tomorrow

tomorrow

夢を見る事も出来ない位に。


ハンバーガーをコーラで流し込み僕の昼は終わる。

油でまみれたツナギのまま、指と爪の間は、

さっきオイル交換をした、十トントラックのディーゼルエンジンの墨汁の様なオイルのお陰で、石鹸で手を洗っても爪の中まで落ちない!

「順一!もう、お客さん待っているぞ!」

マネージャーの声に、

「十分あれば、食事終わります。」

僕は慌てて、ケチャプをかけた、ポテトを頬張った。

味も判らないけど腹にとりあえず流し込んだ。

僕はこの先、どうなるんだろう?

そんな時、中学時代の友達がやって来た!

「おお、順一久しぶり!」

彼は白いハコスカでガソリンを満タンに入れた。

「俺、今トラック乗っているんだよ!手取りいいし、今度子供産まれるんだ!」

彼は聞きもしない、友達の話しや、昔の女の話しをして帰って行った。

僕もついに22歳音楽も辞めて、就職活動も始めないと!

10年後はどうしているのかな?

仕事見つからないで、このまま、スタンドのマネージャーか?

トラックの運転手でトラック転がして、忙しい毎日なのかな?

この街の大半の友達と同じ様に!

僕の心の中で何かが弾けた!

「違う!だって僕は僕を見失う為に生きて来たんじゃい!」

答えはここにある!

だけど、情けないけどこの生活から抜け出す術が無い。

出来る事は祈る事!「求めよ!求める者は与えられる。」いつだって僕はこの街から抜け出してみせる!

そう祈りながらも、日々の忙しい日々に漠然と働くのだった。

夢を見る事も出来ない位に。

                     つづく。


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: