シンポジウムⅢ。



高機能自閉症児に関連した教育の流れ

◇現在、高機能自閉症、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)など、
 軽度の障害がある児童生徒への対応がクロ-ズアップされている。
◇これらの児童生徒は、知的には大きな遅れはないが、学習参加や対人関係の課題、
 一斉指導では理解が難しいという課題があり、これまでの保護者や本人は悩み、混乱しながら、
 普通学級で学んできている。

「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」
    (文部科学省ホ-ムペ-ジより)

◇調査対象:全国5地域の公立小、中学校の通常の学級に在籍する児童生徒41.579人
◇調査時期:2002年2~3月
◇結果  :LD、ADHD、高機能自閉症により、学習や生活について特別な支援を必要とする児童生徒が、
6%程度、通常の学級に在籍 している。

国府養護学校の場合(参考)

◇自閉症の児童生徒の割合
    小学部 約80%
    中学部 約50%
    高等部 約25%
  ○高機能自閉症の児童生徒は在籍していない。

21世紀の特殊教育のあり方
 ~一人一人のニ-ズに応じた特別な支援のあり方~>

◇自閉症児への対応
 知的障害を伴う場合  → 知的障害養護学校、知的障害特殊学校
 知的障害を伴わない場合→ 情緒障害特殊学級、情緒障害の通級指導教室など

◇知的障害を伴う自閉症児については、知的障害教育の内容や方法だけでは、
 適切な指導がなされていない場合があり、知的障害と自閉症を併せ有する児童生徒に対し、
 このふたつの障害の違いを考慮すつつ、障害の特注に応じた対応について、今後の研究が必要である。

特別支援教育のあり方の関する調査研究について(平成13年10月、文部科学省)

◇研究事項
 (1)特別支援教育の内容について
 (2)障害種別の枠を超えた 盲、聾、養護学校のあり方について
 (3)小・中学校の特別支援教育の今後のあり方について
    ①注意欠陥/多動性障害、 高機能自閉症等への教育的対応について
◇実地期間:平成13年10月9日~平成15年3月31日

特別支援教育とは?

◇これまでの特殊教育の対象だけでなく、その 対象でなかったLD、ADHD、高機能自閉症も含めて、
障害のある児童生徒の自立や社会参加にむけた主体的な取り組みを支援するため、
これらの児童生徒に対して、その 一人一人の教育的ニ-ズを把握 して、その持てる力を高め、
学校における生活や学習上の困難の改善または克服にむけて適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うこと。

今後の特別支援教育のあり方について(中間まとめ)>

◇特殊教育から特別支援教育へ
◇特別支援教育の在り方についての基本的考え方
特別支援教育を推進する上での、盲、聾、養護学校及び小、中学校の在り方
◇特別支援教育体制の専門性の強化

特別支援教育を推進する上での小、中学校の在り方(中間まとめ)

◇通常の学級在籍者の6%程度のLD、ADHD、高機能自閉症の児童生徒に対する
 教育的支援を行うことは緊急かつ重要。
◇小、中学校において、特別支援教育コ-ディネ-タ-(仮称)の役割は大きく、
 専門的知識を有する特殊学級や盲、聾、養護学級の教員経験者等がその役割を担うことが期待される。

学校における実態把握のための観点(中間まとめ/参考資料3より)

◇基本方針(抜枠)
 ・学校における実態把握は、担任教員の気づきを促すことを目的とする
 ・障害種別を判断するのではなく、行動面や対人関係において特別な教育支援の
  必要性を判断するための観点である。
 ・ADHDや高機能自閉症等、障害の判断は医師が行うものであるが、教員や保護者は、
  学校生活や家庭生活の中での状態を把握する必要がある。

◇知的発達の状況
 ・知的発達の遅れは認められず、全体的には極端に学力が低いことはない。

□教科指導における気づき
 ・本人の興味ある特定分野の知識は大人顔負けのものがある。
 ・自分の考えや気持ちを、発表や作文で表現することが苦手である。
 ・質問の意図とずれている発表(発音)がある。
 ・必要なものをよくなくす。
    など11項目。

□行動上の気づき
 ・学級の児童生徒全体への一斉の指示だけでは行動に移せないことがある。
 ・順番を待つのが難しい。
 ・自分の持ち物等の整理整頓が難しく、机の周辺が散らかっている。
    など14項目。

□コミュニケ-ションやことば使いにおける気づき
 ・会話は一方通行であったり、応答にならないことが多い(自分から質問しても、
  相手の回答を待たずに次の話題に行くことがある)
 ・丁寧すぎることば使い(場に合わない、友達同士でもていねいすぎる話し方)
 ・人に含みのある言葉や嫌味を言われても、気づかないことがある。

□対人関係における気づき。
 ・友達より教師(大人)との関係をとることを好む。
 ・一人で遊ぶことや、自分の興味で行動することがあるため、休み時間に一緒に遊ぶ
  友達がいないように見える。
 ・口げんか等、友達とのトラブルが多い。
    など8項目。

高機能自閉症に対する指導の具体的な配慮

◇社会生活を営む上で必要な様々な技能を高める(ソ-シャルスキルトレ-ニング)
◇これらはゲ-ム、競技、ロ-ルプレイング等による方法が有効である。
◇図形や文字による視覚的情報の理解能力が優れていることを利用する。
◇短い言葉で個別的な指示をする(受け入れやすい情報提示、具体的で理解しやすい情報提示)
◇学習環境を本人に分かりやすく整理し、提示する等の構造化をする。
◇環境の構造化のアイデアを取り入れること(見通しが持てる工夫や、ケ-スによっては
 個別的な指導ができる刺激の少ないk-ナ-や部屋の活用等)
◇行動問題への対応では、問題行動は表現方法のひとつとして理解し、それを別の方法で表現することを教える。
◇情報の受け入れ方や心情の理解などにおいて、障害のない者とは大きく異なることを踏まえた対応をする。



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