風に立つライオン

風に立つライオン

第13話「第11番惑星 コスモアントの恐怖」

第13話 「第11番惑星、コスモアントの恐怖」
N:西暦2210年、新宇宙戦艦ヤマトは、太陽系にせまりつつあるサルガッソーの調査と
  謎の敵の正体を解明するため、銀河系中心部へ向けて発進した。
  一方、サルガッソー調査船団はスサノオ帝国ダーデル艦隊の反粒子砲によって全滅。
  ヤマトも木星軌道上で敵艦隊の攻撃に苦戦しながらも、なんとかこれを撃破し、
  闘いの傷を修理する為立ち寄ったガニメデ基地で新乗組員の空間騎兵隊を乗せ、
  再び旅立ったのだった。


ワープ明けしてくるヤマト。
~ヤマト・第一艦橋~
次郎:ワープ終了。
山崎:波動エンジン異常なし。
真田:船の損傷、認めず。
古代:次郎、次のワープまで少し休みをとっておけ!
次郎:いえ、大丈夫です!
古代:この後、一気に連続ワープでサルガッソーまで行く予定だ。
太田:艦長がそう言ってくれてるんだ、休める時に休めよ。
次郎:わかりました。
揚羽:次郎!じゃあ私とヤマト亭でランチでもどう?
古代:アッコ!、い、いや、揚羽!誰がお前も休憩していいと言った?
揚羽:え~ッ?ダメですか??
太田:当たり前だ!お前には連続ワープの航路計算をやるという重要な任務があるだろう!
   それにお前、さっきも休憩に行ったばかりじゃないか!
揚羽:航路計算ならもう終わっています。
古代:も、もう終わってるって、あれだけの距離のワープ計算をか!
揚羽:予定よりも短いくらいでしたから、あらかじめ計算処理しておきました。
太田:そ、そうか。
古代:(少しあきれ顔で)休憩行ってよし!
揚羽:わー!やったー!次郎!早く行きましょう!
次郎:う、うん。
次郎の腕を引っ張って出て行く揚羽。
南武:あ~あ、どういうんだあれは?
相原:しっかり仕事してるんだから、いいんじゃないの?
南武:相原!彼女、確かお前のファンです~とか言ってたな?
相原:やめてくださいよ、そんなんじゃないです!
南武:しかし、休憩休憩って、そんなに休みたいかね~。
太田:スミマセン、自分の教育が…。
真田:いや、そうでもないぞ!
太田:え?
真田:さっき、あいつを病室で見かけたんだ。
古代:病室?
相原:椎名の病室ですか?
真田:ああ。それと、京塚君に聞いたんだが、あいつ毎日何度も椎名を見舞っているそうだ。
古代:真田さん、彼女はそれで何度も休憩を。
太田:椎名を心配して…。
真田:照れ隠しだな、きっと…。
南武:それならそうと言えばいいじゃないか。
古代:(微笑んでいる)

相原:艦長!火星基地より入電!
古代:読め!
相原:11番惑星に急行されたし。
古代:11番惑星で何かあったのか?
相原:火星基地も混乱しているようで詳しい事は不明ですが、交信が途絶えたようです。
真田:それでなくても急いでいるというのに…。
古代:例の敵に絡んでいることかもしれない。急ぎましょう!
   太田!すまんが、次郎の休憩、撤回だ!すぐ戻るように伝えてくれ。
太田:了解!

第11番惑星へ降りていくヤマト。
~ヤマト・第一艦橋~
ビデオパネルに第11番惑星基地の全景が映し出される。
相原:特に変わった様子はないようですね。
古代:基地との連絡は?
相原:ダメです。交信不能です。
古代:とにかく降下して調査してみよう。真田さん、お願いします。
真田:わかった。コスモハウンドでアナライザーも連れて行く。

空中に停泊中のヤマトから発進するコスモハウンド。

~ヤマト・艦載機格納庫~
コスモタイガーに乗り込み、計器をいじる空間騎兵隊の古野間。
坂本:おい!何を勝手なことしてる!
古野間:ん?悪いか?
坂本:貴様、空間騎兵隊だな!
古野間:そうだよ!こんなもんなら宇宙嫌いな俺でも操縦できそうだなぁ。
坂本:なに!?
古野間:兄ちゃん、コスモタイガーのパイロットかい?
坂本:ああ。
古野間:天下のヤマトのコスモタイガー隊だからなぁ、もうちょっとマシな
     隊員が操縦してんのかと思ったら、あんたみたいなモヤシ男かい!
坂本:なに!?きさま~!
加藤:どうしたんだ?坂本!
坂本:隊長!コイツが私の機に勝手に乗り込んで、勝手なことばかり…。
加藤:お前は誰だ!
古野間:俺は空間騎兵隊、古野間卓。
加藤:空間騎兵隊もピンからキリってわけか。
古野間:どういう意味だ!
加藤:以前、兄と共に戦った空間騎兵隊の斎藤さんは勇敢なヤマトの戦士だったそうだがな。
古野間:斎藤さん…?あの斎藤始か!
加藤:そうだ。まあ、人の飛行機に勝手に乗って、言いがかり付けてるようじゃ、
    どう見ても勇敢な戦士って感じじゃないな。
古野間:な~に~?
古野間と加藤が取っ組み合いのケンカになる。
駆けつけるコスモタイガー隊員と空間騎兵隊の間でも大ゲンカが始まる。


~第11番惑星基地付近の砂漠~

コスモハウンドが着陸する。ハウンドから降りる真田、アナライザー。
真田:アナライザー、気をつけろよ!敵が潜んでいるかもしれないぞ。
アナライザー:ハイ。

~ヤマト・艦長室~
艦長室に入ってくる古野間と加藤
古代:事情を聞こうじゃないか。
加藤:艦長、自分は坂本が侮辱されたので、ついカッとなって。
古野間:本音を言って何が悪い!
加藤:なに?!
古代:馬鹿野郎!!お前達それでも宇宙戦士か!地球が、太陽系が窮地に
   立たされている時に何を考えてるんだ!
   俺達が団結して敵に立ち向かって行かなくてどうするんだ!
加藤:す、すみません。
古代:二人とも、もう二度とこんな失態は起こすなよ!いいな!
二人:はい!
古代:では古野間、君は空間騎兵隊を連れて偵察隊の護衛にあたってくれ。
   加藤、お前は地上戦に備えて空から援護だ!
二人:わかりました!

~第11番惑星基地・入り口扉~
パスワードを探るアナライザー。
アナライザー:(ピコピピコ、ピピコピコ)パスワード解読完了!
         真田サン、ドア開キマスヨ!注意シテ!
真田:一体何が出てくるって言うんだ?
ドアが開く。
Weeeenn
中へ入っていく真田とアナライザー。人影もなく静まり返っている。廊下を進む二人。
真田:やけに静かだな。敵はもう引き上げたのか。
アナライザー:ウワアァアァアァアァ、助ケテクダサイ!真田サ~ン!
無数の巨大蟻のような生き物に襲われるアナライザー。。
真田:な、なんだ、こいつらは!
アナライザー:(蟻達を振り払いながら)オソラク「コスモアント」デス!
真田:コスモアント?うわあぁあぁあぁぁ。
真田にも次々と襲い掛かるコスモアント。コスモガンで撃ち落す真田。
アナライザー:彼ラハ小さな生物ノ体液ヲ吸ッテ繁殖シマス。
真田:ちくしょう!撃っても撃ってもキリがないぞ!
腕を噛まれる真田。
真田:うわあぁあぁあ!
アナライザー:真田サ~ン!
DOCUUUUN
銃で撃たれ真田から落ちるコスモアント。
池垣:間一髪間に合ったか!
真田:隊長!
古野間:何ですか?このおばけみたいな蟻は。
アナライザー:コスモアントデス。
古野間:コスモアント?
真田:(噛まれた右腕を見ながら)宇宙蟻だよ。おそろしくでかくて凶暴だ。
アナライザー:彼ラハ本来コンナニ凶暴デハナイハズデス。
真田:何者かにコントロールされているかもしれんな。
サイボーグである右腕を外す真田。
古野間:えっ?
真田:ははは。驚いたろ!俺の両手両足はサイボーグでね。
古野間:いや。
真田:この身体では先には行けんな。
古野間:この先は俺達が引き受けた!
真田:頼む。我々は応援を呼ぼう。
アナライザー:了解!ヤマトニ連絡ヲ取リマス。

司令室に入る古野間と池垣。基地のスタッフが床に倒れている
古野間:みんな奴らにやられちまったのか!
奥の部屋に入る池垣。天井からコスモアントが襲う。
池垣:うわあぁ!
古野間:隊長!
池垣を助けようとコスモアントに飛び掛る古野間。他の隊員も次々襲われる。
首筋を噛まれ負傷する池垣。

古野間:おい、誰か!隊長をヤマトへ運ぶんだ!
隊員:わかりました!古野間さんは?
古野間:バカヤロウ!俺の心配する前に自分の命を心配しろ!
次々に古野間を襲うコスモアント。
古野間:畜生!
素手でコスモアントを叩き落す古野間。
古野間:うわあぁぁぁ~。
次々に古野間を襲うコスモアント。
隊員:古野間さ~ん!!

池垣隊長を抱えて基地から出てくる隊員。
加藤:大丈夫か?
隊員:隊長が化け物みたいな蟻にやられました!
加藤:蟻??
隊員:古野間さんが一人で中に。
加藤:古野間が?アイツ、無茶しやがって!
   良し、わかった。お前達、俺について来い!
空間騎兵隊をつれて基地に入っていく加藤。
司令室に入る加藤。倒れているスタッフ。ほかに誰もいない。

加藤:古野間はどこに。

11番惑星基地の上空・コスモハウンドを回収するヤマト。
~ヤマト・第一艦橋~
古代:真田さん、無事でしたか。
真田:ああ、本来温厚なコスモアントを何者かが我々を襲うように操っているようだ。
南武:また奴らの仕業でしょうか。
真田:ありえるな。

相原:加藤より入電!
加藤:艦長!空間騎兵隊の古野間が行方不明です!
古代:古野間が?
加藤:自分はこれから捜索に向かいます!
古代:加藤!絶対一人で行動するな!加藤!加藤!
相原:通信が途切れました!
古代:(加藤…。)
古代:(マイクに向かって)坂本!コスモタイガー隊!
坂本:こちら坂本機。
古代:加藤が空間騎兵隊の休出に向かった。援護してやってくれ!
坂本:了解!

第11番惑星基地の上空・ヤマト
BOWAANNN!!!
乗組員:うわぁ!
爆発の勢いで乗組員が倒れる。
艦内アナウンス:右舷後部損傷!
揚羽:次元転移ミサイルです!
古代:何?またか!
太田:奴らまだ生きていたんだ!
真田:(モニターに向かって)北野!シールドを張れ!大至急だ!

ヤマト・工作室
北野:了解!

~アスカ艦隊・旗艦~
スサノオ兵A:提督!ヤマトはおそらくシールドを使うと思われます。
アスカ提督:構わん、そのまま攻撃を続けろ!
        ヤマトに連絡するのだ!
スサノオ兵B:はい!
アスカ提督:フフフフ。ヤマトめ、今度こそひねり潰してやるわ!

~ヤマト・第一艦橋~
相原:敵艦より入電!
古代:なに?よし、パネルに切り替えろ。
スクリーンに映し出されるアスカ提督。
アスカ提督:艦長の古代はいるか!
古代:宇宙戦艦ヤマト艦長 古代進だ。
アスカ提督:私はスサノオ帝国連邦、銀河系方面軍、提督のアスカだ!
古代:スサノオ帝国?
アスカ提督:そう、聞き覚えがないのも無理はない。我々が反世界に進行するのは
      これが初めてだからな!
古代:反世界?
アスカ提督:これを見ろ!
縛られた加藤と古野間が映し出される。
古代:加藤!古野間!
アスカ提督:ハハハハハ!古代艦長、シールドを解除してもらおうか。
古代:なに?
アスカ提督:我々の次元転移ミサイルを打ち破るシールドを開発したことは褒めてやろう。
      だが、お遊びもここまでだ。
古代:断る!
アスカ提督:いいのかな?艦長さん。かわいい乗組員が蟻のエサになっても。
加藤と古野間に近づくコスモアント。
次郎:加藤さんが!
太田:艦長!このままでは加藤がやられます!
古代:わかっている!
アスカ提督:ハハハハハ!古代艦長、10分待ってやろう。その間にシールドを解除するのだ。
      いいかね、NOといった時はどうなるか、良く考えるんだな、ハハハハハ!
真田:古代…。
古代:くそ~っ、汚い奴らめ!

~第11番基地~
コスモアントを撃ちながら廊下を進むコスモタイガー隊坂本達。

N:ついに姿を現したスサノオ帝国アスカ提督。人質となった加藤と古野間の運命は…。
  ヤマトよ、どうする! 人類滅亡の日まで、あと100と30日、あと130日しかない。


続く


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