tomorrow

tomorrow

ハートのエースが出て来ない!!



それが英樹の口癖だった。

どんな手を使っても、欲しい物は手に入れてやる。

「好きよ!愛してる!サヨウナラ!」こんな言葉の駈け引きに俺はいつからか麻痺しているのかもしれない。

真実だけが欲しくて、あいつに愛を求めていたのかも?

順一は俺に言った!

「英樹は夢って無いの?」

俺は誰も信じない!俺は何も夢見ない!俺は。。。

「平凡に、波風立てないで静に生きて行く事!熱くならないし、ムダな夢は見ないよ。」

バイクで風を切って走ると、すべてを忘れられる。

いい女の条件?

従順で俺の言う事を何でも聞いてくれて、俺と同じ考え方で

すべて、ハイ。と答えてくれる奴。

そんな俺の好みに変わって行く女を見ているとかわいい奴と
思える。

「そうかなぁー?俺はそうは思わないけど?」

「順一!!お前はだからおめでたいって言うんだよ!」

「お前には、学習能力無いんじゃないの?あれだけ傷ついて
メソメソしていたのもう忘れたの?」

「確かに、英樹には世話になったけど?」

「順一、俺は賭けに出るよ!!あいつを俺の物にするんだ!!」

「俺の事好きだったら、あいつも変わるだろう?」

「えっ、どうするのさ?」

「俺と付き合いたいと言ってきた、マユミを利用するのさ、
あいつが嫉妬してきたら、俺の勝ちさ!!」

「でも、英樹!!あの子それで失ったらどうするのさ?」

「俺にダメージは無い計算さ。その時はマユミと取り合えず
付き合うさ!!」

「好きよ、愛してるなんて言葉に騙されちゃダメさ。所詮一つになれないのが、男と女さ!!

「順一、それが俺とお前の頭の違いさ!!」

悪気は無いのさ!!恋はゲームなのだから!!

クールに行こうぜ!クールに!

熱くなった奴の負けなんだから!!

英樹は深く吸い込んだセブンスターの煙を空高く吐いた。

この時から僕らの辿る道は二つに別れた。

アダムとイブが昔ひとりの人間だった様に。

天使と悪魔が存在し、光と闇がある様に、

順一と英樹が相反する二人である事を二人はお互いに知って
いたのである。

                つづく。


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: