『Japanese Poem-かな短歌-』

『Japanese Poem-かな短歌-』

トロ


 我輩はトロである。一般的には珍しい毛並みのセピア色のそれでいて縞模様のあるオスである。生まれた場所は知らない。親がどんな生活をしている猫であるのかまったくわからない。ある日高校生の女の子のいる家にいた。2002年10月のことである。
 ところがである。ある日変なうちへ連れられてきた。まだ私は生まれたばかりでなにがなにやらわからなかった。やたら広い家だがなにやら小さな竹篭に入れられてしまった。どうやらここの主人は私が勝手に逃げると思っているらしい。まだミルクしか飲んでないのに、どこへにげるというんだ。さてはかなりの臆病なんだ。

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あるとき、私は風邪を引いた。何も食べられなかった。うんちは真っ黒、これはただ事ではないと私の主人はあわてて犬猫病院へ連れて行った。病院の医者は
「まだ、小さいから、牛乳はいけませんねえ。やっぱり子猫用のミルクをあげてください。卵の黄みと一緒に温めたあげてください。」
とのことだった。私はやせこけてもう死ぬ寸前であったようだが、主人の懸命な看病のおかげで日に日に元気になった。どうやらここの主人はかなり動物が好きらしい。とにかく主人のおかげで私は助かったらしい。
病トロ


 いつも主人は寝るころになると、私を30cm四方のかごの中に閉じ込める。たしかに中はあったかい布団が敷いてある。それにしても狭い。あさ7時になると出してくれる。ああ、それにしても窮屈だ。ある日思い切って頭を上に持ち上げたら、ふたがあいた。よろこんで外へ出た。夜でも広いところで寝たいよー。
 次の日同じように頭をもちあげたら、上に厚い電話帳がのっていて、動かない。ああ、主人だ。いやーまったく、いやな主人だなあ。
 しばらくして、私もだいぶ体重が増えてきた。最初来たときは300gほどしかなかったが今ではもう1kgあった。 そこでまたおもいっきり頭を持ち上げたら、電話帳が落ちた。主人は私を竹篭の中に入れて寝させるのをあきらめた。こんな狭いところ嫌だったから、やれやれである。しばらくすると、私の食事がペットフードに変わった。いつも同じペットフードではないが2種類がほとんどである。
 しかしそれにしてもここの主人は愛想が無い。

3

 主人は何かと忙しそうで、なかなか私の相手をしてくれません。そこでいつも足のかかとをかみついてやるんです。するとやっと私を抱っこしたり、ひもで遊んでくれたりします。しかし私があんまりしつこいと顔に指でパンチを受けます。それが結構痛いんです。 鼻の頭にあたるとチョウ痛いんです。そこで私も得意の爪で手をひっかいてやるんです。
それでも主人は本気でけんかするわけではありません。ちゃんと私と遊んでくれているんです。だから私もかみついた後、ぺろぺろなめてあげるいんです。私にも主人のやさしさがよくわかるんです。
「ミャ―ミャ―、おなかすいたよー」




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