ドラゴン・ウィンド~風の谷~

-登場人物-

アリウ・ドリア・ジェル
小さな村の少年。禁断の森に入り込んでは動物と遊んでいる事が多い。
ディア・ノークト
アリウの友達の女の子。アリウうと共にたびたび森にいくことがある。
イド・フォンラス
小さな村の村長。ドラゴンについて怪しいほど詳しい老人。
ドラゴン
伝説の魔獣。中には小型の物もいて、小さな街を襲ったりしていることもある。



とある小さな村にアリウという少年がいた。
アリウは16歳で青い髪の少年だ。いつも村の近くにある森にいっては小動物と遊んでいた。
しかし、その森にはドラゴンが住んでいるという伝説があり、入ってはいけないことになっていたのだった。
たびたび村の人に見つかっては逃げていたアリウだが、毎回見つかってしまった。
そのたびにこっぴどく叱られるが、また懲りずに森のなかにはいっていった。
友達のディアも一緒によく森にいっていた。


アリウの17歳の誕生日に自宅の庭でパーティーが行われることになった。
村中の人が集まり、アリウの成長を祝った。
心優しい人ばかりだったので、いくらいたずらをしているアリウのことでも気にしていなかった。
小さな村の祝いごとは順調に進んだ。
アリウがあいさつをし、用意されたご馳走を食べ、騒ぎ、はしゃぎ、歌い、踊り・・・。
そして最後のディアからの言葉がおくられようとしていた。
何故かディアは頬を赤らめ、とても恥かしそうに前に立った。
アリウは緊張しているのだろうか、としか思わなかったが。
ディアがゆっくりと口を開き下を向いたまま、小さな声で囁いてきた。

ディア「たっ、誕生日おめでとう・・・あのね、実は・・・」

しかし、その言葉を聞き取れたのは一人もいなかった。
大空が一瞬にして真っ暗になったかと思うと、ゴォォォッという轟音が鳴り響いてディアの小さな声はかき消されてしまったのだった。
アリウは逸早くその事にきずき、空を見上げていた。
逆光が邪魔して暗いシルエット状になっていたが、形ははっきり見えた。
大きな体に左右にある翼、長い尻尾・・・。


・・・ドラゴンだ・・・。

アリウは目を丸くして見上げていた。今起っていることが夢のように思えた。
人々は逃げ惑い、すぐに自宅に走って逃げた。
そして、そこに残ったのはアリウとディア、そして村長のイドだけになってしまった。
ドラゴンは村の上空をゆっくりと回ると高度を下げてきた。
近くに来るごとに大きくなってきたが、想像していたよりも小さな体だった。
ドラゴンはアリウの家の庭に下りた。置いてあったご馳走やナイフが音を立てて崩れた。

イド「ドラゴン・・・この種は・・・イグル・スライド・ウィンド種か・・・。」

イドが呟いた、が誰も聞いていなかった。いや、聞こえなかったのだろう。
ディアはアリウにしっかりと抱きつき、怯えていた。
アリウはドラゴンに目がくぎ付けになっていた。
しかたないだろう、うまれて始めてみるドラゴンだ。誰でもくぎ付けになる。
瞳を輝かせてドラゴンを見ているとドラゴンが口をあけた。

ドラゴン「待っていた、この時を・・・アリウ、まず・・・誕生日を祝いたい。」

3人は唖然とした。ドラゴンが喋るなどと聞いたこともなかった。
それに・・・それに、このドラゴンはアリウのことを知っている。しかも誕生日を祝っている。
誰も口を開かずただ突っ立っている状態をみて、ドラゴンが不安げに付け足した。

ドラゴン「我が名はクルス、「風の谷」の守護竜だ。風の谷とはこの世にあるもの全ての生命をつかさどるところだ。深い谷底にある・・・こんなことを言っても信じてもらえぬかもしれんが・・・今、「風の谷」が・・・ある竜によって破壊されている・・・」































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