母が亡くなった




母が亡くなった。癌だった。
母が「骨が痛い」と3ヶ月くらい前から言い出し、鬼のようにゴルフをしていた為
病院の先生や家族、本人は「疲労骨折」くらいにしか考えていなかった。
ある日、病院の先生に「血液検査の数値がおかしいから、検査入院をしておいで。」と言われた。
その時、先生は「癌じゃないから、安心して。」などと言っていた。それは金曜日だった。
月曜日、検査入院をする為に母は大きな病院へ行った。
その日の夜、病院に付き添った父から電話があり「家に来て欲しい」とのこと。
嫌な予感がした。
高速を使って約1時間半の道のり、怖かった。行きたくないなぁという気持ちがあった。
予感は的中した。
「明日にも死ぬかもしれない。」
そう聞いた私は、「今すぐ、妊娠しよう」そう決めた。
帰って夫に「今すぐ妊娠したいから、とりあえず人工授精する。生きている間に妊娠の報告をしたい。」
次の日、さっそく病院へ行き「今すぐ妊娠したいんです。」と言ったにもかかわらず先生は、人工授精を勧めてくれなかった。
総合病院だから、しょうがないのかもしれない。不妊専門病院へ転院することを決意した。
でもすぐに母の24時間看護が始まり、病院には行けなくなってしまった。
というより、病院に行く暇があれば母のそばに居たいと思っていた。

母が亡くなった。闘病生活たった2週間だった。
母に妊娠の報告が出来なかった事、母に孫の世話をさせてあげられなかった事
今でも悔やんでいる。
変な責任感から、育児に対しての不安を持ってしまったことに対し、後悔ばかり。
母に喜んで欲しかった。


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