島流れ者 - 悪意なき本音

島流れ者 - 悪意なき本音

ガソリン代だけじゃなくて・環境保存後進国



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現在ロスアンジェルス郡の平均ガソリン価格は1ガロン当たりUS$2.36。これに伴って、大型のSUV(Suports Utility Vehicle)の売れ行きが低下する中、小型のものが伸びを見せている。

フルサイズSUV:Chevrolet Surburban (8シリンダー、5.3リットルエンジン)
燃費1ガロン当り:14マイル
年間ガソリン代:$2571 
売上:21%ダウン

ミディアムサイズSUV:Toyota Highlander (6シリンダー, 3.0リットルエンジン)
燃費1ガロン当り:19マイル
年間ガソリン代:$1895 
売上:15.5%アップ

コンパクトSUV:Ford Escape (4シリンダー,2.0リットルエンジン)
燃費1ガロン当り:23マイル
年間ガソリン代:$1565
売上:49.3%アップ

注:
1. 1ガロン=約3.79リットル、1マイル=約1.60キロメートル
2. 燃費は市内乗り
3. 年間ガソリン代は、年間15,000マイルの市内乗りをしたと仮定して
4.売り上げは今年4月のものを去年の4月のと比較

(ちなみに私の乗っているホンダシビックはマニュアル車で1ガロン当たり39マイル走る)

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ここ数年のSUV熱は驚くべきで、ちょっと車で出掛けて周りを見渡すとSUVがすぐ前に、トラックが両脇に、そして後ろにもまたファミリーバンが走っているなんていうのは当たり前なのでなんとも思わなくなってしまったという人も多いだろう。アメリカは何でもデカくなくちゃって言うケッタイな国だ。二十年以上前に起こったオイルショックのとき以来、燃費が良く性能がいい日本車が人気が出るようになったが、それでもここ最近の自動車メーカーのマーケティング戦略に洗脳された人々は、猫も杓子もSUVを買うようになった。

SUVを買う人の理由はそれそれあるが、その多くは本当に必要でないような気がする。例えば、子供が沢山いる家庭では話は別だが、たいていの場合たった一人や二人の子供を持った家庭や、もしくは子供なしの家庭、または、独身者でもこのSUVに乗っている。仕事で必要?大工やいろんなものを配達するような仕事についた人ではなくて、ホワイトカラーのとりわけ沢山荷物を持って異動することのない人たちまでにもこのSUVは人気だ。

アメリカでこの手の大型車が人気があるのはやはりなんと言ってもガソリン代の安いことが一番の理由であろうと思う。なんてったって日本のそれと比べたら、いくら価格上昇している今でも安い。アメリカ人はガソリンをただ同然と考えている国民なのでこの件に関しては皆、大騒ぎしている。

この記事にも、幾人かの一般人のコメントの中で、今回車を新しく買い換えるが、前回車を買うときは、燃費の事なんか頭になかったというのがあった。日本人にしてみたら、よほどのお金持ちでない限り、燃費のよさは多分車選びにはとても重要な点ではないか?そして、この記事を読んだ後にほかの記事を読もうとしてぺらぺら新聞をめくると、やたらとSUVの宣伝が目に付いたので、数えてみると8台中、6台がSUVだった。

アメリカ人よ、考えても見て給え!ガソリン以外にも世界中の30%のエネルギーを使っているのは君たちだぞ!(でもここに住んでいる私も含めてって事なんだが...)あたかもエネルギーを使うことは彼らの権利ですらあると考えているところが間違っている。その証拠に環境保全に関しては全く遅れていて、リサイクルをするということがきちんと国民に浸透していない。ようやく今頃になってあちこちの店のウィンドーに、‘空き缶、空ボトルをリサイクルしましょう’なんていうポスターを見るようになった。日本じゃこんなの30年位前からやってるぞ!

以前の日記にも書いたが、ブッシュ政権になって今まで10年くらい掛かってやってきた環境保全の努力をいろんな規制を緩和して、後退させているのだ。例えば、大型車、個人乗りとするものではなく、商業用の大型車に対しての税金控除をしたことにより、一般のSUVよりも更に大きな、Hummerという、軍用のトラックを基に作られたガソリン垂れ流し車まで出てきた。このHummerの宣伝を見ているとあたかも大きいのは素晴らしい、カッコいいといわんばかりのもので、見ていてイライラする。でも、そんな宣伝に魅せられて買ってしまうアホで身勝手な人たちもいて、最近この車を結構見かけるようになった。

また、ブッシュは、自動車産業を全面的に支援するという理由で、環境保存団体等が要求する、燃費がいい車を政府が促進するようにというものも却下したようである。なんと言う近視眼的な発想であろう。大体アメリカは、公共交通機関の発展を怠って、どんどんハイウェイをぶっ建て行ったおかげで、ほかの先進国には例を見ないガソリンに頼った車社会になってしまったのだ。それを修正するどころか、もっと事態を悪化させるのに躍起になっているとは。

この話をしだしたら止まらないので、話を元に戻すとして、誰でも今までなしで生活していたところに便利なものが入ってきて使い慣れるとそれなしでは生きてゆけなくなってしまうという錯覚に陥りやすい。昔SUVなんてなかった頃、子沢山の我が家では、小さな小さな軽トラックのバン型に乗っていた。父親が大工であったせいもあって、この晩、結構大工道具を運んだり、週末は5人(一番下の子はずいぶん後になって生まれたので私の子供の頃は5人だった)を乗せていろんなところに行ったものだ。確かに狭かったけど、それでも別に不自由した覚えはない。

それが今では10人乗りのバンやSUVをたったの3人から4人の家族がわんさかわんさかいろんなものを詰め込んで乗っている。確かに便利ではあるが、普通の乗用車でもいいんじゃないかなーって思うの私だけだろうか?車が狭けりゃどうしても必要なものだけ入れて持ち物を減らすとか、いろいろ工夫すればいいように思うが。(子供のいないわたしがこんなこと言っていたら、フェアじゃないとお怒りの方、ごめんなさい。でも本当のことなので。)

幸いにして、今大型のSUVの在庫を抱えたディーラーでは、大幅値下げしたり、いろんな得点をつけて、これらを売り払おうと躍起になっているという。でも私の予測としては、多少大型車の人気が落ちるとしても、‘のどもと過ぎたら’という感じでしばらくしたらまた人気は吹き返してくるだろう。なんてったって、何でもデカけりゃいいって言うアメリカだから。それにしても、アメリカ人がガソリンが高いからSUVは買わないとか言うんじゃなく、環境に対してどういった影響を及ぼすかって事を考た上で、便利なものなら何でもいいという考えを捨るというようになるにはいったい何年、いや、何十年掛かるんだろう??


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