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2005.06.15
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カテゴリ: 洋画

 以前公開されたスパイ映画 ボーン・アイデンティティー の続編。原作はロバート・ラドラムとなっているが、大幅に変更されているようである。

粗筋

ジェイソン・ボーンは過去の記憶を失った凄腕の元CIA工作員。2年前、CIAの陰謀を叩き潰し、今はインドで恋人とひっそりと暮らしていた。が、ある日何者かが襲撃し、恋人が殺されてしまう。CIAの仕業だ、俺とはもう関わるなと釘を刺しておいたのになぜ今? とボーンは怒る。
 一方、ベルリンではCIAがある情報提供屋と取引を行っていた。CIAが重大な情報を手に入れる直前、何者かが襲撃し、情報屋とCIA工作員を殺害した。重大な情報は手に入れられなくなった。一体誰の仕業だ、とCIAが調べたところ、2年前に行方をくらましたジェイソン・ボーンの指紋が見付かった。
 なぜCIAは俺にまた関わるのだ、と憤るボーンと、なぜボーンが突然浮上したのだ、と不思議がるCIAは、互いの腹を探り合いながら真相に行き着く……。

 その真相とは、次の通り(ネタバレ注意):ロシアの有力者と一緒に公金を使い込んでいたCIAの大物が、自分の悪事に関する情報がCIAに渡されると知った。それはまずいと感じたCIAの大物は、2年前に破綻した暗殺部隊プログラムの生き残り――ボーン――が阻止したかのように見せかけ、公金使い込みの件を闇に葬ることにした。
 無論、罪を着せる者が生きていたら計画は成立しないので、CIAの大物はロシアの有力者にボーンを始末させることに。だが、ロシア側が放った殺し屋は、ボーンの始末に失敗。逆にボーンを怒らせてしまった……。


感想

 この映画はエイリアン3に似ている。製作順に観なければならない。順序を逆にして観ると、非常に落ち込む。
 前作で主人公が必死に守り抜いたキャラ(恋人)が、続編であっさりと死ぬのだから。
 また、本作は恋人が殺された動機が非常にしょぼく、やり切れない。
 本作の最大の問題点は、空港や駅の警備カメラの映像などからボーンの居所をたちまち掴んでしまうCIAが、内部の不正をボーンによって明らかにされるまで全く気付かなかった、という点。
 その不正を働いていたCIAの大物は、ボーンを始末した上で利用しようとするが、これも計画が非常にずさん。そもそもなぜボーンに罪を着せようとしたのかがさっぱり分からない。指紋をわざわざ偽造して遠いインドでひっそりと暮らしているボーンの仕業に見せかけるより、指紋を全く残さないようにし、結局どこのどいつが情報屋を殺したのかさっぱり分からない、という風にした方がよかっただろうに。
 つまらぬ偽造工作のお陰で、全く関係のなかったボーンの闘志を燃やし、真相を暴かれてしまった。「策士、策に溺れる」とは、まさにこのこと。
 作品は長過ぎず短過ぎず、テンポ良く仕上がっている。
 ただ、アクションシーンはどれもイマイチ。
 格闘シーンやカーチェイスは、まるでカメラマンがそれらに加わって揉みくちゃにされたかのようで、物凄くぶれる。何が起こっているのかさっぱり分からない。終わってから「おお、やはりボーンが勝ったのか!」と納得するしかないのである。
 ボーンはインドからイタリア、ベルリン、ロシア……、とあちこち移動するが、そんな資金をどこでどうやって調達したんだろう、と思ってしまう。
 インドでも何して生活していたのか、結局分からなかったし。生活感ゼロなのである。
 仮に資金をどうにか捻出できたとしても、お尋ね者となった人間が国境をあれほど簡単に渡れるとも思えない。
 ボーンが物凄く腕のいい工作員なのか、税関がずさんなのか、ストーリーがご都合主義なのか……。
 このジェイソン・ボーンのシリーズは、原作では三部作で、BOURNE ULTIMATUMへと続く。映画はどうなのかね。ボーンは自分の本名を知るなど、完結に近い終わり方になっているのだが……。


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Last updated  2005.06.15 18:03:22
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