島流れ者 - 悪意なき本音

島流れ者 - 悪意なき本音

The Pianist

The Pianist
お勧め度:100% 

舞台は第二次世界大戦中のポーランド。作曲家・ピアニストのWladyslaw Szpilmanという、実在人物の体験に基づいたお話。若く将来を約束されたピアニストのWladyslawはユダヤ人である故に、強制所に送られ、挙句に家族とも別れ離れになってしまう。生き延びた彼の隠れ家を転々とする悲惨な状況を生々しく描いている。

アカデミーの三部門で賞を獲得しているこの映画の成功を握るのはなんと言ってもキャスティング。Wladyslaw役のAdrien Brodyほどこの役にはまる俳優はいないと言って良い。ユダヤ人独特の立派な鷲鼻や、ほっそりとした出で立ちは、栄養失調な逃亡者にうってつけ。悲しげな主人公の生活を素晴らしく表現されているのは、演技だけでなく、この役者のもともとの寂しい顔。この顔じゃ、本人に何か良いことがあったときでも“大丈夫?”と聞かれるだろう。だからこの暗い顔でなんとも言えずいい味を出していて、悲惨な隠れが生活を更に哀れに見せて視聴者の涙をそそる。ナチの第二次世界大戦を舞台にした映画にご存知“シンドラーのリスト”が記憶に新しいが、どちらも見てもあまりの戦争の醜さ、歴史を繰り返す人間の愚かさに苛立ちと覚え、苦しみを受ける人々の姿が見るに耐えずに泣けてしまう。“シンドラー...”と同様、悲しい作品であるが、違うところは、ピアニストである主人公を中心に、音楽の要素を取り入れている為、全体にそこまで重くなく仕上げてあるところ。だからこの映画を見た後にずっしり暗くなってデートの約束を急にキャンセルしたり、がつがつと飯や菓子を食っている自分が醜く感じ、その日から絶食を試みようと思ったりの副作用が無い。あほらしい映画ばっかり見た後にちょっと真面目なのを見て人生について考えたいときにお勧め。


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