ほっとする音楽、猫、野菜作り

ほっとする音楽、猫、野菜作り

落葉松



 1967年、わずか56歳で惜しまれつつ逝った詩人・野上彰氏が、1947年秋、氏の最も愛した軽井沢で書かれたこの詩と、私は1972年12月に出会った。激しい感動を覚え一気に作曲した。
 言葉のアクセントと主要メロディ線のモーション、それに詩の各行の内容や比重の推移と音楽的な構成などがこれほど一致し、また品格あるポピュラリティを備え得た本曲のような作品は、私にとって一つの理想の具現である。

 曲は高原の霧雨の中からやってくる。
 やがて激しく心を揺さぶり、
 再び高原の秋の、雲霧の彼方へと去ってゆく。

落葉松

 落葉松 野上彰

 落葉松の 秋の雨に
 わたしの 手が濡れる

 落葉松の 夜の雨に
 わたしの 心が濡れる

 落葉松の 陽のある雨に
 わたしの 思い出が濡れる

 落葉松の 小鳥の雨に
 わたしの 乾いた眼が濡れる


 「落葉松」は、歌曲、女声合唱曲、混声合唱曲があります。
 加えてピアノ曲にも編曲されているとのことです。

 この曲を聴いていると、何か、心の奥深くもの悲しさが浸み通ってくるような気がします。野上彰氏のこの歌詞は、わずか八行ですが、意味深いものを感じさせます。
 秋の雨、夜の雨とは、きっと心がジーンと冷えてくる冷たい雨なのではないでしょうか。その冷たい雨が降る落葉松の林を一人歩いている自分、想像しただけで、寂しくなる思いがします。


 秋の落葉松の林を歩いていると、
 一度は吹っ切れた悲しい思い出が蘇ってきて、
 そして雲霧の彼方へ消えていった。
 気がついてみると身も心も秋の冷たい雨に濡れいた・・・・。


小林秀雄ピアノ作品選集「落葉松」 〔全音〕 【小林秀雄ピアノ作品選集「落葉松」】


小林秀雄 落葉松(混声合唱曲集)


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