日々のあぶく?

日々のあぶく?

April 6, 2006
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カテゴリ:
ブックデザイン 平野甲賀

印刷に恋して の続編ともいえる本。
編集者である以前に、本が好きだと言う松田氏の興味は尽きることなく次の段階へ!
本の魅力の一端を担う「装幀(丁)」、編集者にとっての、デザイナーにとっての、営業にとっての、印刷会社、造本屋にとっての、紙、インキ、それぞれの分野にとってのスタンスは違う。
その中で、"一冊の本"の完成に向けて調整を取っている。
(印刷などの会社は依頼主にこたえるよう懸命の努力、研鑚をしており、
無理をいっぱい言っていたことを松田氏反省、なんて下りもある)
知らないよりも知っている方が広がる世界。
元々造本に興味があったり、装幀をいつかやってみたい人間なので、どこまでも興味深い一冊。
そうでなくても、何気なく手にとっている本が出来るまでを見れるのは楽しいと思う。
今回の本には実際に使った紙、仕上げのコートの仕様も表記してあるのがまたいい。
読みながら本を分解してみたくなる欲求を押さえるのには苦労したけれど(笑)

装幀家について:松田氏が信頼する方々(安野光雅氏、和田誠氏を始めとする方々)、編集会議の一端を除き見れるのも貴重かも。
松田氏が今回挑戦するのは(本の解体と)、束見本つくり、貼り箱つくり。
造本、製紙、インキ、それぞれの現場で職人技、機械技が随所に光る。

最後の対談で製紙会社である竹尾に対して現場(印刷)があんまり新しい紙を作るな!とこぼしていたのが微笑ましいと言うか、大変なんだなぁと感じる。
機械化、コストダウンで熟練の職人が減る中、松田氏でなくとも残っていって欲しいと思うものがたくさんあった。
ただ、やっぱり一消費者としては、いいものが安く手に入ればいいなぁと思わずにもいられない複雑な気持ちにもなった。

ちなみに、(印刷)現場の苦労を読んで、依頼主ももっと考えてくれればいいのにね、とこぼしたら、デザイナーだった父親に「(無理は知っていても)言わなければいけないことはある!」と一喝された。
依頼主だって、そのまた依頼主がいるから色々主張があるし、どこを優先するか、何をアピールするためのものか、妥協したら目的を見失うことにもなりかねないのだろう。
色々な分野のプロがより良いものをつくるために日々奔走しているのだよなぁ。

以下メモ:
売り上げスリップや読者カード、新刊案内のハガキも機械で入れていることに驚いた!
:「暴れん坊本屋さん2」では、入れといてくれればいいもの(ポストカードなど)を本屋さんが入れなくてはならず、番子さんがキレている場面があったから、全て(機械)ではなさそうだけれど・・・

紙には土が混ざっている(パルプ繊維の隙間を埋める填料(てんりょう)として)。

calender:織物や紙などの光沢を出す機械。

紙の違いは紙の両面にコートされた塗料の量による:
米坪あたりの塗料が…アート紙・40グラム、コート紙・20グラム、軽量コート紙・15グラム、微塗工紙12グラム以下。
今は技術が進歩し、質のいい(光沢のある)紙も軽く出来るようになったが、紙の値段は相変わらず重さで決まる。

本文以外の紙(表紙、見返し、別丁扉、帯など装幀関連の紙)をファンシー(ファイン)ペーパーと言う。
ファンシー=ファンがいっぱい欲シィー~駄洒落でネーミングが結構多い。
ファイン=素晴らしい

インキ:印刷用。(インクではないらしい。例外アリ)

色見本長の紙と印刷用の紙が違ったり、オフセット印刷か否かや、一般の会社にあるプリンターとは紙質、インクの質が違う。
校了の紙や印刷の仕方と本刷りだって違う。
現場は要求にこたえるために本当に大変そうだ。

インキの技術は色だけではなく、接着させることも重要課題。
☆両面テープを日本で最初に商品化したのが東洋インキだったとか!!

顔料は化粧用にも使われていたとの説も。
染料は肌に塗るとたんぱく質と結合して染み付いてしまい、洗っても落ちなくなる。
:!だからいつも布や革に使う「染料」は落ちにくいのか!納得。





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Last updated  April 6, 2006 12:08:52 PM


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