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繁華街(2.昼と夜の顔)
繁華街(2.昼と夜の顔)
世の中が経済効率優先で動く現実は、大都会の繁華街ではより顕著である。人間は昼と夜とでは思考回路が変わってしまう。日中は仕事一本の人でも、夕方遅く仕事から解放されると殆どの人々は真っ直ぐに家路を急ぐ。しかし、残業と称して居残る人々も居れば、夜の街をさまよう人々も居て、それらを見込んで繁華街は再び活況を取り戻す。というより、夕方以降しか開店しない店が軒を並べて商売を始めるのだ。それらを水商売と呼ぶのだが、何故、水商売と言うのか定かではない。多分、水を売る商売から来たのだろうが、それは泉に湧く新鮮な水を遠くまで運んで売るという手間賃を稼ぐ商売、もっと簡単に言えば、元手の要らない身体ひとつで出来る商売という意味から来たのだろう。それこそ究極の経済効率と言える。
海外の繁華街(1)。
だが、誰にでも出来る商売というものは競争相手が多いから稼ぐのは意外と難しい。そこで唯単に売るだけでは商売が成り立ち難いから口がたつ人間が成功する。だから舌先三寸で商売する人々の事を指すようになったのかも知れない。尤も、職業に貴賎はないと言いながら水商売は簡単に始める事ができ、舌先三寸で儲けが決まるから昔から軽蔑したり見下した商売に見られている。今でもそれを嫌う人が居るのは舌先三寸に誠意が見られないからであろう。媚を売ったり色気や手練手管で客をその気にさせるという事が許せない人々には人気の悪い商売である。逆にそれが魅力でフラフラと近づいて行く人々も居る。最近では水商売も昼夜の区別がなくなってしまい見分けが付き難くなった。
海外の繁華街(2)。
が、本来は夜の水商売と昼間のとでは少しばかり中身が違う。夜の店が開店を始める頃になるとそわそわと落ち着かなくなる人々が居て、そういう人は赤い提灯やネオンが灯ると居ても立っても居られなくなる。一種のアル中なのだろうが、アル中でなくとも夜になると心が落ち着かなくなる人が居るのは、水商売の魅力にとり付かれた人々だ。それはそれで楽しいだろう。むしろ、その為に昼間は嫌な仕事をしているのだという人も居るだろう。嫌な上司の下で辛抱しながら仕事をし、夜になれば解放されて自由に楽しめるというのは彼にとっては天国かも知れない。最近では女性の客も居て、当然ながら異性(ホスト)に癒してもらえるという事で大枚の金を遣う。
海外の繁華街(3)。
客の女性は、それだけ使えるぐらい稼いでいるのだから大枚の金を遣うのは甲斐性だと自分を誉めてやりたいのだろう。そういう商売は勿論犯罪ではないから誰からも文句は言われないが、一歩間違うと感情の行き違いから事件になり易い。当然ながら客の方も分かってやっている事だから癒す方も癒される方もギリギリの処で勝負しているのだろう。ボクには分からない世界の事だが、男の世界だけであった遊びが女の世界にも広がっただけの話で、旦那衆が料亭やお茶屋で芸者を挙げて遊ぶのと同じ事である。つまり見栄の世界である。自分のステイタスを見せびらかして楽しむ世界が夜の水商売の世界である。夜で無ければならない事はないが、日中では白けてしまうのだ。
海外の繁華街(4)。
それは、殆どの人々が日中に仕事をしているだけに接待で無い限り、日中は旦那衆と言えども仕事があるからだ。しかし、それが仕事の場合は日中でも構わないものの、主役は接待される側だから接待役は自分が楽しんでいられない。もし、主客転倒すれば客が白けてしまって接待にならない。ボクの友人で京都の呉服屋が居る。彼は地方から買い付けに来た客をもてなすのに祇園のお茶屋やバーに接待する事が多々あるそうだ。地方から来た客は祇園で接待されるのが楽しくて来るのか、商売の仕入れ先が京都にあるのでついでに楽しんで行きたいのか夫々の胸の内を覗い知る事は出来ないが、友人曰く「祇園での接待費は全部、商売の経費」というからボクは「高い買い物をするものだ」と白けてしまう。
海外の繁華街(5)。
高い買い物を地方に持ち帰って更に高く売りつけるのが呉服屋なら、客は高い買い物をさせられる訳だ。それでも納得する客なら良いが、時代はそれが立ち行かなくなって久しい。言わばアメリカの武器を高く売りつけられて税金で支払って良い子になっている日本の代議士や官僚はアメリカからのご褒美に何を貰っているのだろうと考えるのである。白人は利害関係を明確にしたがるから接待という商法は理解し難い。ギブ・アンド・テイクで行くから何かメリットはある筈だから別の形で見返りがあるのだろう。日本のODAの場合、キック・バックを相手国若しくは業者からさせるというのが堂々とまかり通っていた。例えば、地下鉄車両一台の価格1億円のところを2億円に割増していたという。(つづく)
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