ジョナサンズ・ウェイク

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仄暗い水の底から(鈴木光司)


しかしどんな作家のどの作品もあのときの衝撃を超えることはなかった。あの「怖さ」を超えることはできなかった。
安易なオカルティズムはもう沢山だ。陳腐な殺人の動機にももう飽きた。
「ダークウォーター」を観たのを機会に、連作短編集「仄暗い水の底から」を10年ぶりに読み直して感じた。鈴木光司は「怖い」。何が「怖い」のか。それは活字の限界を鮮やかに乗り越えたかのように五官に直接訴えてくるその文章力、斬新な発想、その対極にある徹底したリアリズム。それらが組み合わさって進行する物語が、読み手の心の内側を侵食する。文体が「怖い」のだ。
真夏のクーラーさえも必要ない。

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