ウチューのトチュー ~ 池田モノリス

2011年11月05日
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時々通信
忘れた頃に?前回の続き

最近、楽天は見まぐれ不定期更新で、ごめんなさい。
で、初めて読んでくださる方へ。




今は1972年の秋の終わり。
場所は東京中野区野方のウズマキ荘という
アパートの四畳半の部屋。

僕(池田モノリス)は早大在学中だけどバンドに夢中で
授業にも出ず、学園祭のロックフェスやライブハウスとか。

そんなある夜、ウサギと僕は糸電話で交信中。
だけど混線してるから、声も途切れ途切れ。
絵本の更新もどんどん遅れてしまうよ。





電話ボックスに八分目の海と
スプーン一杯ほどの空。
あと、あなたに繋がっている糸一本。


062-★横丁ウサギ520.jpg


「電話してごらんよ」

コトリスがしつこいから。

僕は窓をそっと開けて
物干し金具に結んだ洗濯ロープを
クイクイって2度引っ張る。

ロープの先は2階のウサギの窓の手摺りに繋がっていて
その下にぶら下がっている風鈴がこっそり鳴る。

チリリン、チリリン。

糸電話には誰も出ない。
ウサギ、もう寝ちゃったのかな。

・・・・・・

何かさ、西武線の踏切の音みたい。
まだ見たこともない小さなムシたちが
貨物列車のように繋がって
洗濯ロープをコトコト渡って行く。

チリリン、チリリン。

・・・・・・


114-★工場・月・モノリス.jpg


「はい、こちらはウサギです。
ただいま月の裏側でかくれんぼ中のため
電話には出られません」

あ、まだ起きてるんだ。

「もしもし、ウサギ」

・・・・・・

「申し訳ありませんが
長くておセンチな耳がジャマで
そちらの声が良く聞き取れません」

「最近ね、学園祭とか続いてさ。
終わったらみんなで居酒屋行って朝まで飲んで
帰って来たらそのまま寝ちゃって…」


242-★駐輪場電話ボックスD2.jpg


電話ボックスに八分目の海と
スプーン一杯ほどの空。
あと、あなたに繋がっている糸一本。

それだけあれば、
私、耳の先まで溺れられるかな?

パタ、パタ。凧みたい。
糸電話が絡まっているわ。

あなたの唇から知らない歌、
歌詞が風で聞き取れないから

私、少しイライラして
暗い箱の底まで潜るの。

長くておセンチな耳が
海草みたいにユラユラじゃま。

左の耳から海が流れ込んで
右の耳を抜け出るまで

私、ワンワン泣く。






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途方に暮れてるところです。

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最終更新日  2011年11月05日 18時53分49秒
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