日々のあぶく?

日々のあぶく?

September 18, 2005
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書き途中で全てが消え、欠く気力が萎えた。
それも、危ないから途中だけど一度書き込んどこうとした瞬間に…。
これがあるからパソコンは怖い…。

気を取り直して、「季刊落語」編集者・間宮緑のシリーズ第3弾。
落語一筋、仕事はさておきあちこちの寄席に飛んでいってしまう牧編集長に振り回されつつも
編集者としての緑も"二つ目"くらいにはなってきた。
今回は短編を通して落語ミステリ開幕。
牧の相変わらずの名探偵ぶりあり、緑の一人立ち?ありの楽しい構成。

やさしい死神・
月の家永楽の直弟子で名人候補の花助の出し物「口入屋」を聞いてただ一人笑わない男がいたのが気になる緑。
栄楽師匠は年を取って弱気になったか昔驕りがたたって破門した弟子(花助の兄弟子)花朝のことを思い出すことしばしば。
そんな折、栄楽師匠が病院に運ばれたと連絡が入る。
その時に師匠は「死神にやられた」とつぶやいたらしい。
その真相は?

師匠と弟子、兄弟弟子の絆を描いた心温まる事件。
「落語を続けるためなら病院通いだって(しなければ)」という緑が師匠に牧編集長に似てきたと言われる場面も。
:出てくる演目「口入屋」「死神」

無口な噺家・
松の家文喬師匠は病に倒れ、一時は言葉も失っていたが今度の高座で復帰するらしい。
彼の弟子、伸喬、文三は腕はあるが苦労知らずの育ちのよさが仇となり、あと一歩魅力が足りなかった。師匠の復帰直前までは。
急激に力をつけた二人、救急車の音が途中聞こえてきても客をひきつけられるほどになっていた。
反対に、以前はにこやかで優しかった師匠が無口になっていて…。

芸のためならば!の思いの強さはこのシリーズで度々出るが、ここでも痛感させられる。
すべてが芸の肥やしになる。どこまでの騙しならば許せるかと問う牧に戸惑う緑。
:「桜鯛」「宿屋仇」「三枚起請」紹介程度で「芝浜」「饅頭こわい」

幻の婚礼・
鈴の家梅太郎のもとに訪れた女性は以前彼が転校したことのある小学校の同級生だった。
突然、結婚式の司会を頼まれ、受けたのだが、当日式場に行くとそんな予約はないと言われる。
しかも、その女性とは連絡取れず、故郷に連絡してみたら「彼女は死んだ」と。
悩む梅太郎の頼みを受けて緑が調べる事になるが頼みの編集長・牧はアメリカへ松の家葉光一門の海外公演についていってしまった。
残った緑が一人立ち!?とはいえ、強力な助っ人・ベット探偵(安楽椅子探偵)となって牧の前の編集長・京(かなどめ)氏登場。
今回の演目
:「子別れ・下 子は鎹(かすがい)」に合わせた情緒溢れる一編。

へそを曲げた噺家・
華駒亭番治の演目中に携帯電話が鳴り、途中で番治は高座を降りてしまう。
客に糾弾される男はなんと番治師匠の後援会会長だった。
男・野田は携帯の電源は切ったはずだった、電源を入れた犯人を探して欲しいと編集部を訪ねてきた。
調べるうちに実はのんべえだという野田を気にかけていたという番治師匠、
自分のやる演目を体験してから高座にかけたという、今は亡き番治の師匠・華駒亭駒平師匠の最後に予定していた演目、
なくなった本などの謎が出てくる。

一石三鳥の番治師匠にまた一本取られるが、万事丸く収まったともいう?
:「富久」「宿屋の富」「試し酒」

紙切り騒動・
松の家京楽の弟子・京太が突然"紙切り"芸人になりたいと申し出て、師匠から破門を言い渡される。
落語の才能もあり、先が楽しみだっただけに周囲は驚く。
しかも京太は"紙切り"芸をやるに当たって弟子入りしたいのは今は行方知れずの光影師匠だと言う。
光影が活動していたのは三十年前の関西でしかも三年半ほど。
彼に関する資料もない中、京太に協力する事になった緑は乗り気でない牧に郷を煮やし、単身京都へ飛ぶ。
そこで待っていた真相とは?

師匠と弟子の関係は親子のようなものだと言う絆を感じる一編。
また、探偵として?も緑を育てているとしか思えない牧も微笑ましい。
:「親子酒」


これだけの話(落語)を上手く組み合わせ、分かりやすく、しかもミステリと絡める手腕はさすが、である。
前回の長編「七度狐」のような血生臭さはなく、ほのぼのしていたり、絆を感じさせたりする話が多い。
しかし、一貫して芸事にかける落語家達の姿勢には頭が下がるばかりである。
牧&緑コンビも楽しく、京の存在も魅力的なこのシリーズ、これからも楽しみである。





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Last updated  September 18, 2005 03:51:53 PM


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