◆ラテン旦那と大和撫子妻◆

成田空港グリーンカード紛失事件


そしてこれが楽しかった里帰りの最後のフィナーレを飾る事件となってしまいました。

ミニバン2台に、何と11個ものスーツケースを積み込んで、見送りの叔母とその息子、妹と子供2人、母、そして私と子供達4人の総勢11人で、成田空港へと向かいました。

大きなスーツケースをやっとカウンターまで運び、
子供達と家族はガードがあちこちに張られて混雑していたので、かなり離れた所で私の手続きが終わるのを待っていました。

荷物の全てにステッカーが貼られ、ベルトコンベアーで運ばれて行きました。

受付:「それではグリーンカードを御提示願います。」

私:「はいはい。ちょっと待って下さいねー♪」
そう言ってポシェットの中を見てみると、







          あれ?????   




               無いよ~~~~!



       どうしてぇ~~~~????


いつもカード類を入れている場所に、グリーンカードの姿が無いんです!!


(どうしてだろう。) ちょっと慌てながら必死に考える。

昨日は何をしてたっけ????

        バッグは?????

私が慌て始めると、脇に立っていた航空会社の係りの女の人が、一緒になって探し始めてくれた。

女:「どこに入れたか思い出しましょうよ!」

私:「思い当たる所は全部見たんですよ~~~!」

女:「もう一度冷静になって思い出してみて下さい!きっとありますよ!」


私:「もしなかったら、後で再発行でもするので諦めます。」って言ったら彼女顔色を変えて、

女:「それは出来ません。グリーンカードが無かったら飛行機に搭乗する事すら出来ないんですよ!」



    ガ~~~~~~~~~~~ン!


   事の重大さにやっと気ずいた私。 


(だから彼女は自分の事の様になって探してくれてたんだ!)

私:「そ、そんな~!!!
だって今日帰れなかったら今度いつ帰れるか分からないじゃないですか~!!!
子供達の学校、後6日で始まっちゃうんですよー!」



駄々っ子の様に、その場に仁王立ちする私。


女:「だったら尚更冷静になって、思い出してみましうよ!」


彼女が荷物係りに連絡を取ったようで、次々と私のスーツケースが送り返されて来ている。 

遠まきにして家族や子供達が、この異常事態に、
何事!?って感じで身を乗り出して怪訝そうな顔で見ている。


女:「さあ、ゆっくりと深呼吸をしてー」

そう言って彼女は私の背中を優しく撫でてくれた。


吸ってー、吐いてー、


ヒー、  フー、


ヒー、  フー、



(あれ、何だかお産の時みたいだなー。
この呼吸法だったら、未だ子宮口2~3cm大って所だな。最後のお産は2年前にもなるのよねー。)


こんな大事な時に、直ぐこういう雑念が頭に浮かんでしまう不届き者の私。 

女:「さあ、ゆっくり考えてみて!」

私はおもむろに両手を自分のこめかみにあてがって目を閉じ、全神経を集中させた。


ところが


頭に浮かぶ事といったら、グリーンカードとは全く関係の無い事ばかり。

たこ焼きを頬張っている所や、

カッパ寿司でお皿の数を数えている所とか。


(どうしちゃったんだろう私!? )


全く集中できないんです。

これって一種のパニック状態なのでしょうか?


するとそこに、責任者と名乗る体格の良い中年の男の人が現れた。

男;「私は○○○○ット航空の責任者の、○○です。
今事情を彼女から聞きましたが、
もうそろそろゲートを閉める時間が迫って来てしまいました。」

私は涙目で彼を見た。

男:「こうなったら、お子さん達だけでも飛行機に乗せて、お客様は明日朝一でアメリカ大使館へ行かれて、仮のグリーンカードなり、それを証明する書類などを発行してもらって、後からご搭乗されたらどうかと思いますが?」


私;「お、お子さん達だけって、下の子未だ2歳になったばかりなんですよ!
それに上の子達だって、4歳、7歳、9歳ですよ。
この子達だけで13時間も飛行機に乗せられるわけ無いじゃないですか!」


男:「それじゃー、今回は諦めて頂くしかないです。」

私:「お願いですから乗らせて下さい!
迷惑は絶対に掛けませんから!」


男:「お気持ちは分かりますが、これは規則ですのでもし私共がお客様を飛行機に乗せてしまったら、今度は航空会社の責任になってしまいます。」


私;「だから、そこを何とかお願いしますよ~!」


無表情に話す彼の脇で,さっきの彼女が涙目で私を見ている。

時間だけが無駄に過ぎて行く。


私:「それじゃ、アメリカにいる主人に電話をして見ます。」


公衆電話へ近ずいて行くと、妹が駆け寄って来た。

妹;「どうしたの?何があったの?」

私:「グリーンカードをなくしちゃってさ、それが無いと私だけ飛行機に乗れないんだってさ。」

力無く答えると妹は、


「うそ.........。」

と言ったきり、その場に立ち尽くしていた。


公衆電話の受話器を手に取ると、手が小刻みに震えていて上手く持てない。

時間を見るとアメリカ時間では午前2時半。

5回ほどで旦那が出た。

声を聞いたら急に涙がドバーッと出て来ちゃって、
しゃくり上げながら事情を話すと、

旦那は航空会社の対処に怒り出して

旦那:「飛行機に乗せられないなんて、そんな馬鹿な話があるか! そんなの無視して乗って来い!」

私:「無視なんて出来ないよ~。」

旦那:「今すぐJFK空港の入国管理官にTELを入れて、事情を説明して了解を得るから、
大丈夫だから、そう説明して何が何でもこの便に乗って来るんだ!」

私:「そんな事出来ないよー」

旦那:「責任者と代わってくれ」

さっきの責任者の男に電話を代わると、彼は

But Sir,   
Sir!

を繰り返している。

旦那の怒鳴り声が脇にいる私にも聞こえる。

最後に彼は私に受話器をよこして、

男:「旦那様はかなり興奮しておられるから、これ以上は話にならないです。
一つだけ言って置きますが、ここでもしお客様をお乗せしたら、アメリカに入国次第、逮捕と言う事になり兼ねませんよ。」




た、逮捕!


ショックで固まる私。

旦那に
「逮捕されるかもって言ってるよ。」
と伝えると

旦那:「$%#@*&%$@#%*$#!!!!!!!」

もう怒り狂っちゃって鼓膜が破れそうなほど大声になっている。

一旦電話を切ることにして、カウンターまで戻り途方に暮れていると

航空会社の別の女の人が、私に受話器を持って来た。

どうやら旦那が、アメリカの゛○○○○ット航空”に電話を入れたらしい。

電話に出るとアメリカ人のオペレーターがとっても優しい声で、
「大体の事は聞きましたが、日本のスタッフは何と言っているのですか?」と聞いて来た。

オペレーターの彼女は、手に入るチケットは9月18日まで無いです。とも言った。

今日は8月27日。そんなに待たないとチケット無いの!?
実は航空券、マイレッジを使って取ってたんです。

事の成り行きを説明しているうちに、突然電話が切れてしまって繋がらなくなってしまった。

もうどうしようもない。
時間を見ると4時半をまわっていた。

男の人が現れて、もう飛行機の搭乗口は閉まってしまったと告げてきた。


   はあ~~~~~~~。

もう諦めるしかない。

責人者の男が来て、ちょっと離れた所で同じく途方に暮れているアメリカ人と日本人のカップルを指差して、

「彼らもお客様と同じ状況で、彼女がグリーンカードを無くした為に今回乗れませんでした。
明日アメリカ大使館へ行くって言ってますよ。」

と、今更ながら元気付けの為なのか知らないけど
そう言って頭を下げてきた。

今から係りの者を呼んで、お客様のお荷物を駐車場まで運ばせます。


やっと家族の所へ行くと、皆がっくりと疲れちゃってる。

子供達は飛行機に乗れなかった事で、シクシク泣いている。

母が半ば呆れ顔で、

母:「グリーンカードのような大事なものを、何でちゃんと前もって確認しておかなかったのよ!」

分かってます、分かってますぅ~~~。

ごめんなさい~!

今回の事で痛いほど懲りました。
怒りたい気持ちは分かるけど、今ちょっとだけでいいから、何も言わないでいて!


折角仕事を休んでまで見送りに来てくれた叔母と従兄弟に会わせる顔が無い私。

荷物を積んでから、空港内のレストランで食事をし、再び実家へ逆戻り。



スーツケースを家の中に入れて、部屋へ入っていくと

旦那からFAXが届いていた。

帰りのチケットを取ったらしい。

日にちは明後日です。

良かった~!明後日のチケットが取れたんだ~!


後は明日アメリカ大使館へ行くだけです。
面倒臭いけど自業自得。


スーツケースのある部屋へ入って、何気に一番小さいスーツケースのサイドポケットに手を入れてみるとーーー





    ガガガガ~~~~~~~~~~~~~ン!!!






グリーンカードちゃんが出て来た。



ありゃ~!

ママー!



あったよ~!  


グリーンカードがあったよ~~~♪♪♪


大騒ぎをする私の所へ皆集まって来た。



妹:「お姉ちゃんそのスーツケースの中、何度も探してたじゃん!」


私:「え!?  そう言われてみれば.........。」





周りからの冷たい視線。





私申し訳なくって、またまた5mm程に縮まっちゃった。

すいません、すいません、すいません、すいません!

ごめんなさ~~い。

本当に深く反省しています!!!



それから直ぐに旦那からTELが入った。

旦那:「FAX見た?」

私:「見たけど、グリーンカードがあったのぉ~~!」

旦那:「え?本当? どこにあったの?
やっぱり実家に置いて来ちゃってたんだろう~!ドジだな~!」


私:「違うの。   スーツケースノ サイドポケットニ ハイッテタノ 」


旦那:「.......................。」



良いんです。何も言わなくても重々分かってます!

      私は大馬鹿者です!


               大ボケです!


       間抜けです!


          何とでも言ってください!


      全部当てはまります!




     そして全部認めます!


旦那がTELして来たのは、航空会社は違うけれど翌日のチケットを確保したからだったんです。


翌日は流石にもう叔母には頼めないので、妹と姪っ子、母の三人が荷物と共に空港へ向かい、

私は甥っ子を含めた5人の子供達を連れて、成田エキスプレスで空港へ行きました。


散々だったけど、

最後は涙涙でお別れしました。


皆さん、大変ご迷惑をおかけしました。

HITOMIは深く反省してます♪









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