ココ の ブログ

グーグル・アース(6)



グーグル・アース(6)

 グーグル・アースで観られて困る人が居るかと思えば、店屋や観光地は宣伝の為にスナップ写真をどんどんアップする。「どうぞ観て下さい」「来て下さい」「金を使って下さい」という下心からだ。インターネットの時代だから下手な宣伝をするよりも一寸した努力で、それも無料で広告してくれるのだから有難い話である。ファンや旅行者が記念でアップする事もあるだろう。有名な場所はそういう写真で溢れ返っている。航空写真をクリックして拡大するのに邪魔になるぐらいである。写真の合間を狙ってクリックしなければ余計な時間が掛かるので、慣れて来れば、先ず写真の無い場所を選んで拡大してから目的地を探すようになる。世界中、そういう具合だから有名な処は丸裸にされているようなものである。

GoogleEarthダーバン・サッカー場(3)
GoogleEarthによる、南アフリカ東端の都市・ダーバンのサッカー競技場(1)。

 スナップ写真もストリート・ビューの360度全景写真も映りが鮮明になっているから場所の雰囲気がよく分かる。観光客も写っていて、中にはこちらを見ている人も居る。車の屋根に360度カメラが載せてあって、パチパチ撮って行くからキメの細かい風景写真である。追跡するように次々とカメラ・マークをクリックして行けば時間の経過も分かる。国内でも海外でも知っている場所なら懐かしく想え、知らない場所でもデジャブーでは無いが以前に来たような気分になるから面白い。買い物をしたとか食べた事がある店屋でも発見すれば尚更懐かしく想い出す。そういう気分で友人・知人の家を観て行くから悪意がある訳ではなく許されるだろうし、もし本当にプライバシー侵害なら世の中が放っておかない筈だ。

GoogleEarthダーバン・サッカー場(1)
GoogleEarthによる、南アフリカ東端の都市・ダーバンのサッカー競技場(2)。

 以前、そういう問題が起こりかけた事があったが、最近では余り問題にしないようだ。人々が慣れて来たせいもあるのかも知れない。ボクなんか自宅を映されても平気だ。尤も、ボクの住む住宅団地には未だストリート・ビューの撮影が為されていないから観られないのが残念である。だから他所ばかり観る事になる。今開始中のFIFA・ワールド・サッカーの会場や街の風景を観ていて南アフリカの今日がよく分かる。国の東端の都市ダーバンや西端の都市ケープタウンなんかも観ていて、ついでに白人と黒人の住宅も観てしまう。そうすると明らかに貧富の差が明瞭に出ていて、それだけでも社会構造がまだまだ未整備であること迄分かってしまう。黒人の住まいの酷いのはアパルトヘイト政策の名残の住居地である。

ケープタウンの白人住宅地.
GoogleEarthによる、南アフリカ西端の都市・ケープタウンの白人住宅地。

 其処の道路にはアスファルト舗装どころか側溝も無い。雨が降れば赤い泥んこのぬかるみである。インフラ以前の状態なのである。それに反して白人の居住区は欧米の洒落た街並みそのものでインターロッキングを敷いた道路さえある。勿論、庭の緑も豊かである。当然ながらと言う言い方は嫌だが、黒人居住区には緑が無い。水をやる為の水道設備が無いのである。その前に、緑に水をやれば人間の飲む水が減るという理由で禁止されているのだ。これで平等な社会とはとても言えない。マンデラ元大統領も心痛だろうが、問題解決には相当な時間が掛かるだろう。そう言えば、ダーバンのサッカー競技場は日本の建設による新しいもので、ストリート・ビューで観ると未だ工事中のものだが完成直前の活気が感じ取れる。

黒人住宅地2
GoogleEarthによる、南アフリカ西端の都市・ケープタウンの黒人住宅地。

 車の往来もかなりある。以前のラグビー・ワールド大会以来のイベントだから(この前、映画インビクタスで紹介した)、国を挙げてのお祭りである。あの大会では南アフリカ・チームが優勝までしたから大変だった。たまたま弱かった日本チームが頑張って決勝トーナメント出場を決めたので日本のファンも加熱気味だが、それ以上に全アフリカの国民がアフリカの名誉の為にラッパ(ブブゼラ)を力任せに鳴らして応援している。ハエがブンブンと飛び回るような不快な音でうるさいワールド・サッカーだが、日本のプロ野球の巨人阪神戦のようなものだから諦めて、ボリュームを落としてテレビ中継を観ている次第だ。お祭り騒ぎの連中には騒音に聴こえず、むしろ快い響きなのだろう。

GoogleEarth北朝鮮
GoogleEarthによる、北朝鮮の核施設。

 百聞は一見にしかずという通り、グーグル・アースで観る世界の風景は、現実をさらけ出している。しかし、写真にすると何でも綺麗に観えるというのは嘘で、ダーク調にしたり緑や赤い色のトーンを落として映し出せば陰鬱な風景に観える。目の錯覚を利用したもので、グーグルが意識的にそうしているのではないかと想える写真がある。北朝鮮なんかがそうだ。核施設なんかを見ればそう観える。尤も、冬場だと太陽光線が弱かったり雲の陰になって暗い場合もあるから撮影時期にもよるのだろう。わざとそうしているのなら問題だ。そう言えば、イスラエルのガザ地区なぞは鮮明に映っていない。見せたくないのだろう。フェアな気持ちで報道する気があるなら在りのまま映すべきである。(つづく)

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