凍えたココロ

凍えたココロ

アネモネ



私の 熱い てのひらで 溶けた。







あなたへの愛は、尽きない。

何故、未だに夢に出てくるの?

もう、逢えない事は分かっているのに。

もう、二度と、逢えないという事は。







優しさは、時に鋭い刃となるの。

それを知らずに、

あなたは

優しさばかり振りかざした。

それを刃とも知らず、

強いお酒と共に酔い痴れた

私が阿呆だったの。

私が、私が馬鹿だった。







さあ、おいで。

この腕は、あなたを包むためにあるもの。

さあ、遠慮なく。

この胸は、あなたを抱き止めるためにあるもの。

けれどもあなたは、

他の女の味を知っているから、

素直に飛び込めないんでしょう?

そんな事は承知しているわ。







また、花が咲いた。

寿命の短い、すぐに散ってゆく花が。

それは、私なの。

もうすぐ、死んでいく運命にある私に

あなたは足が竦んでいるのね。







愛なんて、儚いもの。

あなたのほうが知っていると想っていたのに、

馬鹿みたい。

私は目の前で散っていく花を

何度見て来た事か。

その花の名は、

【アネモネ】

憶えておいてよ。

忘れないでよ。







すぐに千切れて飛ぶ花なのだから。

咲いては儚く散る花なのだから。







それでも、あなたの愛は

決して戻る事はない。

夢の中だけで、あなたは私を愛してくれる。

そしてすぐ棄てるのよ。

私は書き損じた手紙と同じ存在。







冷え切ったウォッカが、こころまで凍らせる。

喉を通るときは熱いのに・・・何故かしらね。







もう行っていいよ。

あなたに逢えて良かった。

それだけ、言いたかった。

だから。

だからもう、満足だから。







さようなら。もう二度と逢えない人。

こんにちは。真っ暗な未来。



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