日々のあぶく?

日々のあぶく?

February 27, 2006
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ミステリは読まないのに、「ラジオでやってた書評で良さそうだったよ」とわざわざ付箋にメモしてくれた父に感謝して借りてみる。

東城大学医学部付属病院で活躍するのはチーム・バチスタ、グロリア・セブンのメンバーだ。
その中心にいるのはアメリカから招いた心臓移植の権威・桐生恭一。
日本では難しい移植の代わりに彼が行なうのは巨大化した心臓部を切りとるバチスタ手術。
連続成功させていたが、3例立て続けに術中死が発生した。
原因不明の術中死は医療過誤か殺人か?
高階院長が内部調査を依頼したのは、万年講師で不定愁訴外来、通称"愚痴"外来担当の田口医師。

調査を始めるうちに気付く栄光のメンバーの不協和音。
しかし、それを上回るほどの桐生の才能と手腕は確かで、メンバーのすれ違いも手術に大きな影響を及ぼすほどではなかった。
調査直後の少年の手術は成功し安堵する。
だが、引き続き調査をする中で起きた術中死。
呆然とする中、田口はリスクマネジメント委員会の招集を依頼。

委員会が開かれる直前に現れたのは厚生労働省の変人役人であり、火喰い鳥と呼ばれる白鳥圭輔。
田口は彼のサポートにつきながら改めてメンバーから聞き取り調査を始める。
そこから浮かび上がるものは…

医療問題、役人事情も盛り込んである。
何よりもキャラが立っていて、(出世街道から外れたところに自分の居場所を見出して好きにやっているという)似た性質を持ちながらも
ネガとポジのような位置に立つ、田口と白鳥のコンビが絶妙。
白鳥は「空中ブランコ」の伊良部張りの奇天烈さで時に(特に田口を)罵倒しつつ、
周囲を振り回しながら核心にぐんぐん近づいていく。
そんな彼が手紙になると一転、丁寧で好印象を与えてしまうギャップも面白い。

バチスタ・メンバーは以下
チームリーダー 桐生恭一 助教授(42)
第一助手  垣谷雄次郎 講師(49)
第二助手  酒井利樹 助手(30)
麻酔医   氷室貢一郎 講師(37)
臨床工学士 羽場貴之 室長(53)
看護師   大友直美(33):星野響子(24)より変更
病理医   鳴海涼(37)・桐生の元義弟

バチスタ・メンバー以外にも上層志向があり、噂を撒き散らす兵藤医師や
看護師から絶大な支持を得ている元看護婦長で今は不定愁訴外来付きの藤原さん、
食えない狸の高階院長もいい。
田口医師が人の名前の由来を聞くという取っ掛かりも面白い。

話の流れは面白いのだが、術中死の結末はあまりにあっけなくて拍子抜け。
だが、それよりも聞き取り調査などでの会話、
最後の記者会見でのやり取りなどのほうが見所となっている。
白鳥と田口のコンビで続編も読んでみたい。

ちなみに、この作品は第4回「このミステリーがすごい!」大賞だったそうな。
作者が医者(現在、勤務医)というプロフィールを読んで納得。
病院内のリアリティがあるはずだ!
担当は何か気になるところ。





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Last updated  February 28, 2006 11:25:34 PM


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