かい君のよろず日記

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Nov 21, 2024
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田沢食堂つづき
先ほどまで僕らのテーブルの横でご飯を食べていた老夫婦だがおばあちゃんがラーメンを食べ残して2人とも店を出て行った。
結構店は繁盛していて、僕たち中華そばの醤油と味噌を注文したが、出てくるまで結構時間がかかっていた。
お水とかお茶はセルフサービスになっていて、畳の部屋の両端にちゃぶ台が置いてあり、ポットが置いてあった。結構寒かったので、湯のみに熱いお茶を入れようと思ったが、ブッシュという音が出て少し残っていたお茶が吹き出して手にかかり激アツだった。僕らより後に入ってきたじいちゃんが同じようにお茶を入れようとしたが、ポットは虚しく、ブッシュという音を立てて飛沫を撒き散らすだけだった。おじいちゃんは常連さんなのか、お店の人を捕まえて「お茶がありません」
と大きな声で訴えていた。お店の人も
「あら、ごめんなさいね」
と言ってすぐに熱々のお茶を持ってきてくれた。
そう、こうしているうちに先ほど僕たちのテーブルの横で、ラーメンを食べていた老夫婦のおばあちゃんだけがまた店に入ってきてそこら辺をうろうろしだした。
そのおばあちゃんは、先ほど自分たちが座っていた座敷のテーブルの下を覗き込んで何かを探しているようだった。
おばあちゃんが
「この辺にカバンはありませんでしたか?」
と話しかけてきたので
「いや〜なかったですよ」
と答えると
「スミマセンね」
と言って座敷から出て行きお店の人に、
「カバンは忘れてませんでしたか?」
と地元の言葉で尋ねていた。しかし、お店の人も、
「なかったですよ」
と地元の言葉で言っていた。
おばあちゃんは、しばらく納得が行かないようだったがトボトボと外へ出ていった。
しばらくして僕らの中華そばが運ばれて来た。
僕はしょうゆ味で妻はみそ味だ。どちらもボリューム満点で500円のラーメンとは思えない。スープも美味いし麺も美味しい。文句無しに合格だ。妻のみそ味を少し食べさせてもらったが、独特のみそ味でこれまた、美味しい。隠し味に生姜が入っていたかもしれない。とにかくこのお店は満点だ。
美味しい中華そばをすすっているとさっきのおばあちゃんがまた店に入って来た。紫のジャージですぐに分かった。そしてまた座敷に上がって来て
「カバン忘れてませんでしたか?」
と聞いてきた。
「いや〜なかったですよ」
と僕が答えると向かいの席に座ったてた若いお母さんが
「私も見たけどなかったよ」
と地元の言葉でおばあちゃんに言ってくれた。おばあちゃんは
「カバンに免許証や保険証が入っるからないと困る」
と言ってあちこちの机の下をのぞくが見当たらない。諦めて座敷を出ていくとまたお店の人に
「カバンが落ちていませんでしたか?」
と尋ねている。お客さんか多い時間帯で忙しいにもかかわらずお店の人は粘り強く
「あったら連絡するから」
と答えている。恐らく常連さんなのだろう。おばあちゃんは一応納得してまた店から出ていった。
中華そばは結構な量でお腹一杯になった。満足した。
と思っていたらまた紫ジャージのおばあちゃんが店に入って来て座敷に上がって来た。今度はおばあちゃんは
「皆さんスミマセンね、ちょっと机の下を見させてもらえませんでしょうか」
と宣言して全ての机の下をのぞいて行く。他のお客さんも「仕方がないなぁ」という感じでおばあちゃんが一つずつ机の下をのぞくを見守っている。
おばあちゃんは机ごとのお客さんに
「スミマセンお食事中に」
と毎回あやまりながら全部の机を見たがカバンは見つからなかった。
おばあちゃんは諦めきれない顔で座敷から出ていった。そしてまたお店の人に同じことを言っていた。
僕は妻に尋ねた、
「あの人認知症と違うか?」
「間違いないと思うわ」
妻は認知症のスペシャリストのベテラン看護師だ。
「やっぱりそうか、最初からカバンなんて無かったようやしなあ」
「そうやね、お店の人も認知症て分かってはるみたいやし、慣れたはるわ」
「そうか・・」
「おじいさんはどこへ行ったんやろな」
「さあね、おじいさんも認知症て分かっているはずなんやけどなぁ」
「ほんまやな」
僕たちは食事を済ませて席を立ち、お会計をしようと座敷から出ようとしてたら、また先ほどの紫ジャージのおばあちゃんが店に入ってきた。そして僕らの横を通り抜け、また座敷に上がっていった「あー こりゃ、アカンわ」
僕ほなぜかため息が出た。
妻がお会計を済ませてくれた。500円の中華そばというだけでも安いのに消費税すら取られなかった。お店の人が
「お会計1000円になります」
と言った時には思わず
「え、消費税はいらないんですか?」
と言ってしまった。
「はい」
とお店の人はさらりと言った。
弘前に来た時にはこのお店は外せないと心に誓ったのである。
お店を出て禅林街に向かおうとしたら、先ほどのおばあちゃんの連れのおじいちゃんが、白い軽トラを歩道を塞ぐような格好で駐車していた。もうカバンが最初からなかったのは明らかで。おじいちゃんもおばあちゃんが認知症なのは承知の上のはずで、お店の人に迷惑がかかるからなどとは考えないのだろうか?僕なら
「カバンは家に忘れてきたかもしれないから、一旦帰ってみようか」
と、声をかけておばあちゃんを車に乗せるけどね。このじいちゃんも半分認知症なのかも知れない。
なんだか切ない風景だった。
でも中華そばはうまかった。田沢食堂、弘前に来たら必ず寄りたい。







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Last updated  Nov 21, 2024 10:40:19 AM
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