アムリタの青い空

アムリタの青い空

龍の形をした雲とうろこ雲



とはなしていた時、携帯電話がなりました。

見ると実家からです。

でも声はちがう・・・近所のかたからで、今お父さんと変わります、といって父がでた。

「いまどこ?お母さんが動かなくなっちゃった!意識がもうないんだ。早くきて!昨日かえらないでいたらよかったんだ。」

そこにはなみだ声でおろおろしている父がいます。

昨日行った「君津中央病院」に連れていったと近所の方がおしえて下さった。

「私が行った時はもう意識がなくて、ガーガーといびきのような声をたてていなさった。薬をのもうと思っていたんだね・・・水がコップにはいって目のまえにくすりを出してあった」

長浦駅からタクシーで家まで行き、車を出して病院へ・・・。
近所の方が留守番をしていてくださった。

よく晴れた青空、地平線のすぐ上に

竜のかたちをした雲がたっくさん並んでいるように見えた。

みたこともない美しさで、うろこ雲が病院の方向にひろがっていました。

「お母さんをお迎えにきているのかしら?」

そうおもいながら病院に着きました。

父は私をだきしめて

「もうだめなんだ。手のほどこしようがないんだ。
わたしがいけないんだ。もっとやさしくしてあげればよかったんだ。そんなに悪かったなんてわからなかったんだ。」

と自分を責めてばかりいます。

母は、咽にちょくせつ管を通し酸素をおくられてどうにか呼吸をしています。

心臓は小刻みにふるえていて、不自然なようすでした。

血圧、心拍数、呼吸のモニターが規則的な波を描いていました。

お医者さんの説明

「こちらに来たときにはすでに片方の目の瞳孔が開いていました。おそらく不整脈の薬をのんでいましたから、塊が脳幹にとんで一瞬のうちにつまったとおもわれます。

両手、両足が全くうごきません。器官に酸素の管を入れる処置をしたときも、意識があればいやがります。ご家族のかたがお集まりになる時間を、とおもってこの処置を許可を得ないでしました。

いまは自分で何とか呼吸をしていますが、やがてできなくなります。その時に人工呼吸器をつけるかつけないかだけは決めておいて下さい。一度つけると安楽死はいまの日本では認められていませんのではづせません。

今晩か明日が山場となるでしょう。週末まではむりです。」

母はいつも

「逝くときはころっといきたい」

と言っていました。

父は、
「苦しみを長引かせるのは忍びない。よくなる可能性があるなら何でもしたいが・・・」

で、人工呼吸器はとりつけないことにしました。

娘が着きました。

「おばあちゃんはもうこの体にはいなくて、あのへんからみんなをみているよ。
そんなに悲しまないで。ありがとう。みんなでなかよくね。
そう言っている。」

と言う。

その時がきました。

心電図が乱れてきてみるみる血圧が下がり、心拍数も下がり、呼吸しなくなりました。

ピーーーーーー000.

テレビでみた画面と同じです。

いくら「おかあさん、おかあさん」と呼んでもこたえてはくれません。

あまりに号泣する私に娘はいいます。

「おばあちゃんは、そんなになくのをよろこんだりしないよ。それはエゴ。光にかえったんだからね。」

父・弟・息子・娘・私・・・にとっても全く完璧なタイミングで帰っていった。

これは・・・神業だわ

神様の計らいだわ。

おかあさん、あっぱれでした。


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