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■「頑張っているね」と寄り添う
先週は、体罰や暴言といったマルトリートメント(不適切な養育)が子どもの脳を変化させ、さまざまな問題を引き起こすことをお伝えしました。
大切なわが子なのに、過度なマルトリートメントをしてしまう親。実は、こうした親は自分自身もマルトリートメントを受けて育てられた方が少なくありません。負の連鎖を止め、子どもを幸せにするためにどうしたらよいでしょうか。
私は、周囲の人が、子どもだけでなく親自身をもっと〝褒めて育てる〟という意識を高めることが大事だと考えます。中には欠点がある親もいるかもしれません。ただ、否定するのではなく、そういった親の頑張りを心からねぎらうのです。「頑張っているね」という周囲の言葉がけが、どれほど親の心を軽くさせるでしょうか。親を否定して責める対応ではなく、寄り添う対応です。親の〝褒め育て〟が子どもを幸せにするのです。
ここでは、マルトリートメントを防止する親の適切な関わり方を中心に、いくつか紹介します。
■ 3 つのコミュニケーション
繰り返す
行動を言葉にする
具体的に褒める
繰り返す ②行動を言葉にする ③具体的に褒める、を意識した、子どもへの関わり
を大切にしましょう。
「繰り返す」とは、子どもが何か話し掛けてきたら、その言葉を繰り返すこと。例えば、子どもが「ねえ、空がきれい」と言ってきたら、「そうだね、空がきれいね」と繰り返す。子どもは、親が自分話を聞いて、理解を示してくれたと感じ、自己肯定感が育まれます。
「行動を言葉にする」とは、「絵本を棚に戻した」というような好ましい行動をした時に、「お片付けしたのね」と言葉にして伝えることです。こうした言葉掛けは、子どもの行動に興味・関心を持っていると伝えることになります。子どもは興味・関心を持たれることで愛情を感じるのです。
「具体的に褒める」は、「○○ができて、えらいね ! 」と好ましい行為や姿を伝えることです。
冒頭にも親の褒め育ての話をしましたが、褒めることの力は非常に大きいのです。私の診療に訪れた子どもの中にも、母親をはじめ、周囲の人たちから「褒められる」ことで目に見えて大きな回復を見せたケースは少なくありません。ある研究者は、褒められることは、食べ物やお金と同じように脳内で「報酬(ご褒美)」として処理をされていると発表しています。
問題行動を否定するよりも、少しでも良いことを見つけ、褒めること。褒めることは脳の活性化、回復につながります。「子どもは褒めて伸ばす」は脳科学の視点からも本当なのです。
もちろん、子どもの性格によっても褒め方には工夫が必要です。お勧めなのは、親同士が子どもの前で、「きょう、○○君(ちゃん)、○○ができるようになったよ。すごいね」「学校の先生から褒められたよ」などと、良いところを話し合うこと。自分の良い点を「伝え聞くこと」は、とても効果が高いことが分かっています。
■「ダメな」理由は短く伝える
言葉だけで記を付けたいのは、「~はやめて」「~はダメ」といった否定や禁止。子どもからすると、何がダメなのかよくわからない場合が多く、親のイライラだけが伝わってくるケースが少なくはありません。これだと子どもは自分が否定されたように感じます。伝え方には工夫が必要。否定や禁止を伝える時は、「~だからやめてね」と短い言葉で理由を付けることを意識しましょう。
■怒りをコントロールする工夫を
日常生活では、ストレスがたまって感情的になってしまうことはよくあるもの。ストレスがたまって感情的に怒鳴ってしまうことはよくあるもの。ストレスがたまれば、誰でも他社への共感能力が落ちます。ストレスがたまらないように周囲の助けを借りることがとても大事です。子育ては一人で行うものではなく、助け合いながらするものですから。
また、感情的に子どもに当たらないようにするためには、アンガーマネジメント(怒りをコントロールする方法)を学ぶとよいと思います。さまざまな著作で紹介されていると思いますが、怒りはある一定の限度を超えると自分でもコントロールが難しくなります。怒りが沸点に達して爆発しそうだと思ったら、気持ちをクールダウンさせるために、「数を数える」「意識していったん深呼吸をする」「今いる場所からとりあえず距離を置いて一人になってみる」などを心掛けることも大切です。
■言いすぎたらスキンシップ
もしも厳しく怒鳴りすぎたり、言いすぎたりしてしまったら、「スキンシップ」をしましょう。手をつないだり、抱っこしたりすることで、子どもはぬくもりに包まれて気持ちが和らぎ、安心感を得られます。しかも、スキンシップの恩恵を受けるのは子どもだけではありません。大人もスキンシップをする事で脳が活性化し、「オキシトシン」というホルモンが分泌され、穏やかな気持ちになることができます。オキシトシンは、恐怖を抑え、穏やかで愛情に満ちた気持ちにさせる機能があるのです。
子どもに言い過ぎてしまった時こそ、スキンシップを心掛けてください。
【教育 Education 】聖教新聞 2019.2.10
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