本だけ日記。

本だけ日記。

2007.01.05
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 この小説では、山田詠美の文章のうまさとへたさが交錯しており、
 それをどう評価したらいいのか戸惑ってしまっている)

■積読状態の文庫本から女性作家の作品を
次々に読んでいるが、今度は山田詠美。
こちらも初めて読む作家で読む作品に迷ったが、
この『ベッドタイムアイズ』(河出文庫)にした。

■有名な作品なので、物語の人物関係だけは知っていた。
黒人の脱走兵と日本人女性の濃厚な愛の物語。
どぎつい表現や口汚いことばが飛び交うなかで、
繊細な感情表現が光っている。

■引用してみたい箇所はいくつかあるが、
一見何気ない表現のなかでは、これが引っかかった。


  このカシャリという音に最初の数日、
  私はひどく悩まされた。
  今まで私は私以外の者が
  部屋の外側からキーを差し込む音を
  聞いたことがなかったから。
(31頁)

■いじわるな目で読むと、最後の文章は、
日本語表現として少しおかしいと思う。
端的に言えば「部屋の外側から」ということばは不要である。
キーを差し込むのは部屋の外側に決まっているのだから。

■それ以上におかしいのは、
「カシャリ」という音は鍵が外される音なはずなのに、
続く文章は「差し込む音」とされていることだ。

こうした文章の論理(?)の乱れが、
意図的なものなのか、単なるミスなのか、判断がつかない。
意図的なものだとすれば、
主人公の感情の乱れが文章表現のミスにつながった、
という解釈はできるのだが。。。





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最終更新日  2007.01.06 09:18:35
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