本の虫

本の虫

August 26, 2005
XML
カテゴリ:

 雪のように白く儚く、
 しかしそれ故に、
 心に沁みわたる。

  メリー・クリスマス。あのとき
 の夏乃は、これから何回・・・・・・いいや、
 何十回もそのセリフを口にできる
 と信じて疑わなかったことだろう。
  それは、私も同じだった。
  微かに萌芽しの兆しをみせていた
 生命の木が、ふたたび、内部から
 朽ち果ててゆく・・・・・・。
  衣擦れのの音に続いて、背後に気
 配を感じた。
  私は、振り返った。万年床の上で、
 四肢を震わせながらマリーが懸命
 に立ち上がった。半開きに開いた
 口からだらりと舌を伸ばし、荒い
 息を吐きながら、潤む瞳で私を見
 上げていた。
  私に向かって足を踏み出そうと
 したマリーの躰が、ぐらりと揺れた。
 「おい、マリー!」
  静寂を切り裂く絶叫とともに、
 マリーがスローモーションのよう
 に崩れ落ちた。(本文より) 』



妊婦の妻、夏乃を交通事故で亡くしてしまった音楽家の
日吉友哉は生きる意欲をなくしていた。
そんなとき、飼われている家の奥さんに虐待をうけてる飼い犬の
マリーと出会う。
人間を見ると怯えるようになっていたマリーが、日吉に少しずつ
心を開きかけていたときに、マリーをかばった日吉は会社をクビに
なってしまう。
働く場所も、お金もなくなった日吉はクリスマス・イブの夜
公園のベンチで死ぬことを考えていた。
そのとき、リードを引きずって逃げ出してきたマリーに助けられる。

マリーと一緒に生活するようになった日吉は、次第に「生きる」という
意欲を取り戻していく。
しかし、その生活は長くは続かなかった。

マリーは夏乃の生まれ変わりのように、日吉を勇気付け、
生きる意欲を与え、そして最後に約束を守るように贈り物を残してくれる。

犬と人との話しだが、愛が感じられるストーリーだ。
ハッピーエンドでは終わらなくても、とても心温まる感じが残る1冊だった。



天使がいた三十日









お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  August 27, 2005 01:59:58 PM
[本] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

みんなのたぁぼう

みんなのたぁぼう

Calendar

Favorite Blog

「シンデレラ・ロマ… misa☆じゅんじゅんさん

ぐーたら主婦の独り… Yファミリーさん
じゅじゅ日記 じゅじゅ9823さん
まみまみの愛☆ラブ☆… まみまみ777xさん

Comments

みんなのたぁぼう @ じゅじゅ9823さんへ GyaOで毎週2話ずつ更新されるのを見てま…
じゅじゅ9823 @ Re:「あなた、そして私」(1997)(05/31) 1997年って・・結構古いドラマですが…
みんなのたぁぼう @ ピンクのマカロン♪さんへ コメント、ありがとうございます なか…
ピンクのマカロン♪ @ ホームレス中学生 私も興味がありました(’-’*) これは自…
みんなのたぁぼう @ じゅじゅ9823さんへ 歴史もの苦手ですが、ヨンジュンssi見たさ…

Freepage List


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: