凍えたココロ

凍えたココロ

失はれた夜に

灼けた瞳が 灼けてゐた

青い眸でも 茶色の瞳でも

なかつた きらきらしては

僕の心を つきさした







泣かさうとでもいふやうに

しかし 泣かしはしなかつた

きらきら 僕を撫でてゐた

甘つたれた僕の心を嘗めてゐた







灼けた瞳は 動かなかつた

青い眸でも 茶色の瞳でも

あるかのやうに いつまでも







灼けた瞳は しづかであつた!

太陽や香のいい草のことなど忘れてしまひ

ただかなしげに きらきら きらきら 灼けてゐた








立原道造


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