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読書日和 ~Topo di biblioteca~
2004 3月~4月に観た映画
2004年3月~4月に観た映画
ホテルビーナス
花とアリス
レジェンド・オブ・メキシコ
恋愛適齢期
ドッグヴィル
in the cut
デイボース・ショウ
CASSHERN
コールドマウンテン
「ホテルビーナス」
全編を通して、声にならない悲鳴を、涙すら出てこない慟哭を聞いて
いるような気がしました。
何の変化も見えない、生きているのか死んでいるのかも判らない程
穏やかな日常を過ごしているように思えても、その内側ではものすごい嵐
が(過去の出来事への後悔、懺悔などが)渦巻いている人もいる。
生きていることは苦しくて、つらいことばかりのような錯覚を覚える
事があるけれど
「生きているから、いろいろなことがあるのではない。
いろいろなことがあるから、生きていける。」
…そうかもしれない…。
重い靴のかかとを地面にすりあげ、打ち下ろして、硬質で独特なリズムを
生み出すタップの音が耳について離れません。
まるで言葉みたいだと、思いました。
主題歌のLOVE PSYCHEDELICOの歌声もまた硬質なイメージで映画の
統一感を出している気がしました。
映画のプロローグにあたる部分が特に印象深く、
ぐんと引きつけられてしまいました。
草なぎ君は一体いくつの表情を隠し持っているのでしょう…?
アンニュイかと思えば、激しかったり…不思議な魅力を持っている人、
ですね。
青味だけが残されている、ちょっと観客と距離を持たせる映像が全編
ほとんどで使われているのに対し、パンフレットの写真はちゃんと
カラーなのが不思議…(笑)
よく白黒映画を観ていると、その映画を作っている現場も色のない
世界なのでは…という陳腐な想像をしてしまうのですが
(笑…そんなのは柊だけですね)当然ながら現場にはちゃんと色が
あったんだ!という驚きがありました
「花とアリス」
岩井さんの映像は本当に独特で、特徴があるなあと思います。
淡くて、白っぽく霞んだ光をすかしたような色合いと、記録映画
みたいな近い視点が、ず~っと観客の気持ちを登場人物たちに近づける
みたいです。
花とアリス、二人の女の子の会話はテンポが良くて今時の高校生は
こんな会話を交わしているのかな…?と思う一方で柊の同級生にも
こんな子いたなあって懐かしい気持ちになったり…不思議ですね(笑)
柊はもう、高校時代に戻ってやり直すなんてことは不可能なわけですが
(当然です…寂しいけど)その代わりこれから少女時代を迎える娘たちが
側に居るわけで…娘たちの未来のことなど想像してしまいました。
(双子なだけに、おんなじ男の子を好きになったりして…花とアリス
みたいに、いろんな駆け引き楽しんじゃったりするのだろうか…?
などなど)
女の子二人の気の置けないテンションと、間に男の子を挟んだときの
ちょっと緊張感をはさんだ距離感とのコントラストが良かったです。
「可愛い…!」とにっこり微笑んじゃう感じです。
レジェンド・オブ・メキシコ
観終わった後、「ああ良かった、満足満足♪」という風には単純に割り切れない映画でした。
柊の場合(笑)
それは多分…
「そういう理由で人の命を奪ってしまっていいの~」と誰かに確かめたくなっちゃうような場面が
多々あったり(やはり銃社会は恐ろしい…)、物語がそれを肯定してくれるほど
勧善懲悪の世界じゃなかったりするためではないか…と思いました。
アントニオ・バンデラスとジョニー・デップの競演♪という単純明快理由で観に出かけた柊には
かなり過激ではありました(笑)
かなりシリアスな内容か…と思うとコメデイー?と思える場面も散りばめられていて、
その辺りは好きです♪
ジョニー・デップ…こういう残酷さを秘めた悪徳っぽい役柄でも、後半かなりきつそうでも、
転んでも?ただでは起きなさそうな力強さ(しかも飄々とした雰囲気)はやっぱり好きだ~
恋愛適齢期
こういう映画を観ると単純に、
「年齢を重ねることは怖いことじゃない」って思えてくるから不思議。
むしろ素敵なことだと思えてきます。
(もちろん自分自身の努力も必要☆)
恋の力はすごい。人を変える魔法の力そのもの…。
ジャック・ニコルソンがその渋い声に似合わず、おちゃめなおじさんを演じていて笑ってしまう
ダイアン・キートン演じる女性の娘の恋人役…というのに最初驚きましたが…。
映画館で映画を観ていて、客席のあちこちから笑い声が響く…なんて映画は久しぶりな気がします。
その笑い声が客席に一体感を生み出して、何だかとてもいい雰囲気、幸せな気分になれました。
ダイアン・キートン演じる女性エリカもとても素直な印象で、
歳を重ねるに従って考え方をかたくなにしていくのとは対称的に、
むしろ余計なものをそぎ落としてシンプルになっていくみたい。
白い服装がとても似合って見えたのもそういう印象のせいかな…?
二人の男性に挟まれて…なんて女性の目からすれば随分と嫉妬の対象になりそうな?
役回りなんだけど、なんか…憎めない(笑)可愛らしくて。
あれだけ感情を素直に表現できる人になれたらいいなあ、と思います。
キアヌ・リーブス演じる青年医師が年齢差を超えて惹かれる気持ちもわかる気がします。
(そういう展開になって欲しいぞ!…という柊の願望ももちろん、あったかも 笑)
もう10年位後に観たら、また違った思いで(母親と娘の関係など)観ることが出来そうな映画でした。
ドッグヴィル
観終わった後…なんて言葉を繋いだらいいのか混乱する。
閉塞的な環境で自分より弱い立場にある人間を残忍なほどに追い詰め、
負の人間性に対する生理的嫌悪をこれでもかと掻き立てる一方で、
自分自身にも同じような怪物が潜んでいるのでは…?と示唆される。
他人の価値観、考え方に理解を示すことの出来ない心の狭さや無知。
自分の良心に「こんなことはしたくないんだ」と言い訳しながら
本能や優越感、快楽に操られていく人々…。
閉塞的な村に住む人々に対して嫌悪感を募らせる一方で
衝撃的なラストに救いようのない気持ちになる。
(でも自分が彼女だったら、彼女の立場に立てたらきっと同じことをする…気がする。
少なくとも許すことは出来ないはず。)
怖い、残酷すぎる映画。
だけど目をそむけることは出来なかった。人間だけが、同じ人間に対して優越感や劣等感を持ったりする。
きっかけは小さなことで、自分だって気持ち次第でどちらの立場にもなりうるのだと。
駄目だ。なんだかうまく気持ちが言葉にならないみたい。
観た後の気持ちが整理されてないから…ですね。きっと。
扉を開ける…閉めるといったパントマイムだけが映画が虚構であることを唯一思い出させてくれる。
映画の帰り道、Mr.Childrenの「シフクノオト」を購入しました。
「ドッグヴィル」は人間性に対して不信感を募らせるようなメッセージ性が強い映画だったけど、
Mr.Childrenの訴えかけてくる詩やメッセージはその対極にあるもので…
桜井さんの歌声を聴いていたらとても泣けてきそうです。
in the cut
予告編を観ただけでは柊が観たい、という感じの映画ではありませんでした。
足を運ばせたのは江國香織さんの推薦文です。
江國さん曰く、
「
完璧。
カンピオンはいつも斟酌なしに
人の内側の闇に光をあてる。その怖さと、その美しさ。
言葉にとらわれている女主人公の、脆さと強靭さ。
果物を剥くみたいに、心を剥かれてしまう。」
…だとすれば、観に行ってみたいと思ってしまうじゃないですか!(笑)
柊の感想はというと、猟奇的な殺人事件と主人公の心理とどちらに焦点をあわせてみるべきなのか、
その境界がとても曖昧な感じで、不安な落ち着かない気持ちにさせられました。
それを狙っているなら、ぼかすような映像の効果とあいまってとても成功している…と思います。
メグ・ライアンの新境地…とあるけれど、優れた女優さんならどんな役にでも取り組めると思うし、
むしろ一つの固定されたイメージで見られるのは悔しいんじゃないかと思います。
何かのインタビュー記事でメグ・ライアン自身は自分の出演している映画のような
甘い虚構の世界を信じていない、というのを読んで以来、これまでのイメージとは全く逆の
今回みたいな役柄を一度観てみたい…と思っていたのですが、
その意味では期待通りの等身大の彼女を観た、気がしています。
もしもメグ・ライアンが演じたフラニー役をニコール・キッドマンが演じていたら
どんな風に仕上がっていたかな?と想像してみたりもしたけれど、
観終えてみればこの役はメグ・ライアンで良かった、と思います。
残酷な場面があっても、メグ自身が持っている(演技云々とは別の)「甘い」雰囲気に
映画が救われていると思えたから…。
デイボース・ショウ
離婚・婚前契約をテーマにした映画です。
こういう映画は、扱うのがとっても難しいのだろうな、まとめるのが難しいなと
思います。
以前「ローズ家の戦争」という映画をコメデイだと思って観ていたら、内容がどんどん
エスカレートしていってその悲劇的?な結末に
、ときた事があるので
そういう雰囲気になったら嫌だなあと観る前は心配していました(笑)
でも、そんな心配は無用でした。
主演の二人、ジョージ・クルーニーとキャサリン・ゼタ=ジョーンズのおしゃれで
ゴージャスな雰囲気とユニークな掛け合いにくすくす笑っちゃう感じです。
(弁護士という役どころ…言葉の巧妙な駆け引きが生きてきます)
ジョージ・クルーニーは海外ドラマ「ER」の小児科医役を演じていた頃から
何やかやと観てしまってますが…こういうコメデイっぽい、女性に振り回されて
あたふたしちゃう役どころもちゃんと似合うのですね。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズは「トラフィック」にしても「シカゴ」にしても
“ゴージャス”という言葉は彼女のためにあるような気がしています。
何というか…「女は強い」というようなパワーみたいなものを貰える人です。
CASSHERN
もとの原作も知らないし、描かれている世界の設定などなど諸々のことを
全く知らずに観に行ったことが良かったのか、
柊はこの映画すごく良かったな…と感じています。
アニメを原作にした…もっと軽い感じの、映像のみを追求したようなそんな映画かと
思ってましたが、全然違いました。
戦争に対するメッセージ性が物凄く濃くて、重たいです。
それを批判するような感想などもサイトで色々読んじゃいましたが、できれば
そういう感想は目にしたくなかったな…なんて思うほどです。
期待が大きいほど批判も多く集まるんでしょうけれど。
公式ホームページのリンクを上にはってありますが、BBSはあまり読むのは
お薦めできない、気がします。
これから観る人にも、観た人にも…ね。
(賛否両論どちらの意見も真摯に受け止められる!
という方は一読してみるのもいいかも?)
いろんな映画の影響も感じるけれど、あの色彩感覚は監督独自の個性だなあと
思います。降る花びらとか…とても幻想的な映像です。
「原作と違う」などという意見も聞きますが、むしろそう聞くと原作に対しての
興味が湧いてきます。
監督がこの映画で伝えたい、と思ったことのひとかけらでも、
柊は受け取ることが出来たかなあと思います。
宇多田ヒカルの「誰かの願いが叶うころ」の歌詞が映画を観た後だと一層
じんわり・・・きます。
コールドマウンテン
今すぐ、世界から戦争なんてなくなってしまえ…!と思います。
過酷な状況に置かれても、理性を保つことが出来るのは
心に、自分以外の大切な人への純粋な思いや希望を失くさずにいる人だけ…。
心を麻痺させてしまったら…残酷なことも、理不尽なことも、わけもわからず
流されるまま受け入れてしまいそうです。
そんなことは絶対嫌だ。そんな風にはなりたくない。
だけど…直視できないほどの状況が襲ってきた時には
理性を保とうと努力するよりも、周りに押し流されるか、いっそ狂ってしまった方が
ましかもしれない。
どうして、こんな矛盾した考えが同時に浮かんでしまうんだろう。
「21世紀の風邪と共に去りぬ」…かあ。
スカーレット・オハラのあの毅然とした逞しさを、柊はレニー・ゼルヴィガーの演技に
感じました。持っている雰囲気は大分違うけれど。
彼女の過酷な状況に負けまいとする精一杯の逞しさに、観ている人も助けられる
気持ちがするのだろうと思います。
ニコール・キッドマン…いつ観ても、綺麗な人だなあと思います。彼女が出ていると
思うと、その映画を必ず観に行きたくなります。
ジュード・ロウも、とても目の綺麗な人でした。
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