんなの声をあわせること」。このブログでも繰り返し述べているように、「周りの音を聴く」「周りの音にあわせる」努力を怠らないことです。みんなが2の役割をめざせば、いずれは音色がまとまり、全体としてすばらしい合唱になるに違いありません。
July 7, 2008
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「合唱の楽しみは、大勢の人が集まってひとつのハーモニーを作ることである」異論のある方はおそらくいないと思います。大勢の人の声がまとまった瞬間は、歌う側はもちろん、聴いている側にとってもこの上ない幸せを感じることができます。でも、実際に「ひとつ」にまとまるのはなかなか難しいもの。経験的には集団の声は以下の4つにわかれるように思います。1.ハーモニーの核になる声2.核を支える声3.邪魔にはならないが、役にも立っていない声4.ハーモニーを乱す声ちょっとイヤらしい書き方をしましたが、少し詳しくお話ししてみましょう。「1.ハーモニーの核になる声」文字どおり合唱団全体やパートの響き・音色を作る中心になる声です。この「核」がないと、ハーモニーがぼやけたものになってしまいます。「2.核を支える声」声量がやや足りないなどの理由で核にはなっていないけれども、核の声に寄り添って響きを作る声です。「3.邪魔にはならないが、役にも立っていない声」緊張して十分に声が出せない、声量が少ない、響かないなど、ハーモニーの大きな邪魔にはならないけれども、あまり役にも立っていない声です。「4.ハーモニーを乱す声」声量が極端に大きい、喉声、テンポやリズムに乗りきれない、音の間違いが多いなど、合唱に邪魔になる声のことです。さて、あなたの声はどれにあてはまりますか?初心者の方は大抵「自分は3かなぁ」と思われたのではないでしょうか?あなたはどの声をめざしますか?この続きはまた次回に。
June 30, 2008
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前回に続き、別の例を挙げてみましょう。例2:フラットが1つついているとき(ヘ長調の時) *フラットは固定ドのシ(H(B))の位置についていますので、 固定ドのファ(F)を「ド」として読みます。このH(B)の音(移動ドのファ)にナチュラルがついていたらどうなるでしょうか。もともとはフラットがついているのが標準の状態ですので、前回の例とは逆に標準から「半音上がる」ことになる、つまり♯ファと読まなければならないことになります。シャープやフラットが2つ以上ついている時も同じです。それぞれシャープやフラットがついていることが標準の状態である音にナチュラルがついていたら、「半音高く(低く)」階名をつけることになります。このナチュラルの扱いには意外に無頓着な方が多く、上記の例で言えば歌っているうちになんとなく「この音は「シ」より半音低いな」とか「この音は「ファ」より半音高いな」と気づかれることが多いようです。せっかく頑張って楽譜に階名を書き込まれるのですから、ナチュラルの扱いにも気を配って記入してくださいね。
June 19, 2008
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前回お話しした方法で、移動ドで読むときはどの音がドになるのか簡単にわかるようになったと思います。とはいえ、パッと楽譜を見て移動ドで読める方はそう多くないと思います。もちろん?私もその一人。練習会場への往復の電車の中や、練習の合間に必死で楽譜に階名を書き込み、何とか読めるようにしています。さて、階名を書き込んでいると、時々シャープやフラット、ナチュラルといった「臨時記号」に出会います。移動ドで階名を読むときは、このうち「ナチュラル」の扱いがくせ者になってきます。今回はその話題を。通常、シャープは「半音上げる」、フラットは「半音下げる」、ナチュラルは「元の高さに戻す」とおぼえておられると思います。それはそのとおりなのですが、移動ドで階名を読むとき、特にナチュラルがついているときは、「半音上げる(あるいは下げる)」と考えなければならないことがあるのです。例をあげてみましょう。例:シャープが1つついているとき(ト長調の時) *シャープは固定ドのファ(F)の位置についていますので、固定ドの ソ(G)を「ド」として読むことになります。他に何も臨時記号がついていない場合は、上記の読み方で階名がつけられます。ところが、Fの音(移動ドのシ)にナチュラルがついたらどうなるでしょう。この音は、もともとシャープがついているのが標準の状態ですので、ナチュラルがつく(元の高さに戻る)というということは、標準から「半音下がる」ことになってしまいます。つまり、移動ドでは、♭シと読まなければならないわけです。文章だけではちょっとわかりにくいかも知れませんが、この話題次回も続けます。
June 8, 2008
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前回、階名で歌えるようになることの効用を書きました。今回は階名で歌いやすい「移動ド」の読み方です。シャープやフラットがたくさんついている時は、どこを「ド」と読んだらいいか困ります。今回の記事はちまたでよく知られているドの位置を知る方法です。楽譜の左端、ト音記号かヘ音記号の横に#や♭が並んでいる位置を見てください。(複数個ついている場合、一番右端に記号がついている位置に注目します。) シャープの場合は、一番右端の♯の音がついている線や間の場所を「シ」 フラットの場合は、一番右端の♭の音がついている線や間の場所を「ファ」として読むと、移動ドが簡単にみつかります。具体例をあげます。♯が1個だけのときは、五線の一番上の線のところ(固定ドの「ファ」にあたる音)についていますから、ここを「シ」と読みます。そのひとつ上の音(固定ドの「ソ」)が「ド」になります。♯が2個の時は、五線の一番上の線のところと、上から2番目と3番目の線の間(固定ドの「ファ」「ド」)の順番でつきますから、右側の「ド」の位置のところが「シ」になります。そのひとつ上の音(固定ドの「レ」)が「ド」になります。♭が1個だけの時は、固定ドの「シ」にあたる場所につきます。ここが「ファ」ですから、固定ドの「ファ」の音が「ド」になります。♭が2個の時は、固定ドの「シ」「ミ」の順でつきます。右側の「ミ」のところが「ファ」になるので、固定ドの「シ」の音が「ド」になります。♯や♭の数が増えても同じことで、一番右の♯の場所が「シ」、一番右の♭の場所が「ファ」だと覚えておくと便利です。「シャープの「シ」、フラットの「ファ」」というわけですね。結局同じことなんですが、もうひとつ別の覚え方もあります。 シャープの場合は「一番右の♯のひとつ上が「ド」」 フラットの場合は「右から二番目のフラットのある音が「ド」」どちらでも覚えやすい方を使われたらと思います。これを利用して楽譜に階名を書き込んでおくと、♯や♭がたくさんついている楽譜でも楽に歌うことができるようになります。ただ、実際に書き込むときはちょっと注意が必要です。その話はまた次回に。
May 30, 2008
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新しい曲の練習を始めるとき、みなさんの所属されている合唱団はどのように練習されていますか?私がこれまで所属したことのある合唱団では、 1.パートにわかれてピアノで音を弾いてもらいながら言葉で歌う 2.まず「マー」とか「ハミング」で練習する 3.階名で練習する 4.楽譜を渡されていきなり合唱するなど、団のレベルによって様々でした。4のようにいきなり合唱する団に所属していた頃はついていくのが必死でした(笑)。でも、おかげですごく鍛えられたと思います。どんな練習方法であれ、最終的に正しい音程で歌えるようになればいいのですが、私は3の方法で練習することをお勧めします。階名で練習しない団に所属されている方は、ぜひご自分でやってみてください。階名で練習することのメリットは、「音程」を意識するようになることです。音が細かく動く曲や、テンポが速い曲では、知らず知らずのうちに「大体」のところで歌うことが多くなります。特に宗教曲のフーガの部分などでは、似たようなフレーズでも1回目と2回目では一部の音が違ったり、どんどん転調していくこともあります。大体のイメージで歌っているとこのような細かな変化に対して敏感になることができず、ハーモニーもぼやけたものになりかねません。「難しいところほど『階名』で歌えるようになる」ということを目標に練習していただきたいと思います。ところで、階名には「固定ド」と「移動ド」があります。この違いについては改めてとりあげたいと思いますが、一般的には「移動ド」の方が練習しやすいと言えます。ちなみに、私は恥ずかしながら楽譜を見てすぐに「移動ド」に読み替えられないので、いつも楽譜に階名を書き込んでいます。
May 20, 2008
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今回は個人的な話で恐縮です。ここ2ヶ月ぐらい顎関節症に悩まされています。病院に行ったわけではないので本当に顎関節症なのかどうかはわからないのですが、口を開けるたびに顎が「ゴリゴリ」と音を立てます。もともと大きく口を開けたときに「ガクッ」とか「ゴリッ」という音がするなぁという自覚はありました。でも、最近はそれほど口を開けなくても左右から「ゴリゴリ」という音が。。。先月本番があったため、ネットで治療法を調べてみました。結論は「放っておくのが一番」。でも、本番のステージでは「顎が外れてしまったらどうしよう」と気が気ではありませんでした(笑)。冗談はともかく、気になりはじめると普段どおりの発声ができなくなってしまい、久しぶりに冷や汗ながらのステージになってしまいました。顎関節症に限らす、本番に影響を与える不調は数多くあります。歯痛、腰痛などの「痛み」、体や心の「疲れ」、はたまた仕事や家庭の「不安」から、指揮者に対する「不満」まで・・・。それぞれの事情があるので、必ずしも本番を万全の状態で迎えられるとは限りません。しかし、舞台に立つ以上、せめて立っている間だけでも万全の構えで臨みたいものです。それが、お金を払って(あるいは無料でも、時間を割いて)聴きに来てくださる方への礼儀だと思うからです。そういう意味で今回の本番、反省することしきりでした。ところで、顎関節症を経験された方、どのように克服されたか、あるいはどのようにつきあってるかお教え頂けませんか?動かさない方がいいとは思いつつ、気になって癖のように「ゴリゴリ」としてしまう自分がいるもので・・・。
May 13, 2008
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高校や大学などのクラブ活動で合唱をしている団体は、練習に多大な時間をかけているところが多いですね。私は高校時代、1日8時間×5日間の合宿をした経験があります。朝から夕方まで歌いっぱなしで、3日目ぐらいになるともう声が出なくなるんですが、今となっては懐かしい、いい思い出になっています。社会人になるとそのようなことができなるどころか、ひどいときはわずか数回練習に出ただけで本番を迎えたこともあります。長年歌っていると、それでもなんとか歌えるものなんですね。しかし、ふりかえってみると、数少ない練習で本番を迎えた曲はほとんど印象に残っていません。テスト前に一夜漬けして、終わると同時に忘れてしまうのと同じで、ステージの印象さえ残っていないことがあるのです。高校時代に歌った歌を今でも鮮明におぼえているのとは対照的です。これは、ひとつの曲にかけた時間の違いだといえます。だらだらと時間をかけることがいいとは思いませんが、楽譜を開き、読み込み、声を出す、つまり「エネルギーをかければかけるほど」その曲に対する理解が深まり、満足度も高くなります。そして、この「満足感」をどれだけ感じられるかが、「アマチュア」として合唱をしている者の楽しみであると言っていいでしょう。勉強や仕事、家事などの合間を縫って生活していると、合唱のためだけに時間を割くことはなかなか難しいかもしれません。が、「練習をできるだけ休まないこと」、「一日のうちわずかの時間でもいいから楽譜を開いてみること」、「BGMとしてでもいいから練習している曲に毎日触れること」など、少しでも曲を自分のものにする努力を続けてほしいと思います。「満足度はかけたエネルギーに比例する」のです。
May 11, 2008
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今回は久しぶりに基礎的な「姿勢」をとりあげます。正しい姿勢を保とうと思えば思うほど、全身に変な力が入っている気がすることはありませんか。必要以上に力が入ってしまうと、疲れるばかりで思うような声はでるようになりません。体が固まっていないかチェックしてみましょう。時々ひざを軽く曲げてみてください。しゃがむほど曲げる必要はありません。ちょっと緩めてみるだけ十分です。これで少し姿勢がほぐれます。特に高い音、強い音を出すときは、過度に力が入るのを防ぐためにも意識してみるといいでしょう。体の力を抜くために、下記の記事も参考にしてみてください。「わざと力を入れてみる」
April 29, 2008
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前回お願いした署名活動にご協力くださった方、どうもありがとうございました。おかげさまで多くの方からの署名が集まったそうです。今後どうなるかはまだわかりませんし、大阪の他のオーケストラに対する支援も打ち切られる可能性があるそうですが、文化を大切にするための取り組みは今後も続けていきたいと思います。
April 27, 2008
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今回は番外編です。このブログ、そしてブログの記事のもとになっているメルマガ「初心者のための合唱講座」を応援してくださっている大阪の複数の方からメールが届きました。大阪センチュリー合唱団という合唱団に所属されている方からのものです。この合唱団は私も何度か聴いたことがあり、指導されている先生を初め演奏もすばらしい団体です。しかし、最近話題になっている大阪府知事の下で、母体である大阪センチュリー交響楽団への補助金支出が廃止される意向だそうです。当然、合唱団も存続の危機に立たされているということで、団員の方々は現在署名活動に取り組まれているそうです。そこで、ご賛同いただける方々に幅広く署名を集めていただけないかという趣旨の依頼が届きました。詳細は下記サイトでご覧いただけます。http://osaka-century.sakura.ne.jp/このブログでこういった話題をとりあげるべきかどうがずいぶん迷いましたが、真摯に合唱に取り組んでおられる方々の思いがひしひしと伝わってきました。また、個人的にもこの合唱団が存続できるよう応援したいという思いが強く、このような記事にさせていただきました。集約まで日程が限られているそうですので、ご賛同いただける方はお手数ですがご協力いただけたらと思います。今回は、例外的な投稿ということでどうぞお許しください。お読みくださってどうもありがとうございました。
April 14, 2008
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指導者編、今回は「指揮」についてです。指揮者になりたての方、あるいはパート練習などで突然指揮をする必要が出てきた方がまず不安になるのは、「自分の指揮がわかってもらえるだろうか」ということではないでしょうか。その不安どおり「わからない」ことも多々あるんですが(笑)、ある程度慣れてきた方でもこの不安はなかなかぬぐいされないようです。この不安が出てきたら、大抵の方は全身が硬直し、「指揮をわかってもらうため」にどんどん振り方が大きくなっていきます。特に歌い始めの部分を振るときは、ピアノで始まるところでも、「ここからですよ」という感じで大上段に振りかぶってしまうことが・・・。思い当たるフシがある方、ご自分が歌われるときはどうしているか振り返ってみてください。新しい曲の練習が始まってまだ楽譜を必死に追っている頃は別として、歌い始めや終わる時など大切なところでは、指揮者の指示を見落とさないように気をつけていませんか?ということは、自分が振っているときも団員は「ここぞ」というところでは自分をきちんと見てくれているということです。人差し指一本を動かすだけでも歌ってくれますし、親指と人差し指をくっつけるだけで音を切ってくれるのです。ほんの小さな動きだけでも十分に意図は伝わる、ということを念頭において指揮をしていただければと思います。ただし、新しい曲の練習を始めたばかりの時は、上述のようにみんなまだ楽譜を追っていますから、指揮よりも、声を出したり机を叩いたりして、リズムやテンポを示すほうがわかってもらえます。
April 13, 2008
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指導者編を続けます。今回は伴奏してくださる方との関係について考えてみます。アカペラの曲は別として、多くの曲はピアノ伴奏がついています。プロのピアニストに来ていただくこともありますし、メンバーでピアノが弾ける方がなっていることもあります。いずれにしても一般のメンバーよりは音楽的な知識や技術が高い方だと考えていいでしょう。せっかくですから伴奏者の高い力をいかしたいものです。でも、こんなことはありませんか。○指揮者は伴奏者に気をつかってしまう 指揮者になったばかりの方などは、伴奏者にどうしても気をつ かいます。気をつかうのはいいのですが、曲作りの時に言いた いことが言えない関係になってしまっていませんか。 伴奏者の技術が合唱よりはるかに高い時や、伴奏に慣れていな いピアニストの場合、時に「伴奏ばかりが目立つ」合唱になっ てしまいます。 特定のパートが目立ってしまうとき、指揮者はおそらくそのパー トに目立ちすぎないよう指示を与えるでしょう。伴奏に対して も同じように指揮者としてきちんと指示する必要があります。 指示を受け入れてもらえるような関係になっておきたいもので す。○伴奏者は指揮者に気をつかってしまう 伴奏者の側からみると、「こんなふうにしたらいいのに」と思 えることがあっても、指揮者に気をつかって言えない、という ことが出てきます。 指揮者が自信なさげな方の時は「自分が言うとますます自信を なくすのでは」と思いますし、自信満々な方の時は「どうせ言っ たって聞いてもらえない」となるでしょう。 ただ、先にも書いたように伴奏者は専門的な教育を受けている 方が多いでしょうからと、その力をメンバーのために生かすこ とをおそれる必要はないと思います。「伴奏」という重要なパー トを「一人で受け持っている」という意識を持って練習に臨ん でいただきたいと思います。こういったことは指揮者と伴奏者の関係だけの話ではありません。メンバーも同じです。「自分はこう歌いたい」というイメージを持ち表現するメンバーを指揮者がうまくまとめていくという、いい意味での緊張感が指揮者・伴奏者・メンバーに生まれれば、合唱は一段と輝いてくると思います。最後はちょっと観念的になってしまいましたが、指揮者も伴奏者もメンバーも、「自分が合唱を作っている」という主体的な気持ちをぜひ持ち続けてください。
April 9, 2008
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前回に続き、指導者編です。今回のテーマは「時間を守る」です。「何を当たり前のことを」と思われるかもしれません。しかし、まずはこれが基本だと考えてください。時間を守れない指導者は多いです。人数が集まっていないと「もうちょっと待ってみようか」とか、もう少し練習したくて「あと15分だけ」とか・・・。気持ちはわかるのですが、遅れてくる人を待っている合唱団は時間を守っていた人までが遅れてくる合唱団になってしまいます。また、終了時間が延びてしまうと「早く終わってほしい」という気持ちになる人が増えてきて、指導者の思いが伝わらないばかりか、後に予定のあるときは初めから欠席してしまう人も出てきます。授業や会社の研修などで時間が延びたとき、どのような気持ちになるかを考えてみると、終了時間を守ることの意味がおわかりいただけると思います。いくら歌うのが好きな人でも、またどんなすばらしい指導を受けても「時間を延ばしてまで練習してもらってよかったな」という気持ちには不思議とならないのですね。演奏会直前など特別な事情があるときは多少のズレもやむをえないでしょうが、極力決められた時間に始まり、終わることに注意していただきたいと思います。
March 27, 2008
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高校や大学の合唱団に所属されている方で専属の指導者がいない場合、毎年指揮者やパートリーダーを互選することになります。一般の合唱団でも相互に指導しあうことがあります。昨日まで教えてもらっていた人が今日から指導者になるわけですから、任命されると大変。苦悩の日々が始まります。今回は新たに指導される立場になった方に向けての話題です。リーダーになった方の多くがまず悩むのは「指揮ができない!」ということ。テレビでは有名な指揮者が華麗に棒を振ってますが、あんなことそう簡単にできるわけがありません。でも、実はあまり心配する必要はありません。団員の前に立つだけで頭が真っ白になったり、楽譜にかじりつかないと教えられない方もいらっしゃると思いますが、まずは適当に?音楽を進めながら団員の様子を観察してみてください。で、この質問に答えてください。「何人の方があなたを見ていますか?」・・・意外や意外、新しい曲の練習を始めたばかりの頃はほとんど誰もあなたを見ていないことに気づかれると思います。そう、みんな楽譜を追うのに必死でとても指揮者なんか見ている余裕はないんですね(笑)。ですから、逆に言うとあなたもきれいに指揮する必要はないわけなんです。最初の頃は譜面台でも机でもどこでもいいからまずどこかを叩いてテンポを示すこと、つまり人間メトロノームができたらそれだけでいいのです。そうしながら徐々に「ここはどう振ったらいいか」を考え、団員があなたを見てくれるようになった頃に指揮もできるようになったらいいと思ってください。まずはきちんと「叩ける」ことができたらそれでOK。「どうして自分を見ないんだ!」と腹立たしく思えるようになってきたらあなたはもう立派な指導者です!
March 24, 2008
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前回、しばらく指導される方に向けての話題を続けると書きましたが、掲示板にご質問をいただきましたので、今回はそのご質問に関連する話題を投稿します。よろしければ掲示板をご覧になってからお読みいただけたらと思います。団員同士で練習のことを話していると、必ずといっていいほど「うまくできない」「言われたとおりやってるんだけど・・・」という不安げな言葉が出てきます。本人は精一杯頑張っているつもりなのに、もうひとつ自信が持てないという感じです。ところがよくよく話を聞いてみると、「うまくできない」と思っていることはその人にとって必要のないことであったり、すでに十分できていることであることがよくあります。例えば「音程が低いからもっと高めに歌ってください」という指示が出たとします。言われた方はなんとか高く歌おうとします。「まだ低い」と言われたらもっと高く歌おうとします。しかし、OKを出してもらえない。こんな時「高く歌っているのにどうしてなんだろう」と悩み、上記のような悩みが出てくるわけです。このような悩みを持つ人の多くは、実はその指示が自分以外の人に向かって出されていることに気づいていません。全部自分に向かって言われていると思ってしまう「マジメ」な人なんですね。「そこはピアノで」と何度も指示されると、指示を守ろうとする人はどんどん小さくなってしまい、最後には「もうこれ以上小さな声で歌えない」という、なんとも悲しいことになってしまいます。指導者が「○○さん、音程に気をつけてください」「××君、もっと小さく」と個人を特定して指示してくれればこのような悩みは起きてきません。しかし、指導者は全体的な音や雰囲気を見ていることが多いですし、名指しされた方がかえって萎縮してしまう心配もありますから、個人を特定したくない(あるいは特定できない)というのが実際のところです。指示されたことはないがしろにしてはいけません。全体として、またはパートとしておかしなところなわけですから・・・。しかし、自分は気をつけているつもりなのに同じ指摘が繰り返されるときは「果たしてその指示は自分に向けられているものなのだろうか?」と考えてみることをお勧めします。どうしても気になる場合、あとで指導者に尋ねてみるのもいいと思います。私の経験では、気をつけてほしい人ほど指示に無頓着で、きちんと歌えている人ほど悩んでしまうという、本末転倒な状況になっていることが多いです。
March 18, 2008
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久々に投稿します。今回からしばらく、指導される立場の方に向けての記事を書きたいと思います。歌う立場の方も、少し視点を変えてみる意味でおつきあいください。少しでも練習の参考になることがあればうれしいです。今回は、練習中の指示についてです。指導者は「どの部分が悪い」とか「どのようにしてほしい」という、「できていないところ」を指摘することが多いです。そして、歌う側もそれを当たり前のこととしてとらえています。ところで、普段とは違う指導者に練習を受けた後、「とてもよかった!」と思った経験はありませんか?「有名な人に教えてもらえた」とか「今まで考えてもみなかったようなことを教えてもらった」など、「よかった」と思う理由はいくつか見つかるかもしれません。そのような理由のひとつとして、「うまくのせてくれた」、「歌う気持ちを盛り上げてくれた」というのも挙げられるでしょう。上手な指導者ほど、頻繁に「ほめて」くれます。ある部分を直すよう指摘してうまくできるようになると「OK」のコメントをくれますし、うまく歌えている部分は「うまく歌えている」というコメントをくれます。歌う側は、指摘が改善されたのか、指摘されない部分はそのままの調子で歌っていいのかと常に不安を抱きながら歌っています。そういうとき、OKの指示をもらえるととても励みになるのです。別の言い方をしてみますと、「悪いところだけ指摘される」=「うまく歌えない、不安が募る」「悪くないところは指摘しない」=「無視されているのでは」という気持ちになりやすいのが、歌う立場の気持ちなのです。ご機嫌をとったり、おもねる必要はありませんが、できていない部分を指摘して改善されたら必ずOKの指示を出す、うまくいっている部分はそれでいいというコメントをはさむという、「プラスのコメント」もぜひたくさん話してほしいと思います。
March 13, 2008
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突然ですが、みなさん、楽譜はどのように持っておられますか?今度練習に行ったら、ちょっと周りを見回してみてください。以下に挙げるような持ち方をしている方がいるはずです。・新聞を広げるように、楽譜の左右を持っている・ひざのうえに置いている・顔の真ん前に楽譜を広げている・抱きしめるかのように胸の前にくっつけている・片手で持っているなどなど・・・。その時の気分や状況によっていろいろな持ち方をすることはあるでしょう。でも、楽譜の持ち方は、姿勢や発声にも影響してきます。標準的な持ち方をおぼえておいて、できるだけその持ち方で歌うようにしてください。1.左手で楽譜の背を持つ(親指と人差し指の間に挟むように持つ)2.右手で楽譜の右端を持ち、親指をずらしてページをめくる(親指以外の指 は背表紙に添える)3.両肘は軽く曲がる程度に伸ばし、脇をあける。(思い切り腕を伸ばしたり、 楽譜を胸につけたりしない。)4.大体胸の高さに持ち、楽譜で口元や目が隠れないようにする初めのうちはどうしても目の前に楽譜を持っていきたくなります。また、疲れてくると腕が下がってきます。これはこれでやむをえないことです。しかし、目の前に楽譜を持ってくると指揮者が見えなくなってしまいますし、何よりもせっかく出した声が楽譜に邪魔されてしまいます。また、腕が下がってうつむき加減になると、正しい発声ができません。正しい姿勢を保持するために、楽譜の持ち方にもぜひ注意を払ってください。
January 21, 2008
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ちょっと投稿をサボっているつもりだったのに、いつの間にか新しい年が始まっていました。年末に「喉の調子が変だな」と思いながらも第九を2回歌ったら、生活に支障が出るほど声がかすれた状態が1ヶ月近くも続いてしまいました。こんなにひどかったのは初めてのことで、「もう一度発声を見直さないといけないなぁ」と感じました。さて、前置きはこれぐらいにして、今回は(遅ればせながら)新年にちなんだ話題を書きたいと思います。突然ですが、みなさん螺旋階段はご存じですね。一定の範囲をぐるぐる回りながら上り下りする、アノ階段です。出典は忘れてしまいましたが、昔読んだ本に「人間は螺旋状に発達していく」という内容のことが書かれていました。これを例えに、みなさんの合唱生活をふりかえってみましょう。合唱を始めたばかりの頃を思い出してください。ほとんどの方は「思ったように声が出ない」と感じられたと思います。練習を続けていくうち少しずつ声が出るようになりました。ところが今度は「音程がうまくとれない」という課題が出てきます。頑張って音程がとれるようになったと思ったら次は「うまく表現できない」という悩みが・・・。悪戦苦闘しているうちに演奏会が終わり、新しい曲の練習が始まりました。始まってみると、やっぱり「思ったように声が出ない」。・・・・・大抵の方はこのような思いを何回か繰り返し、「なかなかうまくならないや」と感じておられるのではないかと思います。これを螺旋階段に置き換えてみましょう。スタート地点は「思ったように声が出ない」。3分の1まわったところが「音程がうまくとれない」。3分の2まわったところが「うまく表現できない」。1周まわってまた「思ったように声が出ない」。一定の範囲をまわっているのですから、進み続けているうちに何度も同じ場所(=課題)に戻ってくるわけです。ところが知らないうちに高さはどんどん高くなっています。「同じ課題を何度も繰り返しているように見えながら、実は高さが変わっている」これが、発達・成長していることになるといえるのです。「思ったように声が出ない」は、最初『隣の人と比べて』だったのが、2回目は『合唱団で一番うまい人に比べて』に変わっていた、なんてことはありませんか?「音程がうまくとれない」は、最初は簡単な童謡だったのに、今は不協和音いっぱいの現代曲だ、とか・・・。同じような悩みに見えてもレベルが変わっていたら、うまくなってきている証拠なのです。どんなことでもそうですが、一気に階段の上までたどりつくことはできません。同じところを回っているように見えても、少しずつ高いところへ登っているのだと信じて、今年も楽しく歌い続けてくださいね。
January 16, 2008
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オーケストラと歌うときのコツの2回目です。前回は自分の歌う音を探すコツを書きました。ところが、音はなんとなくわかっても、指揮がわからないということもよくあります。合唱団の指揮者は、パート別に細かく指示を出してくれる方が多いです。一方、オーケストラの指揮者は合唱団だけでなく各楽器にも指示を出さなければなりません。合唱だけにいちいち指示を出すことは不可能です。また、拍子を刻むというよりは音楽の流れを体で表現する指揮者も大勢いらっしゃいます。ですから、合唱だけの演奏に比べ、どうしても自分の判断で歌わなければならないことが増えてくるわけです。もちろん、丁寧に指示を出してくれ、テンポやリズムも非常にわかりやすい指揮者もいらっしゃいます。そのような指揮者の場合はとても歌いやすいのですが、音楽的にはおもしろくない演奏になってしまうことも往々にしてあります。このへんが音楽の難しいところでもあり、おもしろいところでもあります。話を元に戻して、指揮がわからなくなったときはまずコンサートマスター(第1バイオリンの最前列の端で弾いている人、指揮者とよく話したり握手したりしてますからすぐわかります)の体の動きやボウイング(弓の動き)を見ましょう。コンサートマスターの動きもわかりにくいときは打楽器のテンポやリズムにあわせるといいでしょう。おまけに。オーケストラの音は指揮者が拍を叩いてから少し遅れて実際の音が出ます。歌い始めの時はこの遅れの間合いを意識しないと飛び出してしまいますから気をつけてください。オーケストラと一緒に歌うのはなかなか難しいですが、それだけに演奏後の感動も大きいですから臆せずに歌ってくださいね。
November 8, 2007
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芸術の秋がやってきました。これから本番を迎える方、特に年末恒例の第九をはじめ、レクイエムやミサ曲など、オーケストラとの曲を演奏される方もいらっしゃると思います。今回はオーケストラとの演奏について触れたいと思います。オーケストラとの曲といっても、ずっとオーケストラと一緒に練習するわけでありません。普段の練習はピアノ伴奏で行い、演奏会までに2~3回程度オーケストラとの練習(通称?オケ合わせ)が入ることが一般的です。初めてオーケストラとの練習に参加すると、まずいろいろな音が大音響で鳴っているのに驚くと思います。驚いているうちに練習が始まると、今度はどの音を歌っていいのかわからなくなることに戸惑います。ピアノ伴奏の場合、澄んだ音でメロディーや和音が聞こえますから比較的わかりやすいのですが、オーケストラはとても幅の広い音が聞こえてくるからです。まして、管楽器や打楽器のそばで歌うことになるともう悲惨で、どんなに大声を張り上げても声がまったく聞こえないということだってあります。こんな時は声を張り上げて無理に歌おうとするよりは、自分のパートと同じ音を演奏している楽器がないか探すことに意識を向けてみましょう。楽譜のピアノ伴奏の部分を見てください。そのなかに自分のパートと同じ音の動きが書かれていれば、何かの楽器が必ずその音を出しています。メロディなら第1バイオリン、ファンファーレ的な部分ならトランペット、低音部分ならコントラバスやトロンボーンなどが同じ音を出している可能性が高いです。音が見つかればしめたもので、その音にあわせて声を出すようにしましょう。最初のうちは圧倒されるだけで終わってしまうかもしれませんが、慣れてくれば楽器の音を聞き分けられるようになってきますから、あきらめずに探してみてください。
October 25, 2007
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まだまだ真夏のような日が続いていますが、合唱コンクールや演奏会のシーズンがやってきました。自分が出演することはもちろん、他の団体の演奏会を聴きに行く機会も増えるのではないでしょうか。今回は、演奏する側ではなく、聴く側の立場から演奏会を考えてみたいと思います。--------------------------------曲が終わったときの拍手、みなさんはどのようなタイミングで始めていますか。終わるなり間髪入れず?他の人の拍手が聞こえはじめてから?なんとなく?「えっ、そんなこと気にしなければいけないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、演奏会を盛り上げるのも台無しにするのも「拍手次第」といってもいいくらい、拍手のタイミングは重要です。例えばオペラのコンサート。ソリストが歌い終わるか終わらないかのうちに熱狂的な拍手とブラボーの声がホールに響き渡ります。これが舞台と観客の気持ちを盛り上げてくれます。反対に、静寂のうちに終わる宗教曲の演奏会。最後の音が消えてから指揮者が腕をおろすまでの数秒間の沈黙が、何とも言えない感動をもたらしてくれます。これらの例のように、曲やその時の雰囲気によって拍手する最適のタイミングは異なりますから、一概に「こうでなければならない」ということはありません。ただ、タイミングを外してしまうとせっかくの演奏が台無しになってしまうこともありますから、「機械的に拍手」することだけは避けたいと思います。私が経験したひどい例を2つ。ひとつめはモーツァルトのレクイエムの演奏会で。この曲は最後の最後に緊張感を持った休止があり、曲の終わりにつながるのですが、この休止の部分で拍手が始まってしまいました。音がとまったので曲が終わったと勘違いした人が拍手を始めてしまい、それにつられて拍手が起きたのでしょう。もちろん演奏は最後まで続きましたが、鎮魂歌どころか喜劇のような演奏会になってしまいました。ふたつめはバッハのマタイ受難曲の演奏会で。最後の音が消えた瞬間、拍手とともにブラボーの声が・・・。マタイ受難曲は、ご存じのとおりイエスキリストの受難を綴っていき、最後には「イエスよお休みなさい」という言葉で締めくくられる敬虔で壮大な曲です。感情移入しながらを聴いていけば、曲が終わった瞬間には、ため息や祈りの気持ちが生じることはあっても、すぐに高らかな拍手やブラボーの声を発したくなることはありません。いい演奏だっただけに、数秒間の静寂・余韻を噛みしめられなかったことがとても残念でした。「では、どこで拍手すればいいのか?」と思われた方へ。演奏が終わって指揮者が動き始めた(指揮台から降りた、客席の方を振り返った)ときに拍手を始めるようにすれば間違いはありません。繰り返しになりますが、拍手のタイミングは曲やその時の雰囲気によって異なりますから、絶対にこのタイミングでないとダメというわけではありません。でも、せっかくの演奏会を盛り上げるためにも、聴く側としても気をつけたいものです。
September 21, 2007
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今回の話題は、4分の4拍子で歌う時の8分音符をイメージしながら書きますので、その前提でお読みください。8分音符が並んでいたり、付点4分音符+8分音符が時々あらわれるような曲では、8分音符の長さは比較的きちんと半拍で歌うことができます。ところが曲の中に16分音符が混ざってくると、8分音符の長さを短めに歌ってしまうことが増えてきます。具体的には「付点4分音符+8分音符」のリズムと「付点8分音符+16分音符」が混ざっている曲(シンコペーションの多い曲)でこの傾向が顕著になります。8分音符の部分がどんどん16分音符の部分と同じ長さになっていくのです。(つまり、「複付点4分音符+16分音符」のような長さで歌ってしまうということです。)シンコペーションの曲では「弾む」意識が大切ですので、多少8分音符の長さが16分音符の長さに近づいても問題ない場合もありますが、「付点8分音符+16分音符」の部分の「鋭さ」や「躍動感」といった意味を強調するためには、「付点4分音符+8分音符」の8分音符の長さをきちんと歌うことが必要です。「付点4分音符+8分音符」が出てきたら、8分音符が短くなっていないか確認してみてください。8分音符は意外に長いことに驚かれると思います。
September 11, 2007
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前回の記事中、「8分の6拍子を4分の3拍子(あるいは4分の4拍子!)」という記述の「4分の4拍子」に戸惑われた方がいらっしゃるのではないかと思います。今回はこのことを例に、拍子について考えてみたいと思います。お手元に8分の6拍子の曲の楽譜があれば開いてみてください。1小節の構成は、「8分音符が3つ+8分音符が3つ」という形になっているか、「4分音符1つと8分音符1つ+4分音符1つと8分音符1つ」をベースとして、あとはこれの変形(「4分音符が1つ+8分音符が3つ」、「付点4分音符が2つ」など)になっているのがおわかりいただけると思います。これは、8分音符3つをひとかたまりとして1小節に2つ分ある、つまり3連符がふたつある2拍子のような感じでとらえる、ということを意味しています。一方、4分の3で感じるというのは、この3連符にあたる8分音符ひとつひとつを1拍としてとらえている(=1小節を3拍×2ととらえている)ということですね。(楽譜をお示しできたら便利なのですが、残念ながら今の私のパソコン力では文字だけでしか表せません。できたら手近な紙に音符を書いていただきながら読んでいただけたらと思います。)このとらえかたをすると、本来1小節を大きく「1」「2」(この「1」の中には「8分音符1つ分の123」という拍が、「2」の中には「456」という拍が隠れています)という「2つのまとまりでひとつ」というとらえかたでなく、8分音符1拍ずつを「123」「123」と数えることになり、ちょっとゴツゴツした感じになるおそれがでてきます。でも、このとらえ方は拍ひとつひとつを意識しているという意味では、まだ大きな問題はないということもできます。では、4分の4拍子にとらえてしまう時とは?先に挙げた「1小節に付点4分音符が2つ」という形が続くと、この付点4分音符を1拍と感じて、2小節でひとつのまとまり(「1、2、3、4」)と感じてしまうことがあります。本来「123」「456」「123」「456」と細かく意識すべきところが「1-2-3-4」とベタな感じ方になってしまうわけですね。こうなると、8分の6拍という拍子であらわされるリズム感がなくなってしまい、曲作りに大きく影響してきます。では、実際に4分の4にとらえてしまう曲はあるのでしょうか?実は、ベートーヴェン「第9」の一番有名な部分(楽譜のMの部分)がこれにあたります。合唱が(カタカナで歌詞を書きます)「フロイデ シェーネル ゲッテル フンケン・・・・」と4拍子のような感じで動いている間、オーケストラは8分音符が6つ連なる速い動きになっています。ここでこの6つを意識しているのといないのとでは、曲の躍動感がまったく違ってしまうのです。 ですから、歌っているときは「今自分は何分の何拍子を歌っている」ということを常に意識していただきたいと思います。今回は長くなってしまいました。
August 26, 2007
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今回からしばらくリズムやテンポに関連した話題に触れていきたいと思います。さて、いきなり質問です。今練習されている曲は何拍子ですか?「4分の4拍子」「最初は4分の4、途中から4分の3にかわる」などと答えられた方はすごいです。多くの方はあまり意識せずに歌われているのではないでしょうか。でも、今歌っている曲(あるいは部分)が何分の何拍子かを意識しておくことはとても大切です。その理由は追ってお話ししますが、2拍子の曲を4拍子のつもりで歌ったり、8分の6拍子を4分の3拍子(あるいは4分の4拍子!)のつもりで歌っていることが意外にあるのです。今回はなぞなぞの出題だけ、というような形で終わります。次回、具体例を出して話を進めますので、よろしければお手持ちの楽譜を見て、拍子記号と自分が実際に感じている拍子が同じかどうか確認し、違っているとなぜいけないのか考えておいてくださればと思います。
August 11, 2007
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発声練習の工夫、第3回です。●お腹を使っていますか? 【方法】 無声音(息だけの声)で「ハッハッハッハッハ」または 「スッスッスッスッス」とスタカートで息だけ出しても らう。息を出すときにお腹が動いているか、手をお腹に あてて確認してもらう。 【目的】 腹筋を使って息を出せているかの確認。このとき、肩が 上下していれば胸式呼吸になっていますから、お腹に意 識を向けるようアドバイスしてください。●歌うときの口の形で歌詞を読んでみよう 【方法】 「ラ」ぐらいの音で、同じ音のままリズムだけつけて歌 詞を読んでもらう。 【目的】 ・発声フォームの確認 ・リズムの確認 ・歌詞の確認 →お経のようになりますが、普段はどうしても音程に関 心が向いてしまいますので、このような練習で時に言 葉やリズム、口の形を確認してもらってください。3回にわたって同じテーマで続けてきました。みなさんもマンネリにならない方法を工夫してみてください。みなさんからも「こんな方法があるよ」というコメントがいただけたらうれしいです。
July 27, 2007
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「発見を促す」発声練習の2回目です。●半音、全音の幅に気づこう【方法】*#の書いていない音はナチュラルがついていると 思ってください1.ゆっくりした速さで「ド-レ-ド-レ-ド」 「レ-ミ-レ-ミ-レ」とある程度の高さまで歌う。 言葉は何でもOK。→全音の練習2.次に、「ド-#ド-ド-#ド-ド」「レ-#レ-レ-#レ-レ」 と歌ってみる。→半音の練習3.今度は「ド-#ド-ド-レ-ド」「レ-#レ-レ-ミ-レ」 と歌ってみる。→半音と全音の練習【目的】半音と全音の間にはかなり音の幅があることに気づいてもらう。1、2の 方法ではあまり音階を意識できないが、3の練習を始めた途端、音程の違いに驚く方が大勢出てきます。●音の変化についていこう【方法】「ド-レ-ミ-レ-ド」または「ド-ミ-ソ-ミ-ド」という練習のとき、通常は半音ずつ順番に音程をあげて歌っていき、適当なところでまたさがってくる練習を行います。このあげかた、さげかたをランダムにして練習してみます。例:「ド-レ-ミ-レ-ド」→「ソ-ラ-シ-ラ-ソ」→「ミ -#ファ-#ソ-#ファ-ミ」など【目的】急な音程の変化についていける耳、口のフォームをつくる今回の練習は、最初のうちはうまくできないかもしれません。繰り返すことで、だんだんと音程に意識を向けてもらえるようになります。
July 16, 2007
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多くの合唱団では、練習開始時に発声練習の時間をとっていると思います。この時間は「のどをあたためる」「これから歌うという構えをつくる」という、スポーツでいえばウォーミングアップにあたる意味を持っています。ただ、いつも同じ練習だと、機械的に声を出すだけの時間になったり、退屈な時間になってしまったりします。せっかくの時間がもったいない!そこで、今回からしばらく、「発見を促す」発声練習の方法をご紹介したいと思います。短い時間で行えますので、指導される方はもちろん、団員の方が家で練習するときの参考にもしていただけたらうれしいです。●一息でできるだけ長く歌ってみよう 【方法】 ・「ラ」ぐらいの高すぎず、低すぎずの音で。 ・言葉は「マ」「ナ」などの歌いやすい音で。 ・声の大きさは各自の自由。(「フォルテで」「ピアノで」と指 示してもOK) ・大きくブレスをしてから声を出し、息が続かなくなるまで出し 続ける。大勢で行うときは一斉に声を出し始め、全員が消えた ところで終了。 【目的】 ワンブレスで歌える長さを意識してもらい、徐々に長く歌えるよ うになる●右の人、左の人と同じ声を出してみよう 【方法】 ・音程、言葉は上記と同じ。 ・大きさはメゾピアノかメゾフォルテぐらいで。 ・今度は息が続かなくなればブレスしてそのまま出し続けてもら う。 ・その際、「自分の右側で歌っている人の声にできるだけ自分の 声を合わせる」よう指示を出す。響きがある程度まとまってく れば終了。 ・同じように「自分の左側で歌っている人の声に合わせる」こと もしてみる。 【目的】 隣の人の声を「聴く」こと、声を「合わせる」ことを意識してもらう次回も続けます。
July 10, 2007
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合唱曲の中には、似たようなフレーズが繰り返されるものがあります。有名なところでは「落葉松」や「死んだ男の残したものは」がそれにあたるといえます。また、1番2番3番と、歌詞だけ違ってリピートされる曲もあります。みなさんはこのような曲をどう歌われているでしょうか。漫然と繰り返してしまうと、聴いている側は退屈してしまいます。この落とし穴にはまらないようにしましょう。 音量は1回目と2回目、3回目は同じでいいでしょうか? 言葉の強さ(子音の強さ)はどうでしょうか? テンポはどうでしょうか?少なくともこの3つを意識して、1回目、2回目、3回目を歌い分けるようにすると、曲の完成度はまったく違ってきます。楽譜に指示がある時はその指示に忠実に従って歌うようにしてください。指示がないときは指揮者の解釈に負うところが大きくなってしまうのですが、歌う人一人一人も「どう歌えばいいのか」を考えながら歌っていただきたいと思います。「繰り返しのある曲ほど全体の構成に目を配る」これを意識してみてください。
June 26, 2007
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合唱は比較的安い費用で楽しめる趣味のひとつだと思います。でも、安いからといって安易に楽しむだけでいいのかな?というのが今回の話題です。200人の合唱団が第9を演奏するとします。月3,000円の参加費で、1万円の合宿を1回し、2万円のチケットノルマ、6ヶ月後に本番を迎えると仮定して、費やされるお金を計算してみましょう。月々の参加費3,000円×6ヶ月×200人=360万円合宿費10,000円×200人=200万円チケットノルマ20,000円×200人=400万円計960万円!!これ以外にも楽譜代や交通費など様々な費用がかかりますから、一人ひとりの負担はそれほど大きくなくても、全体としては軽く1千万をこえてしまいます。約2時間の演奏会は、一大事業なわけですね。そんなすごいことに参加しているのだから「心してかからなくては・・・」という気持ちになりませんか?
June 19, 2007
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今回は日本語の『ッ』と『ン』の歌い方を考えてみます。「あった」「行った」「死んだ」「少年」など、『ッ』や『ン』は随所に出てきますね。普段どのように歌われていますか?音符1つに『ッ』や『ン』が割り当てられているときはあまり問題になりません。気をつけたいのは音符と音符の間に『ッ』や『ン』が言葉が書かれているときです。大抵は均等に言葉を入れていることが多いと思いますが、歌い方によって、言葉のイメージが変わってきます。例えば「あった」の歌い方を考えてみましょう。おおざっぱには 「あった」と均等に歌う 「あっ…た」と、『ッ』を『あ』のすぐ後で歌う 「あーった」と、『ッ』を『た』の直前で歌うの3つの歌い方ができます。これらを比べてみると、言葉の切迫感や緊張感が微妙に異なることに気づかれると思います。どこに入れるか、どのくらいの強さで歌うのかということは、曲によって、また指揮者の解釈によって異なりますから、その都度確認していただく必要があります。『ッ』や『ン』に気をつけると、言葉のメリハリがつくようになりますよ。
June 12, 2007
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今回はスタッカートの歌い方を考えてみましょう。「スタッカート」。意味は「音を短く切って」ですね。ただこの記号はいろんなニュアンスで使われます。以前、フォルテは強く、ピアノは弱くという思いこみを捨てようとお話ししたことがありますが、スタッカートも「短く」という第一義的な意味にとらわれすぎないようにしてほしいと思います。スタッカートはどのような場面で使われているでしょうか?・ダンスのように弾むところ・鋭さを表現しているところ・立ち止まって考えるようなところ・緊張をはらんだところなどなど・・・。いずれにしても音を短く切ることにかわりはないのですが、単純に短くすればいいのではないということはおわかりいただけると思います。上の例に対応させると順に「弾む」「切る」「置く」「とめる(息をのむ)」といった違いになるでしょうか。では、具体的にどのように表現すればこれらの違いが出せるのでしょう?質問しながら身も蓋もないことを言ってしまえば、実は私もよくわかりません。が、以下のことを参考にしていただければ少し表現がかわるかもしれません。・弾む場合は息や音を上の方(高い方)にあげるつもりで切る・切る場合は息を吐き捨てるような感じで出す・置く場合は、わずかに長めに音を出す・とめる場合は、息そのものをとめる感じで切る「短く」ということだけを意識していると、結果的には「乱暴」「雑」に聞こえる歌い方になってしまいますので、「このスタッカートはどんなことを表現させたいのか」ということを意識して歌ってほしいと思います。(当然、乱暴に歌うことを目的にしている部分もあります。)ちなみに、マルカートやアクセントも同様です。「強調する」「強く」という意味だけにとらわれず、「強く」「重く」「ていねいに」「長く」「(言葉を)はっきり」など、その部分にしっくりくる意味に読み替えて歌う練習をしてみてください。
May 27, 2007
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ご存じのように、「がぎぐげご」「だぢづでど」「ばびぶべぼ」を濁音といいます。このうち、「がぎぐげご」については、普通に「がぎぐげご」と歌うのではなく、鼻濁音といって、鼻に抜けるような音を出す必要がある場合があります。「私が」などのように、助詞として使われるとき、あるいは「音楽」「限り」のように言葉の間に「がぎぐげご」があるとき、その言葉は鼻濁音で歌います。「合唱」「月光」など語頭にあるとき以外は鼻濁音にするということです。(あくまで日本語の「がぎぐげご」を歌うときで、外国語で「がぎぐげご」に近い発音があるときは別です。)特に「が、ぎ、げ」は鼻濁音にせずに歌ってしまうと、言葉の響きがとても汚くなってしまいます。これらの言葉が出てきたときはきちんと鼻濁音で歌っているかどうか、いちいちチェックする習慣をつけてください。では、鼻濁音の歌い方です。最も簡単なのは「がぎぐげご」の前に「ン」をいれること。「ンが」「ンぎ」「ンぐ」「ンげ」「ンご」というつもりで歌うとおおむね鼻濁音にすることが可能です。わかりにくい方は、以下の方法を試してください。「が」を歌う時のつもりで説明します。1.「ア」を歌うつもりで口をあける2.そのままの口の形でハミング「ン」を歌う。このとき、舌の奥が上 あごにあたっているのがわかると思います。3.しばらく「ン」と歌ってから、そのまま「あ」に移行する。(「あ」 に変わるとき、舌の奥が上あごからはずれることを感じる。)4.舌の感じがつかめてきたら、「ン」の時間をだんだん短くする上記の方法をとると、「ンア」と聞こえないか心配になる方もいらっしゃると思いますが、歌詞の中で上記のように歌うと、きちんと鼻濁音になっているように聞こえますからご安心ください。「ぎぐげご」は「あ」の部分を「いうえお」に変えればいいわけですね。お試しください。
May 21, 2007
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ステージに立った経験のある方なら誰もがご存じのことですが、本番はものすごくハードです。一般的な演奏会では1時間30分~2時間立ちっぱなしです。リハーサルや移動時間も含めると半日ほとんど立ったままということも珍しくありません。そのうえステージの上では緊張も加わります。なかには気分が悪くなる方もでてきます。私が出演した演奏会では演奏中にひな壇から転落してしまった方もいました。せっかく一生懸命練習してきても、本番で体力がもたなくなってしまったらもったいないですね。本格的な筋力トレーニングをする必要はないにしても、普段から意識的に体を動かしたり、練習に行ったときに初めから最後まで立ったままで練習してみる機会をつくるなどして、2時間程度は立ったままでも大丈夫という自信をつけておいてほしいと思います。
May 17, 2007
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今回はちょっとおもしろい準備運動です。前後左右の人にぶつからないようご注意ください・両手首の力を抜き、かなりの勢いでブラブラさせる・腕をまわす運動で、右腕は後ろから前、左腕は前から後ろにまわす手首を激しくブラブラさせると、しばらくして指先がじんわり温かくなってきます。指先の冷え性に困っている人にもいいかもしれません。腕を逆にまわす体操はうまくできない方が多く、クロールや背泳ぎのようになったりしてけっこう楽しめます。まずは右腕だけ後ろから前にまわし、その後で左腕を前から後ろにまわす動作を付け加えるとうまくいきます。もちろん逆もやってみましょう。
May 3, 2007
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曲の練習を始める前に体操と発声を行っている合唱団は多いと思います。が、「形だけ」になってしまっているところも多いのでは?逆に学生の合唱団では体育会並の筋力トレーニングをしているところもあるようですけれど・・・。一般の合唱団では歌う準備という意味で、「体をほぐす」ことを目的にした体操をするといいと思います。私が体操する係?を命じられたときは肩や首のストレッチ体操を主にすることにしています。ポピュラーな体操をご紹介してみましょう。○首のストレッチ 1.首を右に倒す 2.右手を頭の上からまわし、左耳のあたりをおさえる * 左の首筋がのびます。左の肩があがらないように注意!○腕・背中のストレッチ1 1.右手をまっすぐ前にのばし、左肩の方にもっていく 2.左手の肘を曲げ、右手の肘のあたりを抱えるようにして自分の方に引き 寄せる * 右腕から背中のあたりがのびます○腕・背中のストレッチ2 1.右手をまっすぐ上にあげ、肘から背中の方にまげる 2.左手を頭の後からまわし、右肘をつかんで背中の方におす(後ろからま わせない時は前からおしてもOK) * 右腕から肩のあたりがのびますストレッチで大切なのは息をとめないこと、反動をつけないこと、無理をしないことです。ジワーっと筋がのびていく感覚を楽しみましょう。上記のストレッチは肩こりに効果があるとされています。もちろん、左右両方ともしてくださいね。
April 27, 2007
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歌うとき、何に気をつけていますか。発声発音強弱リズム、テンポなどの答が思い浮かぶと思います。では、「表情」はいかがでしょうか。コンクールや合唱祭を聴きに行くと、「なんとつまらなさそうに歌っているんだろう」と感じる団体に時々出会います。緊張しているのかもしれませんが、みんな能面のような顔で歌っているんですね。聴衆は音を聴くだけでなく、演奏者の動きや表情といった、視覚的な刺激も含めて合唱を聴いています。無表情で歌っていては、どんないい声でも感動は半減してしまいます。合唱では過度に身振りや表情を作るとかえって変な感じになりますが、音や言葉に注意を向けるばかりではなく、歌詞や曲想にあった表情を作ることにもぜひ注意してほしいと思います。ポイントは目と頬。やさしい目つき、厳しい目つきなど、「ここはどんな目か」を意識すると表情が自然に作れます。叫ぶ、笑うといった時は頬の動きを意識するとよいでしょう。いい表情は声の良さにも必ず反映されます。ちょっと恥ずかしいですが、鏡の前で歌ってみるといい練習になりますよ。
April 20, 2007
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新しい年度が始まりました。この講座も久しぶりに基本に戻り、発声の話題です。今回は声をあてるポイントをいくつか書いてみます。ご自分に一番ぴったりする場所を見つけていただければと思います。1.頭のてっぺんにあてる 頭の奥を抜けて、声が頭頂部から出るつもりであててみる2.額にあてる まゆげをあげ、あがった眉のあたりに声をあてるつもりで出し てみる3.眉間にあてる 鼻のつけね、目と目の間から声が出るようなつもりでだしてみる4.鼻の奥にあてる 鼻から息を吸ったときひんやり感じるところに声をあてるつもり で出してみる5.上の前歯のつけねにあてる 上の前歯とはぐきの境目のあたりに声をあてるつもりで出してみる以上、5ヶ所のポイントを書いてみました。やってみていただくと、1が一番深い声、5が一番浅い声になり、逆に1は一番暗い声、5が一番明るい声になることがおわかりになると思います。ご自分のもともとの声質を考え、こもりがちの方は5に近い方、逆に平べったい声になりがちの方は1に近い場所で、一番自分のイメージしやすいところを基本的な声のあてる場所として使うようにするといいでしょう。いくつかの場所のイメージが定着すると曲によって声を使い分けることができるようにもなります。
April 3, 2007
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以前、外国語の歌い方として、リズムやアクセントに注意することを述べました。その練習としてオススメの本をご紹介します。英語の歌を繰り返し聴くことで、カタカナ英語から脱却しようということを目標にしている本です。なんと1曲300回聴きましょう!という内容なのですが、やってみると本当に子音やアクセントが聴き取れるようになってくるのには驚きです。CDがついているのも手軽に始められていいと思います。本来は英語を身につけるための本ですが、英語に限らず外国語を学んだり、歌ったりするときの参考になると思います。英語も歌もうまくなることを目指しませんか?
March 12, 2007
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前回に続き、合唱団の探し方です。3.継続的に活動している合唱団で、特定の曲を演奏するために団員を募集し ているところに入る 前回書いた1と2の中間にあたります。 「普段は固定メンバーで練習しているのだけれども、ある曲のためにど うしてもメンバーが必要」という時に募集されることがあります。 募集される機会はそれほど多くないかもしれませんが、興味のある合唱 団がある方は、その団のことを知るいいチャンスになるでしょう。 このような場合、大々的に募集されることはほとんどありません。その 合唱団に所属している方から口コミ情報としてまわってくることが多い ですので、アンテナを張っておく必要があります。4.合唱講座に参加する 音楽大学や合唱連盟などが主催する一般向けの講座に参加する方法です。 日帰り~数日で、基本的なことを教わったり、著名な方の指導が受けら れたりします。費用の高いものが多く、ひとつの曲をゆっくりと作るこ とができないという難点はありますが、手軽に参加でき、様々な刺激が 受けられる方法です。以上、ご自分にあった方法で他流試合を楽しんでいただければと思います。蛇足ながら、「いろいろな合唱団を渡り歩く」ことをお勧めしているわけではありません。特定の合唱団で自分のスタンスを定めたうえで、よりレベルアップをはかる方法のひとつとして他流試合をお勧めしているとご理解ください。
March 1, 2007
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前回、「他の合唱団でも歌ってみませんか」とお勧めしました。「では、どんなところで歌えばいいのか」ということを今回と次回で考えてみます。他流試合をする方法はいくつかあります。いずれもメリット・デメリットがありますので、探すときの参考にしていただければと思います。1.もうひとつ合唱団に入る 今所属している合唱団とは別の合唱団にも入ってしまうという方法です。 合唱団はどこも独特の「カラー」を持っています。取り上げる曲も違いま すし、メンバーの技術レベルも違います。今の団体よりも技術的に高いと ころや、まったく違う曲を取り上げているところ、団員数が大きく違うと ころを選ぶと、新鮮な刺激を受けることができます。 時間的・金銭的余裕のある方にお勧めします。 ただ、練習日や演奏会の日が重なることがあるなど、「超多忙」な日々に なる可能性があります。練習日や本番の情報を事前に集めて、できるだけ 重複しないところを選ぶようにするといいでしょう。また、「どちらの団 を優先させるか」をあらかじめ決めておかないと、どっちつかずの状態に なってしまいます。「優先されない」団には申し訳ないことですが、自分 なりの線引きをしておくことが必要です。2.特定の曲を演奏する目的で団員募集する合唱団に入る 第九やレクイエム、オペラなど、特定の曲を演奏するために団員を募集し、 演奏会が終わると解散する合唱団に入る方法です。 練習期間は半年~1年ぐらいのことが多いですから、それほど構えなくて も参加することができます。 「この曲を歌ってみたい」、「この先生に教えてもらいたい」という場合 にはお勧めです。 とはいえ、やはり練習日や演奏会の日が重なることもありますから、事前 に情報を集めておくことが必要です。 また、「初心者も歓迎」で募集されている場合は、「歌うの初めてです」 という方から「この曲は何回も歌っている」という方までごちゃ混ぜにな ります。その分、声の統一性や音楽的なまとまりがどうしても弱ってしま う側面があることを覚悟しなければなりません。次回もこの話題を続けます。
February 23, 2007
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今回はまず質問を2つ。あなたの合唱歴(経験年数)はどれくらいでしょうか?今の合唱団には何年ぐらい所属されていますか?これからお話しすることは、例えば「合唱歴5年。ひとつの団でずっと歌っている」といった方向けの内容です。中学・高校・大学の合唱団に入っている方は、嫌でもその団を離れなければならない日がやってきます。対して、一般の合唱団では特段の事情がなければ何年でも同じ団体に所属し続けることができます。歴史のある団になると「この合唱団で歌い続けてウン十年」という方が必ず何人かいらっしゃいます。私は、同じ団体に所属し続けるのは望ましいことだと思っています。技術面でも人間関係の面でも安定した状態が保てるからです。なのに、今回のキーワードは「他流試合のススメ」。他の団体にも行ってみませんか?というお誘いです。ふたつ理由があります。ひとつめは、自分の相対的な実力が確認できること。同じ団に所属し続けると、メンバー間でだんだん「自分の位置」が決まってきます。自分の声が中核になるとか、逆にいつまでも誰かの後をついて歌って安心しているとか・・・。自分がトップになってしまうと、それ以上の進展は難しくなってしまいます。また、誰かと一緒でないと歌えないというのでは、いつまでたっても自信を持って歌うことができません。そんなとき、別の団体で歌ってみると、「自分は歌えると思っていたけれど、もっとうまい人がいる」とか、「あの人と一緒でないと歌えないと思っていたけれど、結構自分だけでも歌えるものだ」とか、新たな自分の位置を発見できることがあります。それがいい刺激になるのです。また、長い間同じ指導者のもとで歌っていると、言われることがだんだん決まってきます。どんなすばらしい先生の指導であっても、「また同じことを言われた」という気持ちになると、心には残りません。同じことを言われても、別の指導者の言葉なら新鮮に響いたり、違う例えで言われて納得できたりすることがよくあります。これが「他流試合」をお勧めするふたつめの理由です。では、どこで他流試合をすればいいのでしょうか。その話は次回に。
February 19, 2007
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「発声練習の時間を有効活用」、今回で一区切りつけたいと思います。今回も音が動く練習の時にやってみてください。●「途中の音にアクセントをつけてみよう」 「ドレミファソファミレド」のド、ミ、ソを強く歌ってみる、ある いはレ、ファを強く歌ってみるなど、いろいろな位置にアクセント をつけて歌ってみましょう。アクセントをつけるときは、腹筋をし ぼってお腹の底から息を出すことを意識してみてください。 自由にアクセントがつけられるのは、お腹の底から声が出せている という証拠です。これまでお話ししてきたことは、わずかな発声の時間を有効に活用するための方法です。漫然と声を出してしまうのではなく、声、音、体の使い方に常に意識を向けるようにしていると、知らないうちに上達していきますよ。代わる代わる、繰り返しお試しください。
February 2, 2007
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このブログのアクセス件数が1万件をこえました。繰り返し訪問いただいている方も初めてご訪問いただいた方も本当にありがとうございます。専門的に勉強しているわけではなく、アマチュア合唱団の一員としての経験をもとに書いているブログですが、アマチュアゆえの視点からできるだけわかりやすく、お役に立てる記事を書いていきたいと思っています。お気軽にコメントやご意見、ご要望をいただけたらうれしいです。ご訪問いただいているみなさまへの感謝を込めて。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。 響和音
January 30, 2007
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