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それぞれの旅立ち



さすが進学校だけあって

入学早々の授業は実際に大学受験で出された問題を

解いていく授業が多かった

生徒の殆どは放課後に進学塾通い

でもプラーグは月・木・金・土・日とハンバーガー屋さんで

アルバイトを始めた

この頃1人暮らしの祖母の家から高校へ通うようになった

暴力だらけの実家を出たかったし

何より私の進路を父に邪魔されたくなかったからだ







時給400円からのスタート

小さい時から貯めていたお年玉も合わせて

高校3年間で250万円ほどの貯金が貯まった

毎月のバイト料から

M先生に受けるレッスン代と銭湯代(祖母の家にお風呂は無かった)

学校での昼食代を出し

そして、大学進学の授業料や生活費を貯めていた

楽器の練習は放課後の教室や

バイトが終わって夜遅く帰ってから

部屋の押入れの中だったり・・・

お天気のいい日は原付のステップにサックスを載せて走り

広大な日本海を目の前に練習していた

火曜日がレッスン日

水曜日は市民吹奏楽団の練習日だった

この練習をきっかけにリクさんと会話をする機会が多くなった







高2の冬休み

プラーグは仲良し4人組で1泊2日のスキー旅行へ出かけることになった

1泊5千円の民宿を予約し、早朝の駅で待ち合わせた

特急に乗り込み、途中で各駅停車の電車に乗り換える

女の子4人組み

道中うきうきして話しが尽きない

気がつくと、好きな人の話で盛り上がった

でもプラーグはいつもこういう話しになると

聞いてばかりいるほうだった

それで、その話しが終わった頃に向かいの席に座っていた2人は別の話で盛り上がり始め

するとリカが話しかけてきた

リカ:
  『ねえ、プラーグ。あんたは彼に告白しないの??』

私が彼を好きなことを、リカは唯一知っていた

お互いよく泊まりに来たり行ったりし

M先生の所に一緒にピアノのレッスンを受けに通った

原付でよく2人乗りしたのも彼女とである

彼はM先生の教室での音楽会のお手伝いに来てくれたこともあって

リカは彼を知っているのだ

プラーグ:
  『そんなあ。。。無理に決まってるじゃん(^^;

  リクさん、大人だよ、大人(--;

  相手にしてくれるわけないじゃん。。。』






高校3年生の春

私達はM先生の音楽教室で弾くことになっていた連弾の曲と

彼女の伴奏で吹くサックス演奏の練習のため

リカの下宿先で練習していた

彼女の実家から高校は遠く、それで彼女は下宿をしていた

そこに電子ピアノを持って来ていたのだ

その後リカと2人で自転車に乗って

日本海を見に行くことになった

下宿先から自転車で30分は掛かる

ゆっくり漕ぎながら色んな話をした

リカはこの頃、私の幼馴染みの告白を受け付き合っていた

でも頑張り過ぎる幼馴染みに圧倒され

別れを考えていた

お互いの進路のこと、将来のこと、沢山、沢山話した







リカ:
  『私さあ、仙台か東京の学校受けようと思ってるの

  プラーグは京都だよね。』

プラーグ:
  『うん、京都へ行くよ。憧れの土地だもん。』

リカ:
  『でも、そしたら彼に会えなくなっちゃうね。

  それって寂しいじゃん><』

可愛がってくださった先輩が京都の大学へ進学したこともあり

その影響も受け、プラーグは何の迷いもなく京都へ行こうと考えていた

リカ:
  『まだまだ先の事過ぎて、あんまり実感ないよね(^^;

  来年の今頃、私達どうなってるかなあ?』







秋になり、センター試験の申し込みが迫っていた

受験に対する実感も沸いてきた頃で

同級生はみんな卒業後の進路が具体的に定まってきた時期でもあった

プラーグは生物以外の理科系がかなり苦手だったため

私立の大学受験も考えていた

それで比較して、夜間学部のある大学と

授業料が安価で奨学金が充実している大学に絞った

そして、 新聞奨学生 を利用する事も頭に入れていた






ある日の吹奏楽の練習の帰り

その日プラーグはバイクではなかったため

真っ暗になった中を歩いて祖母の家まで帰ろうとした

すると後ろから1台の車が近づいてきた

彼だった

リク:『歩いて帰るのか? 変なおじさんに誘拐されるぞ(笑)

  さあ、乗った乗った!!』

プラーグは彼に送ってもらうことになった

大雪の日に彼が駅まで乗せて行ってくれた時を思い出し

プラーグはまたどきどきしていた






リク:『お前ん家、確か○△◇にあったよな?

  あんな遠い所まで、歩くつもりだったのか??

  着くのは明日になるぞ!!(笑)』

プラーグ:
  『ああ、実は・・・』

家庭問題があって、実家を出て祖母の家に居ること

アルバイトをしながらお金を貯めて

大学進学を目指している事を話した

リク:
  『それでかあ。お前が制服着てても高校生らしく見えないのって(笑)』

確かに大人っぽくは見られやすかったし

バイト先のお客さんに高校生であることを告げると

いつもびっくりされてた

しかし、高校生の私には

彼のこの言葉が胸に“ぐさッ!!”っと刺さった

それが分かったらしい彼は

リク:
  『・・・と言うオジさん台詞は冗談として

  いつもお前を見てると何か背負ってるように見えて

  気になって仕方がなかったんだ

  実は俺もいろいろあってなあ。。。』

それからリクさんは真剣な眼差しをし、時には懐かしそうな顔を浮かべ

彼自身が経験した事を話してくれた





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≪続く≫


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