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2005.08.02
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カテゴリ: 洋書

 ティルマンによる近未来の海上戦争小説。


粗筋

湾岸戦争直後。
 ソビエト連邦はユーラシア共和国連邦(UER)へと移行した。一方、南アフリカ共和国では、三人の実力者が暗殺される。大統領F.W.デクラーク、ANC党首ネルソン・マンデラ、そしてインカタ自由党党首ブトレジである。
 これをきっかけに、UERの支援を受けたアフリカ南部諸国が南アフリカ共和国に侵攻する。UERは大中小の空母六隻から成る大艦隊を南インド洋に派遣。
 アメリカはこれを許す訳にはいかず、阻止に動く。が、UERは周到に準備していた。UERは、様々な工作により米海軍の空母部隊が南インド洋に集中するのを阻止したのだ。米海軍にとって南インド洋にいる唯一の空母艦隊は、空母ラングレーを中核とした部隊だけとなる。黒人提督のチャック・ギディオンが指揮していた。
 ラングレーは旧式と成りつつあるフォレスタル型空母。戦闘力はどのUER空母より高いが、一隻だけ。UER空母は、個別の戦闘力はラングレーに劣るものの六隻もあるので圧倒的に有利だった。
 ギディオンは不利を承知で戦闘に突入することを余儀なくされる。
 ラングレー空母部隊は、UER部隊の旗艦空母バリヤグと空母ノボロシスクを大破させる。ただ、ミサイルなどの消耗品が補充されない為、たちまち戦力不足に陥る。
 UER艦隊はアメリカ部隊旗艦ラングレーを撃沈させた。
 米軍・UERは、空母の航空兵力を陸に避難させていた。陸上での戦闘を続ける。
 南アフリカ軍は、米軍の支援により侵攻軍を撃退し、相手から停戦合意を引き出すことに成功する。
 アメリカとUERも停戦した。



解説

……世界には様々なホット・スポットという危険地域がある。これまで、小説では中東や極東が主だった。南アフリカ共和国を発火点にしたのは本作品が初めてだろう。というか、他にこの地域を発火点にした小説は聞いたことない。作者が無理矢理ホット・スポットに仕立てた感がなくもない。
 本作品は1992年が舞台だが、架空の設定が随所に見られる。ソ連(現在でいうと旧ソ連)はUERになっている(奇妙なことに政治体制は全く同じ。なぜこの設定にしたのかは不明)。また、南アフリカの三大実力者が暗殺されたことにもなっている(実際にはデクラークは任期を全うし、アパルトヘイド(隔離政策)を廃止する。それによりマンデラが大統領に就任。マンデラも任期を全うする)。
 架空の設定が現実とあまりに異なる為、近未来を描いている筈なのに逆に時代遅れになってしまった感がある。
 560ページは本として決して分厚くないが、字が細かい為、小説としてはかなりの量がある。たった数日間の戦闘を多面的に扱っているので、様々な勢力や人物が登場する。残念なことに、あまりにも長々と描かれている為、空母や巡洋戦艦の撃沈など派手な展開が盛り込まれている割には緊迫感を維持できず、中ダレする。
 よく分からないのが、「なぜこんな戦闘が始まってしまったのか」という点。
 UER がアメリカとの全面戦争の危機を承知して南アフリカに侵攻する理由が不明だし、アメリカが圧倒的な不利な状況にも拘わらず南アフリカを支援しなければならない理由も不明(発表当時はまだ黒人隔離政策(アパルトヘイド)が続いていたから、南アフリカは世界から孤立していた)。
 UERは、空母部隊を戦闘に突入させなくても南アフリカ軍を倒せた可能性は高かった。空母を待機させるだけでもアメリカに二の足を踏ませられただろう。一時的にせよ南アフリカに傀儡政権を樹立させられたかも知れない。
 逆にアメリカはラングレー以外の空母部隊が到着するのを待ってから行動していたら、戦闘をより有利に運べただろう。そもそも他の米空母部隊がUERによる安っぽい戦法で足止めを食らってしまうのは情けない。
 結末も分からない。ギディオン提督は指揮下の空母部隊の大半、そして数千人の兵を失う。が、停戦後、米国大統領(作者の意図とは裏腹に単なる馬鹿にしか思えなかった)は彼との面会で副大統領にならないかと持ちかけている。ハッピーエンドを強引に捻り出しているのだ。一方UERでは、空母部隊の司令官が戦死し、UER大統領が失脚を恐れる羽目になっている。
 著者によるご都合主義で戦闘に突入し、ご都合主義で幕を引く小説。
 本作品は第二次世界大戦から数えて六回目の空母対空母の会戦(だからタイトルがThe Sixth Battle)を描きたかっただけで、アフリカでの戦闘はどうでも良かった感じがする。海戦が終わった後はバタバタと停戦に持ち込まれ、小説が結末になだれ込むのも、それが理由だろう。



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Last updated  2005.08.04 14:34:47
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