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影男の屋根裏部屋
アメリカン・サイコ2
一応前作「アメリカン・サイコ」の続編と謳っていますが、
本質的に別物と考えた方がいいでしょう。
前作は見た人によって評価が分かれる微妙なできでしたが、
この続編においては更に微妙といわざるをえません。
まずキャストが決定的にスケールダウンしています。
クリスチャン・ベールをはじめ、リーズ・ウィザースプーン、
ウィリアム・デフォー等、比較的著名な俳優が出演していた前作に対し、
少なくとも同じレベルの俳優が全く見当たらないのは少々寂しさを感じます。
原作も含めて、「アメリカン・サイコ」という作品のテーマは、
殺人をクレジットカードをきるのと同じような感覚で行う、
病んだ世界観である筈なのだが今作の女主人公レイチェルは
FBIの連続殺人捜査官になるという非常に具体的な目標を持っており、
これに執着するあまり障害となる人物を次々と殺害していくのである。
そこには前作のベイトマンのようなぼんやりとした不安は微塵も感じられない。
迷いが全くないのである。
で、最大の疑問がわいてくる。どこがサイコやねん、と・・・。
レイチェルが犯した殺人にはすべて明確な理由がある。
例えば、成績優秀にもかかわらず一年生であるということだけで
申請書を受け付けなかったオールドミスの事務員。
金の力にものをいわせて買収しようとした男子学生。
色仕掛けでFBI行きの切符を手に入れかけた女子学生。
邪魔になった人物を即殺すという発想は確かに異常ではあるが、
現実世界の保険金目当ての尊属殺人とか、恐ろしいことだが実際
珍しくもないわけで、タイトルの“サイコ”という言葉を当てはめるには
かなりの違和感が生じるのである。
加えてシナリオの幼稚しか言いようのない破綻っぷりも凄まじく、
いちいち例をあげると
1)そもそも大学に入学するのも別人を殺してすりかわっている
→頭がいい設定なのに何故そんなことをする必要があるのか?
2)限定された狭い範囲内で連続殺人が行われているにもかかわらず、
主人公が全く捜査線上に現れてこない。
→普通に有り得ないでしょう。
3)元FBI捜査官の教授の助手になることだけがFBI捜査官になる
方法なのか
→本人が優秀であれば他の方法もあるのではないでしょうか?
4)FBI捜査官になれる唯一の道であるはずの教授をあっさり
殺してしまう
→今まで費やしてきた努力は?
5)※ネタバレ注意!!※
最終的には再び別人としてFBI捜査官におさまっている
→結局別に方法があったんじゃねーかw
などなど、更に細かいところも上げていたらきりがありません。
いい加減なシナリオに、矛盾しまくった主人公含め登場人物の行動。
バカ映画にもなりきれない後味の悪いエンディング。
はっきり言って見どころは無いです。ツッコミどころは満載ですが、
だからと言って笑いのレベルにも到達していないので非常に扱いに困ります。
一番いいのは「見ないこと」これにつきると思います。
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