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気の早いサンタクロース


11月も早い物で、もうすぐ12月。

順一は相変わらず学校とガソリンスタンドの往復だった。

いよいよ寒くなってくると、灯油の季節がやって来た。

順一はまず、バイトに入るとサニートラックの荷台の上のタンクに灯油を入れ、近くの団地に灯油の配達に出かける!

辛いのは、団地はマンションと違い、エレベーターが無いので上の階までポリタンクを運ばなければならない。

それが終わり、スタンドに戻り、いつもの仕事に戻る!

今月はいつもの月より、多くシフトに入った。

前にユミコと日本橋に映画を観に行った時、

「ねぇ、順一、私たちも映画みたいにTIFFANYに行かない?」

僕は革のジャケットにイタリアンシャツ、

ユミコは綺麗なネイビーブルーのワンピースでTIFFANYへ出かけた。

日本橋のTIFFANYはニューヨークのお店よりは狭く、品数は少なかったが僕等は満足だった。

「これ、見せていただけますか?」

僕はユミコにシルバーのオープンハートのネックレスを薦めた。

シンプルだけど、少し歳よりも落ち着いたユミコには、とても似合った。

「順一!!似逢う??大人になったら、買ってね!!」

店員は僕等の会話を聞きニコニコと微笑んでいた。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

次の日、僕は授業を抜け出し、日本橋のTIFFANYに出掛け、

昨日の店員をお店で見つけ出した。

店員はニコニコと話かけてくれた。

「昨日のかわいい彼女のプレゼントですね!!」

彼女は笑った。

「そうなんです!!お願いがあるのですが、再来週まで、このネックレスお取り置き出来ないでしょうか。」

僕は丁寧に彼女に頼んだ!!

「いいですよ!!本当は出来ないのだけれど、私が個人的に
売れた事にしてあげる!!」

僕はとても感謝した。映画に出て来る様な粋なお店だった。

僕はただ、ユミコが白いリボンを解き、水色の箱から、

喜んでネックレスを取り出す姿を想像している

チョット気の早いサンタクロースだった。


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