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スズムロ家の人々 2

うずまき紫うずまき紫


関西方面 スズムロ家

■ 姑・チヨコ

亭主サトシの実家は(っていうか、ここが本家。たぶん)
とーっても広い、8LDKで
キカの住むマンションが5つは入りそうなデカイ家だ。
田舎って、こういうとこだけいいなー・・・とキカは、いつも思う。

サトシの両親は、体育会系父ゴローと、その妻チヨコ。
チヨコはマイペースだ。
すぐ泣く。すぐ立ち直る。すぐ機嫌が良くなり、悪くなる。
満足すれば、寝てしまう。
思ったことは、何でも言う。しかも自分の意見に反する応えは、最初から求めていない。
「そう思わない?!」「そう思うでしょ?!」
どんな理不尽なことでも「はい、そうですね」と相手に言わせないと気がすまない。
うっかり否定すると、泣き崩れる。
彼女の言動に他人は笑える。
キカは、ちーっとも笑えない。

ついでに言えば、4人の孫はかわいい。
けど、嫁は別にどうでもよいと思っている。

そしてチヨコが何よりもかわいいのは
一生離れられない、この人なくして暮らせないのは
ゴローではなく、2人の息子の長男タケシと、二男のサトシなんである。

2人の息子のうち、タケシは別格だ。
大事な大事なタケシに対するチヨコの愛情は
ここへきて、マグマのごとく噴き上げている。

というのも、暮れに何の予兆もなく
ホントに突然、夫のゴローに先立たれてしまったのだ。

ゴローにとっては、闘病もなく、生前、本人が望んでいたように
コロッと死ねたわけだが、残された人々は、呆然とした。

連絡を受けた、息子達も、嫁達も、親戚達も
誰も彼もが、そりゃあ、びっくりした。

息子を溺愛しつつも、夫と2人、のんびり暮らしていたチヨコにとっては
青天霹靂の人生最大の事件である。

あれから数ヶ月経った今、チヨコは、ぐるぐる状態のまま
泣いたり、笑ったり、寝たり、思いつくままに喋り通し
それでも、ある計画を思いついてしまった。
出来たら実行して、すがりたい。

ある計画は、ご大層なものではなく
誰にでもオープンなものだが、
スズムロ家の嫁及び、その親戚筋には、これからの波乱を
いともイージーに想像出来るだけに
「あーあ・・・」と溜息をついたり、裏工作に立ち向かわなければいけない。
わかりやすすぎて、誰かとタッグを組むわけにもいかず、
今回は、はさまれた位置という、最初から決まっているポジションに身を置くキカには
憂鬱であるだけなのだが、所詮、キカはB型だ。
最終的に面倒くさくなり、勝手にしろ、と
やるだけは、とことんやるが、我慢の限界で捨てる可能性は大いにある。
捨てちゃったら、二度と振り返らないのも目に見える。

うずまき紫うずまき紫






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