日々のあぶく?

日々のあぶく?

May 23, 2005
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巷説シリーズ第3弾。(巷説、続巷説、後巷説)
直木賞受賞作でもある。
賞取ったのが第3弾、これだけ読む人とかいたのだろうか?
良さは伝わったのかなぁ?とか余計な心配をしてみたり。

前回で百介の前から姿を消した又市達。
今回は年老いた百介は一白翁と名乗って薬研堀のご隠居として庵を構え、
遠縁の娘・小夜と一緒に住んでいる。

二人に加えて今回のメインは若者達4人。
元北林藩江戸詰藩士・笹村与次郎、
不思議なものに心惹かれる東京警視庁一統巡査・矢作剣之進、
剣術使いで町道場主・渋谷惣兵衛、
元徳川重臣の次男坊で洋行帰り・倉田正馬。

昔の話、若者4人が揃って事件と昔話(巷説)について頭を悩ます、
一白翁を訪ねる、一白翁が昔、遭遇した事件について、巷説について話す、
結論と思しきところに辿り着く、事件解決、
仕掛けの解明。という構成。

赤えいの魚・歩いて渡る者だけが客人として迎えられる戎島、禁忌を破って島が沈む、そんなことがあるのだろうか?

天火・悋気の炎か、狐火か。
   大岩をも打ち砕く火があるかということで北林藩の怪異、天狗の火(続巷説~・死神、老人火)の話も出て来る。

手負蛇・蛇は執念深いという、塚を暴けばたたられる?
    又市の仕掛けは未だに生きていた。

山男・言葉を解すが喋れず、半裸の大きなモノ、これは獣か人間か?
   昔の小股潜りの業は文明開化した今でも通じるのか?
   罪は罪で、闇で裁かれるものはなくなる?
   妖怪は土地に湧くもの時代に湧くもの、場所や時世が違えば何の訳にも立たないのか…
   小夜の出自もここらから小出しにあきらかになっていく。

五位の光・五位鷺、光る鳥…。由良公房候の生い立ち。
     建御名方の神を祀る集団に仕掛け(呪)をかけたのは又市だった!

     京極堂シリーズ・陰摩羅鬼の瑕の由良家、
     同シリーズ・狂骨の夢に出て来る、事件の中心となる建御名方の神を祀る集団に繋がっている。 

風の神・百物語が終わった時に起こるとされる怪異とは?
    一白翁の仕掛けは成功するか?
    京極堂シリーズ・鉄鼠の檻、檻の骨格にかかわる和田智弁禅師(共に行動するは甥の智稔)
    彼は小夜が百介の元にくるのに大きくかかわっていた。

初めは現在起こった事件を昔の話や、百介の経験談(仕掛けを抜いて、怪事として起こったこととしてのこったこと)にリンクさせていくが、
だんだん又市の仕掛けが今でも生きていたり、現在まで事件が繋がっていたり、
現在と過去が濃密に絡んでいく。
最初は仕掛けの解明は小夜だけに、だが、最後の方は与次郎にも明かされる。
百介から与次郎に何かがバトンタッチしていくように。

続巷説~のラストで百介と一緒に置いてけぼりにされた気持ちになっていたので、
今回、思い出となって振り返る又市達に会えても、どんどん淋しくなっていく。
思い出として、経験談として語られる毎に彼らが一層遠のく気がして、
何故だか淋しくなった。
だが、仕掛けが京極堂シリーズに繋がっているのが分かって両シリーズの濃密度が増した。
これからも接点が増したりするのだろうか?
するとしたら与次郎が次は掛け橋になるのか?

道を外せば深みに嵌まる。
彼誰誰彼丑三刻に、そっと通るは裏の径。
所詮浮世は夢幻と、見切る憂き世の狂言芝居。
身過ぎ世過ぎで片をばつけて、残るは巷の怪しい噂ー。

この世の表に出せない出来事を裏で仕掛けて、
収まらないものでも八方丸く収める小股潜り・又市。
仕掛けの後に残るのは巷の噂だけ、だが、仕掛けを解けば不思議はなくなる、
又市らと行動を共にすることによって行き着いた一つの言葉(現実)でもある、
「世に不思議なし、世、全て不思議なり。」という一白翁(百介)。
これが、「この世に不思議なことなどない」という京極堂にどのように繋がっていくのか。
その間を繋ぐ話も読みたくなった。





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Last updated  May 23, 2005 09:34:16 PM


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