つきあたりの陳列室

つきあたりの陳列室

2009.11.08
XML
カテゴリ: Other topics
(少年チャンピオンコミックス,秋田書店)

1980年代前半,少年チャンピオンにはお世話になりました。「すくらっぷブック」「750(ナナハン)ライダー」などの青春ラブコメ,「エコエコアザラク」「恐怖新聞」などのホラー,さらには手塚治虫も多数の傑作を連載してました。

しかしガキの頃の私にとって何より存在感が大きかったのは「マカロニほうれん荘」「るんるんカンパニー」「がきデカ」といった,ややイっちゃってた感じの,壮絶なまでにきわどいギャグ漫画たちでした。

それ以来,10年に1度ほどは目を通すものの,チャンピョンにはほとんど見るべきものはないと思ってました。そんな折,「たまごまごごはん」さんというブログで知ったのがこの「みつどもえ」です。ギャグで食っていくことが困難なこの時代に降臨した,その堂々たる作風に感服しました。すでに一定の人気を得て,二次創作活動も活発化してるようです。

1巻を読んでみるとやや殺伐とした空気があって敬遠しましたが,最新刊から古いほうへ順に読んでいったところ,めちゃくちゃ面白かった次第です。5巻まで買いました。



高飛車な長女,野性児の二女,陰湿な三女からなる三姉妹を主軸に,小学校六年の教室での荒唐無稽な騒動や,しょうもないいさかいや,楽しい永遠の放課後を描くスタンダードなギャグ漫画。

この作品が提供する笑いはエロを主軸としており,雌豚とか痴女とかキツいワードを多用しながら過激に展開するものの,オチの付け方に関しては(とくに新しい話では)友人や家族との温かい関係に回帰する,ほのぼのとしたものが多いです。

個々の言葉やネタは下劣だけど,読後の後味はかなりさわやかです。ただ,繰り返し言いますが,連載初期の話はかなり雰囲気が違うし笑いの質もやや落ちるので,あまりお勧めできません。5巻以降の面白さは請け合いますし,3巻以降でもたぶん大丈夫。



絵柄は単純ですが,背景やモブ(群衆)の中に描き込まれた見落としがちな部分で,ひそかに伏線を張ったり回収したりと,構成の面ではかなり技巧的です。作者自身が楽しみながら,読者を飽きさせまいと工夫に工夫を重ねている姿勢がうかがえて非常に好印象です。

1話8ページという,やや短めの尺のおかげで,長期にわたり品質を落とさず描けているのかもしれません。「マカロニほうれん荘」の鴨川つばめのこともあるし,良質なギャグ漫画家は皆で大切に支えたいものです。何度も何度も読みかえしちゃうギャグ漫画なんて,ほんと久しぶり。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009.11.08 23:58:16
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Comments

inalennon @ Re[1]:「記憶の中の源氏物語」 三田村雅子(09/19) フィンちさん >この世は なんてままなら…
フィンち@ Re:「記憶の中の源氏物語」 三田村雅子 「人生のままならなさ」への強烈な疑問と,…
inalennon @ Re:4年はあっという間(03/04) ハオさん >バーチュー&モイヤー組見…
ハオ@ 4年はあっという間 バーチュー&モイヤー組見ました。 優雅…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: