tomorrow

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アジアの片隅で。



蝉の声は高く鳴り響き肌を通り抜けそうな日差し。

僕はスタンドのマネージャーと車を運びに車載車で、

湾岸道路で渋滞の中にいる。

お盆になると。何故ひとは故郷へ帰るのだろう?

こんなにも渋滞の中、渋滞表示は真っ赤で、50キロも

続いている。「順一、寝ててもいいぞ!」マネージャーはタバコに火をつけ、たまに窓を開ける。

カーラジオから、ニュースでこの国は豊かだと騒いでいる。

広島の日が近づいてくると、僕は思う。

この国はアジアに何を償ってきたのかと。

広島を知っている人達は年々少なくなって行く。

そう、今日は長崎の日だ。

戦争は世界のどこかで続き、テロリストは身を潜め、

チャンスを窺っている。

焼け野原から、街は復興したが、僕らは本当に豊かなのだろうか?

渋滞の中、家族で故郷へ向かう家族を窓越しに見た。

僕には、どんな暮らしが幸せなんだろう?

「順一、私は平凡で、穏やかな暮らしがしたいの」

これから、僕らは何処へ向かおうとしているのか?

ふっと、湾岸道路の渋滞に巻き込まれながら思った。

アジアの片隅で、僕は明日どんな夢を見るのだろうか?

カーラジオからは、ボブディランの風に吹かれてが流れていた。

                   つづく。



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