★アバクロ★JuicyCouture★GAP通信★安可愛なアクセ★★かいたんと一緒♪

傍に居たくてもいられない



snow

この年の3年前の冬に父がHCC(肝細胞癌)で亡くなり

母1人になった実家は閑散としていた

母には申し訳なかったが

お仕事の関係上、どうしても実家へ帰るわけには行かなかった

何より、実家へ帰るという事は

プラーグがずっと目指していた夢を諦めることにもなり

更に都会の様に高額なお給料のお仕事は無いので

母への仕送りも出来なくなる

生活力のない母には収入なんて無いに等しかった

更に極端な過疎化が実家経営の飲食店経営に影響し

車の免許を持っていない母は仕入れすらいけなかった







この頃プラーグは病院でのお仕事の後に

祇園町でのホステスや家庭教師

ある化粧品ブランドのメイクモデルや陶芸の先生の被写体モデルを掛け持ちして

多い月で100万円近くを稼ぎ出していた

そのうち、月に20万円以上も仕送りをしていたのだ

そして夢だった職業についた時の当面の生活費も蓄えていた

この職業につくと、3年間は契約社員のスタイルを取る会社が多かったからだ

そして研修に次ぐ研修で忙しい上に

時間も不規則 海外勤務もある

とてもじゃないけど足りない分をアルバイトで・・・

という分けにはいかなかった

だから貯蓄を作る必要性があった

そこまでしてでも就きたい職業だった

亡くなった父は、私が大学進学時に私の授業料を支払うと言う名目で

実家の教育委員会から4年間に渡って奨学金を受け取っていた

もちろん、1円足りとも父から授業料が支払われたことはなかった

何より、そのようにしてお金を借りられてしまっていたことなんて

私の耳に入ったことなんてなかった

私本人の確認もせず

教育委員会は父にお金を融資してしまった

大学卒業後に突然私宛に送られてきた奨学金返済に関する書類

それは200万円以上に及んだ

更に私の郵便貯金から50万円が勝手に引き出され使い込まれていた

そういった背景もあり、私はお仕事にバイトにと駆けずり回っていた








彼の傍にいたい・・・

そう願って止まない気持ちとは裏腹に

夢を諦めきれない自分、その生活を捨てきれない自分がいた

1週間のウィンターバカンスを研究室から頂き、更に年末年始の休暇を合わせると

お休みは2週間にも及んだ

でも海外から届いてるであろう多数の研究室宛の書類が気になって

予定より早く切り上げて帰ることにしていた

以前からこの長期休暇を使ってニューヨークへ行きたいと思っていたのだが

911テロがあったので自粛した

すると私は実家行きのチケットを予約していた







帰ってから何かにつけて忙しくあっと言う間に数日が過ぎた

父の法要でお寺に出向いたりもしていた

そして実家から更に150km北にある老人ホームに住んでいた祖母を見舞った

しかし明日には京都へ向けて帰る予定にし、帰りの寝台列車も予約していた

彼どうしてるかな・・・

『休暇で実家へ帰ってきました。お元気ですか?』

そう鏡に向かって話している私がいた

声を聞いてしまうと帰れなくなってしまいそうな自分がいた

でも気がつくと、プラーグはリクさん(彼)の携帯電話に電話をしていた







“ぷるるるる”

電話が鳴る

体は緊張から冷たくなり、心臓は飛び出しそうなほどだった

リク:『もしもし!! おう、久しぶり!! 

  今どうしてる?? 元気か??』

リクさんが出た

周りはかなり賑やかそうだった

リク:『ごめんごめん、実は忘年会の真っ最中なんだ(^^ゞ

  ちょっと待って・・・』

そう言ってリクさんは外に出てくれた

プラーグ:
  『ごめん、忙しいのに良かった? 実は実家に帰って来てたの。

  連絡しようと思ったんだけど、忙しくてなかなか連絡できなかった・・・

  外かなり寒いでしょ? 大丈夫??』

リク:『俺が好きでしてることなんだから、お前は気にするな。』






久しぶりのリクさんの声に、プラーグは幸せだった

いつしかディズニーランドの話しになった

プラーグが大学を卒業した年の冬

リクさんの誘いで東京で落ち合って一緒に行った事があった

この頃私はお仕事をしながら仮面受験でよく東京へ行っていたのだ

偶然にもリクさんは出張で東京へ来る事になった

それでJRの舞浜駅で落ち合った

リク:『久しぶりだな』

そう言ってリクさんは私に手を差し伸べてきた

それからずっと手を繋いでいてくれた、何処へ行くにも

ずっと、ずっと・・・



←一番初めに戻る

≪続く≫


© Rakuten Group, Inc.

Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: