♪JAZZY LIFE ♪

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鯖威張るな1日

男はその日、特別任務を遂行するため飛騨高山に居た。 
困難な任務はいくつもこなして来たが今度ばかりは、頭をかかえてしまう問題が多すぎた。 
唯一の救いは今回の助手が瀬名という事だけだった。 
そう、瀬名と言う男、元プロフェッショナルドライバー(トラックの運ちゃん)でジョークの分かる男である。 
あまりタッグを組んだ事はないが、なかなか出来る男と評判である。 
しかし優秀な助手をもってしても今回の任務は、ハードすぎる。 
いつになく弱気な彼はエーゲ海より深いため息をついた。

その男はサングラスを取り出し、初夏の日差しをみあげ眉間にシワを寄せ、しばし一人の世界にひたっていた。そしてつぶやいた、
「どうすればこの困難な状況を乗り越える事ができるのか?」  
ところがどっこい、人間万事なんとやら、あっという間に問題解決。 
優秀な助手のおかげであっという間に解決さ。 
男の出番など、ありゃあしない。 
所詮、人生なんてこんな物、笑うしかないが、男は眉間にシワを寄せたまま、ごまかそうと一生懸命だった。

「ボスッ!!」瀬名が突然、大きな声をあげた。(ボスと言っても缶コーヒーではない。)やはり彼では役不足 やはりこの私が出て行かなければ亊は解決しないのである。 
「ここが男の花道、」やる気満々の男は振り返った。 
すかさず、瀬名はこう続けた。「トイレに行っていいですかぁ?」 
「殺すぞ、おまえ。」  
瀬名に振り回され、自嘲気味の男はふと思った、こんな簡単な任務なら1人で来ればよかったと、そうすればこれから飛騨牛の串焼きでもついばみながら、地ビールに舌づつみを打つ事もできたのに、、しかし、、男の背後から、1つの影がせまっていた。

「ボスッ!」  男はおどろいてキャンと吠えながらとびあがった。 
またもや瀬名である。 男は呟いた「やっぱり殺す。」  
しかし次の一言が男を驚愕させた、
「ボス!せっかくですから飛騨牛の串焼きでもついばみながら、地ビールでも飲みましょうよ。」  
この男、日頃はボーっとしているくせになんてナイスな事を言ってくれるんだ。 うーん殺すにはおしい男である。
「あー、旨かった。仕事のあとの1杯は格別ですねぇ。」
って「お前、おやじ入ってるぞ。いくつなんだよ、瀬名?」  
そうそう、一杯飲んだ後はやっぱりラーメンだな、男は思った。 
しかし又この男に見透かされるのはしゃくにさわる、こっちから誘ってやろう。
「おい瀬名、」  
しかし男の声は観光バスのクラクションにかき消された。 
次の瞬間瀬名は言った
「ボス、ラーメン喰いましょう、旨い店知ってるんです。」  
「おいっ!おまえは、心理学者か?はたまた、エスパーかぁ?ひょっとして飛騨の忍者かぁ?」


豊臣秀吉がまだ木下藤吉郎だった頃、
琵琶湖の南に金目教という怪しい宗教がはやっていた。
それを信じない者は、恐ろしい祟りに見舞われるという。
その正体は何か?
藤吉郎は、金目教の秘密を探るため、飛騨の国から仮面の忍者を呼んだ。
その名は、、、「赤影、参上!!」 
男はさけんだ。「そうか!瀬名、おまえ、赤影だな!」
瀬名は言った 「ボス!赤影って何っすか?あっ!きったねー、よだれたれてますよ。」 
男はつぶやいた「なんだ、夢かぁ、」 

瀬名のドライブする車は東海北陸道を音速で走り抜けていた。




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