日々のあぶく?

日々のあぶく?

April 6, 2008
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夏目漱石門下の異才であった著者の随筆集。
昭和8年に上梓されたらしいのだが、師・漱石の思い出から自らの借金話まで、
軽妙洒脱、皮肉(風刺)と自虐も折り重なり、かつユーモラスな味わいを持つ独特の名文で綴られている。

とくに借金ネタは秀逸で、借りている身でありながら逆ギレし、
「お金はあってもなくてもいけなくて、借金があるくらいの方が価値が分かる人間だ」といったような"迷文句"も残している。
新聞に寄稿していたものでは、個別会計を匂わしていた幹事に「ご馳走になったと思っている」と挨拶したり、
給料が決まった日に払われると、給料日に友人が取り立てにくるから迷惑だとのたまわったり、
途中に混ざる短編も借金ネタだったりするから、いかに借金と隣り合わせだったかが分かる。
だが、結構贅沢(乗ってみたかったからの理由で一等車に乗ったり)もしている。
士官学校などでドイツ語を教えていたらしいのだが、遅刻は当たり前、時に生徒にからかわれて憤慨しつつも、理不尽なお説教を食らわせたりする。
爆笑の嵐というか、なんだか目が離せなくなって一気読み。
憎めなくて、どこかのどかなところもいい。

1889‐1971。本名・内田栄造。別号・百鬼園。岡山市に酒造家の一人息子として生れる。東京大学独文科に入学。漱石門下の一員となり芥川龍之介、鈴木三重吉、小宮豊隆、森田草平らと親交を結ぶ。東大卒業後は陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学のドイツ語教授を歴任。1934(昭和9)年、文筆家の生活に。





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Last updated  April 6, 2008 11:15:27 PM


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