日々のあぶく?

日々のあぶく?

March 11, 2006
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政治家などの裏で暗躍する父親のもとで好き勝手な行動を取る寺原に妻を殺された鈴木は復讐するために教師を辞め、
<令嬢>の意味を持つ寺原(父)の会社・フロイラインに潜入。非、合法的商売を展開していた。
だが、復讐の目前で寺原長男が車に轢かれた。
鈴木のお目付け役でもある比与子に言われるまま寺原を押した男を追うことに―

政治家秘書、暗部に突っ込みすぎたニュースキャスターなど依頼があれば対象人物を自殺させる「自殺屋」鯨。
仕事を終えてホテルの窓の外を見下ろした彼の目に飛び込んできたのは「押し屋」の姿。
かつて仕事を躊躇した隙に「押し屋」先を越されたことがあり、それが今でも引っかかっていた。
また、自殺させた人々の幻覚に襲われることも多くなっていた―

女子供も区別なく、一家惨殺もお手の物。
岩西の下で働く蝉は一仕事終えた後に観た映画のラスト"主人公は店主の操り人形だった"というのが気になっていた。

鈴木、鯨、蝉の三人の視点で展開。
「押し屋」を追った鈴木は彼(槿・あさがお)に家族がいることに戸惑う。
鯨は依頼人だった老政治家・梶に命を狙われる。
梶の依頼を受けた岩西の命令でホテルに赴く蝉。
息子の死に怒り狂う寺原は"業界"上げての大捜査を展開。
バラバラだった三人の点は家庭教師と称して近づいた槿の家族に心を寄せる鈴木、
過去の遺恨を晴らすため「押し屋」に行きつく鯨、
功名心から「押し屋」を寺原の元に連れて行こうとする蝉と、
「押し屋」の元に集まっていく。そこには比与子を筆頭とした寺原の手も迫っていた。
高性能の殺人者・蝉と見るものに自殺心を呼び起こす鯨の対決の行方は?
槿の真意はどこに?
最後に生き残るのは誰か?

スピード感あり。
残虐な描写なはずも、伊坂氏の手にかかるとなんだかそう感じさせないところがある。
槿の家族のほのぼのも楽しめる。

グラスホッパー(バッタ)というタイトルは
「密集したところで育ったトノサマバッタ一部は黒く、翅も長く、凶暴な「群集相」と呼ばれるタイプとなる(餌を求めて別の場所にいける飛翔力が高くなるためらしい_)
同じように、人も集まりすぎると一部が凶暴化する(おかしくなる)」
という槿と鈴木の会話から。

ホームレスのように暮らす鯨に話し掛けるホームレスの一人は オーデュボンの祈り の田中(足が不自由という設定が一緒だし)だろう。
(まぁ、カウンセラーではなかったはずだけれど、オーデュボン以降なったとか?
未来を語るカカシの出てる小説を読んだと言っているので、違うのか?
現実に起こったことだと言っても信じてもらえないと思ってそういったと解釈したが…)
「未来は神様のレシピにで決まる」だから、これからのこともすでにきっかけは出ているかも。そう語る田中は何を思っていただろうか?
優午のいなくなった萩島はどうなったんだろう?
皆、外の世界に来ているのだろうか?そうすると、これからの話にもちょくちょく色々な人が顔を出すのだろう。
舞台が仙台のことが多かったため、皆仙台に集結?とも思ったが、今回(の舞台)は東京である。

さりげなく蝉が「リョコウバト」のことを話題に出している。
伊坂氏作品の根底にはずっと「オーデュボン~」が、「未来は神様のレシピで決まる」という世界観がある。





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Last updated  March 11, 2006 12:12:25 PM


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