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2014.03.22
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しかし、海外勢による「右傾化」への懸念が継続すれば、「経済第一主義」から離脱したと断定され、株安/円高が再燃しかねないとの警戒感も根強くささやかれている。

<売りの主体はフランス>

東証の主体別売買動向のデータによると、海外投資家は1月に日本株を1兆1696億円売り越した。その後、10日に発表された1月国際収支統計では、フランスの投資家が株式・投資ファンド持分を8057億円売り越していたことが判明、市場の話題となった。

安倍晋三首相は昨年12月下旬、靖国神社を参拝。各方面から「右傾化」への懸念が表明された。海外勢の日本株売りと「右傾化」への懸念に関連はあったのかどうか──。

あるフランス系証券会社の関係者は、1月の売りはテクニカル要因だと打ち明ける。「マクロ系ファンドから日本株への買い注文が減り、これではしばらく日本株ではもうからないと判断し、(フランス系証券会社の)自己売買部門が裁定買い残を減少させた。アベノミクスへの警戒感が理由ではない」という。

東証のプログラム売買動向によると、裁定買い残は1月に8555億円減少。マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは、フランス1国が突出して大幅な売り越しになったのはプログラム売買の影響が大きいとした上で、「欧米の年金基金のような長期投資家が、アベノミクスに絡んで成長戦略が進まないから、日本を見限っているということはない」との見方を示す。

では、フランス系の証券会社に裁定解消を促したマクロ系ファンドは、何を理由に売ったのか。

市場では「1月は米経済の減速懸念や新興国不安で世界的に株安が進んだ。そうしたマクロの変化を取引機会とするヘッジファンドが、昨年末までに膨らんだマネーを巻き戻したのではないか」(外資系証券)との見方がもっぱらだ。

日経平均.N225は年初から2月5日までの週に13.0%下落したが、ダウ.DJIは6.9%、欧州株(独DAX).GDAXIも4.6%、それぞれ下落している。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ・グローバル・リサーチによる週次調査で世界の株式ファンドへの資金流出入動向を見ると、1月15日終了週は94億ドルの資金流入、1月22日終了週も66億ドルの資金流入となったが、1月29日終了週には一転して104億ドルの資金流出となり、翌2月5日終了週も283億ドルの流出となった。この間、日本株だけが売られたわけではない。

また、1月国際収支統計では、フランスに次いで英国が日本株を1981億円売り越したが、米国は400億円の売り越しにとどまった。安倍首相の靖国参拝について米国政府が「失望」を表明したことで日米関係の悪化が懸念されたが、株式売買データでは、日米関係に波風は立っていない。

<海外投資家の一部、日本の労働市場改革に関心>

メリルリンチ日本証券・チーフFXストラテジストの山田修輔氏は、海外の顧客からの問い合わせで「靖国」という言葉が出てきたことはないと話す。「こういう相場なので多少の懸念は出ているが、海外投資家のアベノミクスへの見方の大勢は保たれている」とし、「短期筋は株買い/円売りポジションを閉じたが、中長期の投資家の株買い/円売りポジションは残っている」と指摘する。

IMM通貨先物のポジション動向でも、投機筋の円の売り越し幅は昨年末時点の13万5228枚から1月末にかけて縮小を続け、2月4日までの週には7万6829枚となったが、足元ではまた増加に転じている。

海外の投資家の多くは、安倍政権の政治スタンスよりも、安倍政権の政策によって日本の経済や企業業績などのファンダメンタルズが本当に変化するのか、その点に関心を持っているようだ。 続く...


ロイター
http://jp.reuters.com/
http://jp.reuters.com/investing/news





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最終更新日  2014.03.22 18:48:09


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