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2008年10月~12月に観た映画
2008年10月~12月に観た映画
パコと魔法の絵本
容疑者Xの献身
イーグル・アイ
イントゥ・ザ・ワイルド
ICHI 市
レッドクリフ part1
彼が二度愛したS
ブーリン家の姉妹
ハッピーフライト
ブラインドネス
僕らのミライへ大逆転
WALL・E ウォーリー
地球が静止する日
ワールド・オブ・ライズ
K-20 怪人二十面相・伝
パコと魔法の絵本
笑って笑って、ほろりと泣かされてきました。
*「パコと魔法の絵本」公式HPは→
こちら
とにかく出てくる役者さん役者さん、み~んな観ている方が「唖然」としてしまうほど
はちきれてるのがイイです
何とも言えません!癖になりそう(笑)
一見して誰が誰やらわからない扮装をしている人もいて、今後の役者イメージは
大丈夫なのかっ!?と思うくらいです。
ああ、でもこの映画ではそれ位テンション高くないと!!
柊が一番好きなのは堀米さんを演じた阿部サダヲさん。
登場するたび笑ってしまいました。
土屋アンナさんの看護婦さんも好き。
とても妻夫木さんに見えない妻夫木さんとのやりとりが好きでした。
ああ、上川さんがピーターパンのタイツ姿に…
(この間録画した「柳生一族の陰謀」まだ観てないのに…笑)
映画の見所、劇の部分の実写とアニメとのカラフルな融合シーンはすごいですね。
違和感なく、絵本の中に飛び込んだ―って感じがしてわくわくしました。
演じていながらときどきしらふに帰ってる面々が面白くて好きでした
中島哲也監督の映画を観るのは初めてです。
「下妻物語」も「嫌われ松子の一生」も未見です。
どちらも柊についていけるか自信なくて観てなかったのですが観てみたくなりました。
容疑者Xの献身
*ネタばれ、結末を明かしてます。原作未読・映画未見の方は読まないでください!
「献身」という言葉と対になる言葉があるとしたら柊はそれは「重荷」だと思う。
原作本を読んで「感動した」「泣いた」といった感想を多く目にしたけれど
柊はそんな風にはとても思えなかった。
むしろそんな風に尽くされたら、どうやってそれに報いればいいのかと思った。
石神は自分の行為が花岡親子を幸せにすると、それしか考えられなかったのだろうか。
「重荷」になるとはまったく想像しなかったんだろうか。
花岡親子にしても、もし、石神が自分たち親子をかばって
身代わりとして出頭しただけだったなら
他の犠牲を何も払っていなかったのなら最後自首したりはしなかったんじゃないか。
むしろ彼の指示通り自分たちが幸せになる道を選んだのではないか?
石神の願いを聞きいれずに、謎を解き明してしまった湯川助教授。
石神を友人と思うなら謎は謎のままにすることも出来たのではないか。
何故、石神の願いを切り捨ててまで、解決に協力したんだろう。
普段の助教授の性格なら、全く第三者の命など重要視しなかったろうに。(と、思う)
結局のところ石神も、花岡親子も、皆救われなくなってしまったことを
どう思っているのだろう…。
それでも構わないとすべてを明らかにしてしまった湯川助教授はやっぱり冷徹人間では。
・・・と原作本を読んだ時にはかなり後味が悪く、どんよりした気持ちになりました。
そもそもガリレオシリーズは短編にしろこの『容疑者Xの献身』にしろ
トリック重視で登場人物の造形は軽視されてる印象を持っていたので
はっきりいって好きな作品ではありませんでした。
・・・が。
連続ドラマ化された作品をみたとき、そしてこの映画でも
原作ではずぼっと欠落している登場人物の人間らしさが
役者によってちゃんと血肉と感情を与えられ、そのおかげで原作以上の作品に
仕上げられた稀有な例では、と思いました。
*「容疑者Xの献身」公式HPは→
こちら
とくに今回、数学者石神を演じられた堤さんが作り出す存在感は感激もの。
怪しい、怪しすぎる。全編通して不気味とすら感じられるのに、
最後の慟哭はまるで無邪気すぎる子供のようで、観ているこちらまで悲しくなってしまった。
どうして彼の願いは最後まで叶えられなかったのか。
ここで原作本どおりなら「おのれ湯川め」と思うところなのですが
福山雅治さん演じるガリレオもまた、石神が願うのとは違うやり方で彼を救いたかったのでは、
と彼自身の苦悩をそんな風に感じさせてくれたので。
物語の最後はほんの少し救われた気持です。
実を言えば原作を読んだとき、柊は石神のイメージを(何故か)佐野史郎さんで読んでました。
だから予告で堤さんが演じられると知った時は「うーんどうかな」と思ったのですが
(なにせ他の映画で京極堂という謎解き役を演じている人が犯罪者という真逆の立場を
演じるというのは…どうかな、なんて思ったり)
ああ、だけど堤さん演じる石神は柊の貧弱なイメージなんかはるかに超えてて、観ていて
ぞくぞくしました。
もしも、完全犯罪を遂行出来る職業があるとすればそれは「数学者」でも「物理学者」でもなく
「役者」じゃないかと思った程です。
公開日にテレビ放映された『ガリレオΦ( エピソードゼロ)』 を観てから映画に出かけたのですが
物語が微妙に繋げられていて「おお!」と思いました。
石神と初めて会話を交わしたベンチ、であるとか。
なんか、しんみり、してしまいました。
原作本は苦手ですが映画版「容疑者Xの献身」は好きです。
もう一度観てみたい、なんて思います。
イーグル・アイ
事件に巻き込まれていく二人同様、観ている側にも考える暇を与えない展開がスリリング。
それでいて、自分もまた二人の行動を監視している風でもあるのだから…
そういう視点の面白さがあるのかも。
監視しているのは誰なのか、その目的は何なのか。
判断に躊躇していたら命にかかわるけど、言うがままになるのも恐ろしいという板挟み。
やっぱり自分ならどうする?と考えちゃいます。
(走り回る体力も運動神経もないからきっと“選択”されないだろうけどー)
*「イーグル・アイ」公式HPは→
こちら
☆ここから先は内容に触れているので映画未見の人は読まない方がいいと思います。
希望的観測で決断を下してしまうこと、マニュアル通りの(視野の狭い)行動しか出来ないこと、
どっちもどっちだなあ…なんて柊は思いました。
人間って基本的に「自由」を望むけど、切迫した状況になると流れに身を任せた方が気持ちが楽だったり、指示を仰いで行動する方を望んだり…そんな部分をどこか皮肉っているようにも感じました。
それまで人々を監視する側に回り、「彼女」の指示を仰いでいた人々が
逆に標的にされるようになった途端「彼女」を悪と見なす(「自由の敵」といったかな)なんて
人間ってどこまでいってもご都合主義なのかもしれない…ぞ?
主人公の男性を演じたシャイア・ラブーフもどんどん“大人”になってきちゃいましたね。
初めて観たころはまだ全然少年っぽかったのに。
私生活面では何かとお騒がせしているようですが、無事役者として大成してもらいたい…
なんて柊は期待しています。
(以下は映画とはちょっと離れて脱線…
)
今回主人公が双子という設定でしたが、こういう展開は「双子の親」としては悲しくなります。
別々の人間なんだからいろんなことが違って当たり前、ということが
“双子”という括りに掛かると何故かそういう風には見られないってことが辛いです。
親も含め、周りの目もそうだけど本人たちにとってもそれがすごく負担という風に描かれる。
「双子なら同じはず」なんて前提条件そのものがおかしいのになあ。
どうしてそれを望まれるのかなあ…。
それで兄弟同士が疎遠になったり、親との間に確執を生んだり、そういう展開は
フィクションとはいえ嫌だな、と思います。
映画そのものは面白かったけど、ね。
イントゥ・ザ・ワイルド
観る前は究極の自分探しの旅…を描いた映画なのだと思ってました。
だけどアレックス(クリス)は自分という人間をよく知っている人だ、という印象を受けました。
両親への憤りや、自分の求めるもの、望むもの…。
なのになぜこんな厳しい旅を自分に課したんだろう…??
*「イントゥ・ザ・ワイルド」公式HPは→
こちら
もしアラスカから無事に帰ってきていたなら彼はどういう人生を送ろうと考えていたんだろう?
戻ってきたとしても、旅に出る前の生活には戻れなかったんじゃないか…なんて思うと
なんだか悲しくなってしまいます。
映画の主旨からは離れてしまうかもしれないけど、
子供の前で両親が喧嘩したり憎みあったりするのは本当によくないことだ、と思いました。
よく「親がなくとも子は育つ」なんて台詞を耳にしますが、実際は両親が互いを理解しあい
仲良くしている姿を見て育つ方が絶対子供は幸せな筈だから。
なんだかね…まったく喧嘩をしないというのは無理だと思うけど
せめて子供の前では避けよう、と思います。
「子供が親を見る目は厳しい」という台詞がありましたが、それは本当だなーと思う。
両親には責められても仕方がない面が確かにあったかもしれないけれど
こんな形で子供に背を向けられたら…気が変になりそうなくらい絶望してしまうと思います。
旅から無事戻ってきたなら、互いを許しあって、受け入れあっていけたのかも…
ただ時間がもっと欲しかったのかも…なんて想像すると切なすぎるじゃないですか。
自然の中で感じる孤独より、家族の中で感じる孤独の方が痛いんだなあと感じました。
もしも人間が自然の一部だったなら、一人でも厳しい環境の中でも、その輪の一つとして
生きていけるのかもしれない。
だけど実際は人間は自然には完全に溶け込むことのできない異質な存在なんだな、と
大自然の中に立つアレックスを見て思いました。
「幸福が現実となるのは、それを誰かと分かち合ったときだ。」
そんな言葉をただ一人きりの場所で書き綴るなんて…。
自分探しってどういう行為をいうのかな。
現在の自分の状況からの逃避?
自分という人間を受け容れるようになるために必要な時間や経験?
自分という人間を見つけても、見つけられなくても、ちゃんと帰ってこなければ駄目だ、と柊は思います。
アレックスが何故旅に出たのか…はわからないまま。
でも、だからこそいろいろ考えさせられてしまうのかもしれません。
ICHI 市
時代物のよさって、あえて描かない、見せない部分にあると思うのです。
例えば…人情であるとか。
秘めている部分を察して相手を思いやる…といいますか。
うーん、あまりに説明されすぎ、見せられ過ぎて「そうですかー」としか思えなくなっちゃう
感じが残念な気がしました。
綾瀬はるかさんの座頭市…美しかったのに…もったいない…。
辛い過去を背負っているのだろうことはそれまで彼女が属していた集団のしきたりや、
彼女の今の表情などを見れば十分想像できます。
観客が期待して観るのは、彼女が今の自分をどう考え、どう生きていきたいのかであって
下世話に感じるほど彼女の過去を暴き立てるように見せることじゃないと思うのです。
少なくとも柊はそう思って観てました。
女を邪な目でしか見ない男たちが多く登場し過ぎて辟易してしまった…というのもあるかな。
ばっさばっさと斬り捨ててくれても、それで清清した!という気持ちにはなれないのが
「女」だと思う。悲しいことに。
剣を抜くことが出来ない侍、十馬にしてもそう。
刀を抜けないというだけで、過去にどんなことがあったかなんてなんとなく想像がつくわけで。
なんでそこでぺらぺらとじゃべりまくるかな、己の過去を。
それならいっそ竹光しか持たないとか、峰打ちに徹するとか。
その方が市と対照的な部分が際立って見えた気がする。
万鬼の顔にしても、仮面の下に何が隠されていたのか、なんて最後まで見せられない方が
怖く感じられたんじゃないかなあ…。
そもそも何で隠してたんだろう。
隠さない方が皆に恐れられていいんじゃないの、なんて思ってしまった。
意外と小心者だと思います、万鬼。
何でもかんでも隠していては「説明不足」に陥っちゃうかもしれませんが
「言葉(セリフ)」に頼り過ぎ、観たくない描写を見せすぎ、という印象は拭えません。
“目が見えない”という市の設定が生きてこないような気がする。
目が見えないからこそ、見えてくるもの、心でしか感じ取れないもの、を描いて欲しかったんだと思う。
そんな中で好印象を残してくれたのは虎次を演じた窪塚洋介さん。
役柄を自分の個性に引っ張っるタイプだと思うんだけど、不思議に時代劇にも違和感がなくて。
威勢のいいところが好きでした。
*「ICHI 市」公式HPは→
こちら
ここからはまったくの余談なのですが、柊が「女座頭市」と聞いて真っ先に頭に思い浮かべたのは
「KILL BILL」の続編(作られれば、の話)です。
「KILL BILL vol.2」のパンフレットに、今度はダリル・ハンナ演じるエル・ドライバーが
盲目の女座頭市になり、その仲間にゴーゴー夕張の双子の片割れがいて…なんて続編の話が
ちらりと載っていたのです。
うう、すっごく面白そう…その設定。観たい!なんて思ったんですよね~。vol.2公開当時。
(無理そうだけど)実現してくれないかな…なんてつい夢見てしまった。
今度、女座頭市という設定で映画が作られるならタランティーノ監督にお願いしてみたい。
絶対期待が裏切られないと思う(笑)
レッドクリフ part1
あの「三国志」を実写映画化と聞いてどれだけうずうず待ち望んでいたことか!!
それがたとえ“赤壁の戦い”のみに焦点を当てたものだとしても。
しかーし。
2部作とは聞いていたけれど、こ、ここで終るか~
信じられーん。
3部作とか当たり前のようになってきてるけどこればっかりは途中で切ったら駄目です。
兵士たちの志気が落ちます…。
大作とわりきって4~5時間ぶっ通しで上映しちゃいましょう!(え?だめですか?)
*「レッドクリフ」公式HPは→
こちら
三国志の英雄たち、関羽、張飛、趙雲らの豪傑ぶりを思う存分堪能させてくれる映像でしたが
下手に「三国志」を知らぬ方が思い入れがなくてむしろ楽しめるのかもしれません…。
特に諸葛亮孔明!柊は「三国志」のなかで一番彼が好きなのです。
なのにこのままでは単なる一軍師に過ぎないのではっ。
知略に富み、羽扇一本で軍を動かして劉備軍に勝利をもたらす天才軍師。
思い通りに出来なかったのは己の寿命だけ。
そういう不遜な感じが…嫌味に思えるほどあっていいのに、印象薄過ぎるー。
(part2で描かれる部分にこそ孔明の本領が発揮される筈なのでそこを期待して待つしかない☆)
それは演じた金城さんがどうこうじゃなくて、“赤壁の戦い”に焦点を当てているが故に
演出上仕方がないのかなあ…とも思いましたが。
赤壁、といったら「呉」の国内を中心に描くことになるものね…しかし…しかし…。
孔明と周瑜の友情を描く…という文句をどこかで見たような気もするのですが
そもそもこの二人の間に同盟関係はあっても友情ってあったのかしら。
とことん孔明に手玉に取られて無念の周瑜という図しか思い出せない柊なのですが。
それに女性にも焦点を当てた、と聞きましたがこれだけ限られた範囲を描くなら
むしろ「女性」はいらないわーとも感じました。小喬さんはとても美しかったけど(笑)
参考に読んだ本によってきっと解釈諸々異なっているのだろうから、
こういうのって最初に触れたものの印象に左右されてしまうでしょうね。
そこにとんでもなく思い入れも発生してしまう(笑)
柊は「三国志」と聞いて真っ先に思い出すのはNHKで放映されていた人形劇です。
ああ、なんて、なんて懐かしいんだろう~。
「三国志」と聞いたらやっぱり劉備、関羽、張飛三人の義兄弟の契りに始まり、
三顧の礼で諸葛孔明を軍師に迎え、天下三分の計を説かれる…といった場面が
やはり観たいと思ってしまいます。
「レッドクリフ」では彼らが脇に回っちゃってるものね…切ないです。
人形劇では諸葛亮孔明の声を森本レオさんが担当されていたので、柊の孔明像は
そのイメージです。森本さんの声が好きでした。
part2は2009年4月公開予定だとか。
待ちます。今度こそっ!諸葛亮孔明の活躍を期待して待ってみせますとも~!
でも、こうなると赤壁の戦いのどこまでを描いているのかが気になります。
赤壁の戦いその後、みたいな部分まで描いてくれないと納得できないかもしれない☆
彼が二度愛したS
予告編を観て、ユアン・マクレガーとヒュー・ジャックマンの顔合わせなら見てみたい!と思いました。
*「彼が二度愛したS」公式HPは→
こちら
ヒュー・ジャックマン、最近は観るたび悪役が様になってきているような…
気のせい?
ユアン・マクレガー、一見好青年風の眼鏡姿が似合ってました。
サスペンスの展開としては何となく途中で先が読めました。
それでも、最後はどうなるのかなどうなるのかなと思わせるところがミソかな。
観終わって冷静になって振り返ってみると「あれ?」って引っかかる部分が結構あります。
以下内容・結末を明かしているので白字にします。
未見の方は読まないで下さいね。
この秘密クラブの存在自体ジョナサンを罠にはめるためだけのものだったの?(違うか)
送金したあとに、ことの真相を確信した…筈なのにそのあとの展開が随分都合よく
展開し過ぎないかなあ。ジョナサン、犯罪に素人の筈なのにどうやって偽造パスポートを?
お金を引き出すために二人のサインが必要…というのは保身のためかもしれないけれど
ジョナサンはさっさと一人で銀行を訪れて全額引き落としておけば良かったんじゃないの?
そもそもジョナサンが「S」という女性に恋をしたりせず、延々秘密クラブにはまってたら
ワイアットはどうするつもりだったんだろう(笑)
一番の謎は、一夜限りの相手と関係を持つことは平気なのに
好意を持った相手には奥手になってしまうジョナサンの心理かもしれない。
なんだかね…それはずるいなあと思ってしまいます(笑)
ブーリン家の姉妹
姉妹二人とその家族、親族を不幸に陥れてまで男子継承者を望んだヘンリー8世。
けれど王位を継いだのはエリザベスで、彼女こそが英国を繁栄に導いていった…というのは
なんて皮肉が利いているのだろう。
そういう皮肉を引き立たせるためにとことんヘンリー8世を嫌~な奴に描いているんじゃないかと
思う程です。いや、絶対嫌な奴だったに違いないっ!!
*「ブーリン家の姉妹」公式HPは→
こちら
野心に満ちたアン…野心を持つことは悪いことじゃない、とは思うのだけどその割に
彼女の行動はどこか軽率で、自分の力で動いているように過信し過ぎていて
結局は自分を利用しようとする男たちの手の上で踊らされていた感じがして
後半はもうぼろぼろに可哀想になってしまいました。
愛することにも、愛されることにも不器用で…彼女の内面を見抜けずに、
子供を産む道具としてしか女を見ないヘンリー8世にはもう怒りしか湧いてこないぜっ!!
アンの妹メアリー…おひとよしとも思える彼女の優しさ、従順さにのみ、この映画は
救われてたような気がします。
最初に王に愛され、男子まで出産していながら…。
優しさ、従順さに癒しを求めながらすぐに飽き足りてしまう。
理知さ、駆け引きにスリルを覚えながら自分の思い通りにならないと知るや怒りや憎しみにすり替わる。
勝手だなあ…。「そういう時代だった」で正当化しようとすることすら怖気だちそう。
娘や姪を出世の道具としか見ない男たちも変。
結婚したばかりの自分の妻を王の愛人として差し出す夫も変。
出てくる人出てくる人、道徳的にどうなのよ・・・というくらい皆変。
その変さを正当化しているのが「男子継承者」…という理由とは。
この映画を観たあとは俄然ケイト・ブランシェット演じた「エリザベス」「エリザベス・ゴールデンエイジ」をもう一度観返したくなります。
「ブーリン家の姉妹」という映画の企画自体ものすごく「エリザベス」を意識してたと思うなあ。
男子継承者にこだわり次々愛人を変えていって様々な人を不幸にした王なんかより
数々の陰謀にも負けず、国を繁栄に導いていった女王の方がすごいじゃないか、と。
姉妹二人をいいように利用したヘンリー8世に見せつけてやりたい気持ちがむくむくと湧いてきて困ってしまう。
アンをナタリー・ポートマン、メアリーをスカーレット・ヨハンソンが演じてましたが
観る前は逆の配役の方がしっくりくるのでは…なんて思ってました。
実際に観るとまるきりそのイメージが逆転してしまい、さすが女優!です。
ヘンリー8世を演じたのはエリック・バナ。
これまで高潔な感じの役柄で観ることが多かったので意外でした。
うう、嫌なイメージがついちゃいそう☆
それだけ役にハマっていたともいえるけど。
ハッピーフライト
じつは柊は片手で数えられるほどしか飛行機に乗ったことがありません。
飛行機が飛ぶのにはこんなにいろんな職種の人たちが携わっているのだなあ…と
しみじみ感心してしまいました。
*「ハッピーフライト」公式HPは→
こちら
ユーモアを交えて描かれている分、なんだか逆にとってもリアルに感じました
空港での悲喜交々、飛行機の中での臨機応変、緊張、涙の数々、
よくぞこんなかゆい所に手が届くほどに、描いたなあ~と…!
機長、副機長を演じた時任三郎さん、田辺誠一さんはじめ、
CAの寺島しのぶさん、綾瀬はるかさん、吹石一恵さん、
グランドスタッフの田畑智子さん、個性的乗客の笹野高史さん…ほか
皆みんな一人一人が個性を持ってて印象的で、あ~面白かった~♪
それにしても終盤の展開はやっぱり冷や冷や…。
いっくら「飛行機は安全な乗り物」と説明されても怖いものは怖い!
…とやっぱり思ってしまいました☆
ブラインドネス
思わず鳥肌が立つ場面が、怖気立ってしまう場面がありました。
それは見えているから?
違う。
たとえ見えなくても、心が麻痺していなければ同じように嫌悪を感じる筈だ。
目が見えているとか、見えないとかじゃない。
自分の心を、自分の行為を自分の外側から見ることが出来るか出来ないかじゃないかな。
良心と言い換えてもいい。
極限状況に置かれたとき、「生きたい」「助かりたい」という自分の本能みたいなものには逆らえないかもしれない。
だけど自分自身が今何をやっているか、見えなくなったらそれはもう獣じゃないだろうか。
本能に従うのも、あさましいのも、欲にまみれるのも人間じゃないかって…
そういう人もいるのかもしれないけどそれを言ったら人間おしまいだ、という気がする。
*「ブラインドネス」公式HPは→
こちら
観ていてしんどい、と思う部類の映画です。
観終わっても、決していい気分では映画館を出られない。
これでもかーこれでもかーっていうくらい人間の嫌なところを見せつけられるから。
一つ自分に楽を許したらどんどんどんどん落ちるところまで落ちていく惰性的な部分も
人を人とも思わず自分に従わせよう、自分だけは優位に立とうとする心の弱さも
「なんで!?」という言葉と体の震えしか出てこなくて。
だけどそれを嫌だな~と思うのはそういった場面を映像として見せられたからじゃなくて、
自分の中にもそういう部分があることを、あるかもしれないことを見せつけられたからじゃないのかな。
怒りが湧いた。湧いたけど、生きるために屈辱に耐える自分がそこにいるかもしれない。
わからない。自分がその時どんな行動をとるのか。自分自身が見えない。
そういう怖さを感じました。
僕らのミライへ逆回転
懐かしい映画のリメイク作り…と思ったら…??
出来上がった作品がすごい低予算、チープな発想&グッドアイデアによる手作り作品なのが可笑しいです。
彼らが一番最初にリメイクに取り組んだのが「ゴーストバスターズ」!
なんて懐かしい…!
ひとときは繰り返しテレビ放映されていた映画だと思うのですが☆
本編の方も再び観たくなっちゃいましたよ~。
観た当時はマシュマロマンの変貌ぶりが怖くて…テーマソングを聞くとどきどきしますね。
こう・・・ちょっと常人とはかけ離れたエキセントリックな役柄にジャック・ブラックは似合いますね。
「キングコング」のリメイクシーンには思わずにんまりしちゃいました。
*「僕らのミライへ逆回転」公式HPは→
こちら
様々な映画が登場しますがやっぱり全部はわからない
わかる人もいるのだろうな、と思うとちょっと悔しい(笑)
著作権の問題が絡んでくるとお話がむむむと重たくなっちゃうのですが、
この映画で問いかけているのは多分「映画作りは楽しい!」てことと「映画が大好き」ってことだと思います。
CGや特殊効果を使った作品は確かに迫力があって見応えもあるけれど、
手作りで描いた背景や、ありあわせの小道具や、こんなアイデアが!?と思う演出や
作っている人の一生懸命さが透けて見える映画ってなんか嬉しくなっちゃいますね。
そういえば学生の頃、「ローマの休日」を手作りリメイクした作品を見せてもらったことがあります。
イタリアローマの風景がなぜか見慣れた大学キャンパス内だったり、
何だかそれだけで可笑しくて、何故かほっこりした気持ちになったのを思い出しました。
WALL.E ウォーリー
ロボット版「猟奇的な彼女」…!?というのは冗談ですが、
一途なウォーリーとクールなイヴのやりとりがとってもほのぼのしてて印象に残ります。
*「WALL.E ウォーリー」公式HPは→
こちら
ゴミだらけの地球で、たった一人黙々と働くウォーリー。
ロボット…とはいえなんて感情豊かなんでしょう!
きっとすごい人工知能が搭載されているに違いない(笑)
台詞らしい台詞、会話がなくても身振り手振りや表情で
ここまで感情表現出来るんだなあ、とそんなところに感心したり。
イヴのつややかな表面の質感に映像として驚いたり。
家族みんなで楽しんで観れました。
けれど汚染された地球を捨てて宇宙に飛び出した人類って…
「むむむ」と思っちゃいます。
いくらロボットに掃除させて…といったってあまりに他力本願、無責任過ぎる~。
そうならないように、という警句ももちろん含まれているのかもしれませんね。
地球が静止する日
1951年に制作された「地球が静止する日」のリメイク作品なのだそうです。
柊はオリジナルを知らないので、何の前知識もなく観に行きました。
*「地球が静止する日」公式HPは→
こちら
人類が存在する限り、地球が壊れてしまう。だから人類を滅ぼす。
そんな目的をもってやってきた地球外生命体のクラトゥ。
それに対し、「人は変われる」と説得を試みるヘレン…。
うーんだけどどうなんだろう。
確かに変われる人もいるかもしれない。
でも変われない人もいっぱいいるような気がする。
「自分は変われるけど、周りの大勢が変わろうとしないからどうしようもない。」という
諦観みたいなものがむしろ蔓延しているような気がするんだよなあ。
人は変われる。確かに。
でもそれ以上に人間は「忘れる」と思う。
危機に瀕すれば一時は変わろうと思う。だけど危機が過ぎたらあっという間に忘れる。
「教訓が…」なんていくら言ったって慣れほど恐ろしいものはない気がする。
50年前の作品を同じような危機感を覚え、共感してリメイクしたということ自体が
「人間全然変わってないかも」という皮肉のようにも感じられる。
ヘレン一人がどんなに良い人であっても、それで説得されちゃうクラトゥは甘い、なんて思っちゃう。
人間なんてそうやすやすと信じちゃ駄目だよ。
…なんて柊は一体どっちの味方なんだろう(笑)
ワールド・オブ・ライズ
映画を観ている…という感覚が薄れてしまうほどの緊迫感。
映画館を出たときの、非現実感が何ともいえず。
世界のどこかで、今も映画中に描かれたような対テロ戦争が行われているのだろうかと
想像したら目の前にある「平和」がとても薄っぺらく、儚いものに思えてきてずうーんと
気持が沈んでしまいました。
*「ワールド・オブ・ライズ」公式HPは→
こちら
“嘘”というよりもどれだけさくさんのの情報を所有し、公開するかというかけひきに思えました。
報復に対する報復…最初の目的は何だったのか。最終的に望んでいるのは何なのか。
“過程にある”ということしかわからない状態って精神的に辛いですね…。
ラッセル・クロウとレオナルド・ディカプリオ、二人の演技がとても秀逸。
ディカプリオ、すっかり骨太な役柄が似合うようになって…。
初期のころの、大人への過程にあって繊細かつ不安定な役柄なんて微塵も感じさせない。
映画が終盤に進むにつれて現場で行動するが故に傷だらけ、ぼろぼろになっていくのですが
それでも観ている方に「同情」や「弱さ」を感じさせないのはあっぱれという感じがする。
一方安全な場所から指示を飛ばすだけのラッセル・クロウは下手すると一番の悪役に
見えてもおかしくないんだけど、不思議に憎々しさは感じない。
子供の世話を焼きながら電話一本で命令を下すシーンなんてどう考えてもシュール…
なんだけど実は「リアル」なのかもしれなくて、そこが怖い。
わかってるんだかわかってないんだか掴みどころがなくて、信頼していいのかどうかも
わからない…でも悪い人ではないかもしれない。不思議な役柄。
とにかく動きまわるディカプリオの影に隠れちゃいそうな感じがしたんだけど、
観終わってみるとラッセル・クロウの飄々とした感じがとても印象深かったりする。
K-20 怪人二十面相・伝
怪人二十面相の生みの親である江戸川乱歩は彼の正体を最後まで明かしてくれませんでした。
もしかしたら江戸川乱歩自身、彼の正体について具体的には考えていなかったのかもしれないし。
神出鬼没の泥棒で変装の名人、悪事は企んでも決して人は殺さない。決して正体を掴ませない。
そんな怪人二十面相を象徴する部分を受け継いでくれる人物が現れるならば、
いつでもその人物が「怪人二十面相」になりえる、と。
乱歩はそんな可能性まで見越して「謎」を「謎」のまま残してくれてたのかなあ…??
*「K-20 怪人二十面相・伝」公式HPは→
こちら
原作は怪人二十面相に着想を得た北村想さんの『怪人二十面相・伝』。
だから、映画に描かれる怪人二十面相は、乱歩の描いたそれとはちょっと異なる(笑)
だけど…
1950年代の昔懐かしいレトロな雰囲気。
怪人二十面相、対する名探偵明智小五郎、助手の小林少年!と役者が揃ったら
わくわくせずにいられないよ~。
これはもうミステリ好きの条件反射としか呼べない(笑)
べりべりと変装を解くシーンなんて、もう「きゃ~♪」とミーハー気分に陥っちゃう。
怪人二十面相との疑いをかけられるのは遠藤兵吉こと金城武さん。
二十面相と対決するために修行を積んでいくのですがその過程で様々な変装、
仮装をするのが可笑しい。すごい、似合ってる。
映画全体とってもコミカルなんだけど、金城さんのコメディっぷりは特に好きだなあ…。
対する名探偵、明智小五郎…仲村トオルさん。
超然としてて何処か冷たい雰囲気も持っていて。とても明智のイメージに近いと思います。
明智に化けた遠藤兵吉…を演じる場面があるのですがそこは見所の一つだと思います!
仲村さんが金城さんの演技の特徴をよくとらえて演じているのですごく可笑しいです。
令嬢を演じられた松たかこさん。
天然…というか天真爛漫な役柄を嫌みなく演じられてて好感持てます。
兵吉さんとの距離感も好き。
ただ…結末には賛否両論ありそうな(笑)
これには江戸川乱歩もびっくりではないかしらん…?
映画、とても面白かったです。もう一回観にいきたいくらい…
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