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2015.09.29
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カテゴリ: 洋画

キングスマン
(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation
映画「 キングスマン
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 マシュー・ヴォーン監督によるスパイアクション。
 原作はマーク・ミラーとデイヴ・ギボンズによるコミック。
 凄腕スパイのハリーをコリン・ファースが演じ、スパイ組織のボスをマイケル・ケインが演じ、新人スパイをタロン・エガートンが演じる。
 悪役ヴァレンタインをサミュエル・L・ジャクソンが演じ、その片腕をソフィア・ブテラが演じる。
 原題は「Kingsman: The Secret Service」。



粗筋

ロンドンにある高級テーラー「キングスマン」は、実はどこの国にも属さないスパイの隠れ蓑だった。
 キングスマンのベテラン工作員ランスロットが、誘拐された学者(マーク・ハミル)を救出する過程で殉職。
 同じくキングスマンのベテラン工作員ガラハッドことハリー・ハート(コリン・ファース)は、ランスロットの代わりとなる工作員をリクルートし、ランスロットの死の真相を調査する事になる。
 ハリーは、17年前に殉職したキングスマン工作員の息子エグジー(タロン・エガートン)をリクルート。エグジーは、キングスマンになる為の資格の一つである「英国紳士」には程遠かったが、選考試験を経ると共に「英国紳士」たるものは何かを学んでいき、才能を開花させていく。
 ランスロットが「救出」する為に命を落とした学者は、何事も無かったかの様に勤務先の大学に復帰していた。誘拐された筈の人物が何故普通に生活しているのか、と不思議に思ったハリーは、学者を訪れる。学者は、誘拐については何も言えない、とハリーに告げた直後、頭部が爆発。命を落としてしまう。
 学者は、ある人物の接触を受けていた。アメリカ人事業家のリッチモンド・ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)である。ヴァレンタインは、通話が無料になる携帯電話を開発し、発売したばかりだった。ヴァレンタインの携帯電話は、無料とあって、爆発的な売れ行きを見せていた。
 ヴァレンタインは環境問題にも興味を持っており、地球を救うには結局人口を大幅に減らすしかない、という結論に至る。開発した携帯電話は、その計画の一環だった。携帯電話には、人間の脳を直接刺激し、暴力的にさせる機能が付いていたのである。その機能を作動させれば、人類は互いに殺し合い、結果的に世界の人口を一気に減らせる。
 人類を完全に絶滅させるのはまずいので、ヴァレンタインは「生き残るべき」と判断した人間には、携帯電話の機能を無効化するマイクロチップを埋め込む手術を受けさせていた。このマイクロチップは携帯電話の機能を無効化するのと同時に、裏切った者を殺せる仕様になっていた。学者は、この機能によって頭部を爆発させられ、死んだのだ。
 ハリーはヴァレンタインの陰謀を解明するが、ヴァレンタインに殺されてしまう。
 師匠であるハリーを殺されたエグジーは、ヴァレンタインの陰謀を阻止する事を決める。
 が、一筋縄にはいかないのを思い知る。
 キングスマンのボスであるアーサー(マイケル・ケイン)も、ヴァレンタインによって「生き残るべき」と判断された人間だったのだ。
 エグジーは、機転を利かせてアーサーを倒し、アーサーを装ってヴァレンタインが用意した「ノアの箱舟」へと向かう。
 エグジーは、数少ない仲間と共に、ヴァレンタインを倒す。同時に、ヴァレンタインによって「生き残るべき」と判断された不届き者らを全員始末した。


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感想

 本家イオン・プロダクションの007シリーズは、ダニエル・クレイグがボンド役に起用されてからはひたすらシリアス路線を走っている。
 それはそれで悪くはない。
 が、敵や、敵の動機が小粒になってしまい、面白みに欠ける部分も。コネリー・ムーア・ブロスナンの奇想天外な007に親しんできた者からすれば、物足りない(原作小説で描かれている世界に原点回帰していると言えなくもないが、回帰し過ぎ)。
 本作は、往年の奇想天外な007の世界をそのまま現代に持って来た感じ。
 無論、特撮技術は現代にアップデートしてある。

 昔の007と同様、悪役がとにかく特徴的。
 ヴァレンタインは人類の大半を抹殺する残酷な計画を立てながらも、血を見るのが大嫌い。アメリカ人事業者らしく、好物はマクドナルドのハンバーガー。アベンジャーズ・シリーズでは格好いい司令官役を演じるサミュエル・L・ジャクソンが、本作では対照的な、冷酷ながらもちょっと間の抜けた演技を披露。
 ヴァレンタインの片腕であるガゼルは、両足が剣を仕込んだ義足で、キングズマンのベテラン工作員ランスロットでさえ一刀両断にしてしまう戦闘力を持つ。演じているソフィア・ブテラは、アルジェリア出身のモデルとあって、彫が深過ぎるのでは、と思ってしまう程彫の深い顔。作中ではやけに幼く見えるが、実際には三〇代。

 悪役がやけに個性的なので、味方は少々霞んでしまう。
 その中でも一番光っているのがやはり中盤まで主役を務める英国紳士でありながらキングスマンのベテラン工作員であるハリー・ハート。背広をピシリと着こなしつつ、華麗なアクションを披露。中盤までは完全で非の打ち所の無いヒーローなのだが、ヴァレンタインと接触し始めると徐々に無能になっていき、隙が生まれ、最終的にはヴァレンタインにあっさりと殺されて退場。勿体無い扱い方だった。
 代わりに主役となるのが、新米工作員のエグジーだが、背広を着こなしてみせてもハリーの貫禄や洗練度は無く、作品全体がパワーダウンする。
 ハリーが新工作員候補をリクルートして訓練する、という部分は省き(原作には忠実でなくなるのかも知れないが)、ハリーを主人公としていた方がまとまりが良かった様な。
 新ランスロットとして、女工作員ロクシー(ソフィー・クックソン)がリクルートされるが、何故最終候補にまで残れたのかが不思議に思ってしまう程無能で、作中でも結局大した活躍はしない。英国紳士が活躍すべき設定の中で、「今は男女平等だから」という理由だけで女性を放り込んでも違和感をいだくだけ。エグジー以上に不要なキャラ。あくまでも一見時代錯誤にも見える英国紳士が大活躍する、という前時代的な映画に徹してほしかった。
 教官役およびエグジーのサポート役として、ベテラン工作員のマーリンが登場。エグジーよりはるかに経験があるという点では、ハリー亡き後は彼を主役にしても良かったのでは、と思った。
 キングスマンのボスであるアーサーは、実はヴァレンタインの人類絶滅計画に賛同していて、エグジーを殺そうとする。味方だと思っていた組織の者が、実は敵だった、というどんでん返しは最近のスパイ映画では当たり前になっているが……。本作ではやるべきではなかった展開。お陰で、ストーリーに整合性が取れなくなってしまったし、キングスマンという組織の必要性を疑わせる事になってしまった。
 そもそも、百戦錬磨のスパイ組織を率いるアーサーが、何故ヴァレンタインの怪しい計画に賛同したのかが分からない。「この手術を受ければ携帯電話による殺人電波の影響は受けません」という言葉を信じて、自身の命をヴァレンタインに預ける愚行は、スパイとして失格だろう。ヴァレンタインの計画を受け入れる振りをして、実は妨害の為に動いていた、とも考えられなくもないが、それにしては旧ランスロットとハリーをあっさりと死なせるし、エグジーも殺そうとする。一方で、ヴァレンタインの計画を完全に受け入れていたなら、何故旧ランスロットやハリーがヴァレンタインに探りを入れようとするのを阻止しなかったのか、という疑問が沸く。アーサーの裏切りというどんでん返しがストーリーを破綻させてしまっているのはとにかく残念。

 本作は、最終的にはエグジーが主人公となる。
 が、ハリーと比較すると、上述した様に洗練度に欠ける。結果的に作品全体がパワーダウンする。
 そもそもスパイになるにはお人好し過ぎ。
 キングスマンでの訓練で、エグジーは何度も命を落としそうになり、その度に教練官役のマーリンに食って掛かる。が、実はキングスマン側もきちんと配慮していて、命の危険は殆ど無かった事が、毎回明らかにされる。
 最初の一回や二回くらいは騙されて食って掛かるのは仕方ないが、訓練の最終段階に至っても「一見絶体絶命の訓練だが、実は配慮してくれているんだろう」と考える事が出来ない。結局最後の試験にも食って掛かり(無論命に危険は無かったのが明らかにされる)、一時はキングスマンには不適格、とされてしまう。
 ここまで騙され易い者が、スパイとして長く活躍出来るとは思えない。

 本家007は、リアルを追及している為か、昔の様な夢ある小道具は少なくなってしまった。
 本作は、昔の007の様に、小道具が満載。
 いずれも英国紳士に合わせたものばかり(防弾仕様の傘、爆発するライター、毒薬のペン等)。
 観ていて楽しい。
 カーアクションを意図的に避けた為か、小道具として車が登場しないのは残念だが。

 本作は、続編が計画されているらしい。
 が、そうなると主人公はエグジーやロクシーとなるが、二人では明らかに力不足。
 キングスマンのボスも、本作で最後まで残るキングスマンのメンバーの中から選ぶとなったらいずれも物足りない(マーリンは工作員としては適役だが、ボスとしては重厚感に乏しい)。
 その意味でもハリーやアーサーは退場させるべきではなかった。

 後々振り返ってみると問題や不満は残るものの、観ている最中はワクワクさせてくれる作品。
 奇想天外ではあるが、シリアスな部分があり、一方で世論を皮肉った部分もある。
 イギリスらしい映画。
 本家007もこうなってほしい。

 暴力シーンがあるので、R15になってしまうのは止むを得ない。
 ただ、血生臭さは意外と少なく感じる。


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Last updated  2015.09.30 18:56:42
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