繁華街（６．メカジメ料を支払うシステム）
繁華街は尤も経済効率の良い商売が隆盛を極める場所である。その事は何度も説明して来た。つまり流行の最先端を行く処である。試行錯誤しながら次々と新しい案が出る。失敗は成功の素だから改良を加えながら成功を夢見て先へ進む。例えば金貸しは貨幣が出来た大昔から存在する経済効率の良い商売だ。その最たるものがロスチャイルド一派の金融王国である。人々は軽蔑しながらも金貸しの世話になる。何も高利貸しだけが金貸しではない。公的な金貸しの元締めは中央銀行（日本の場合は日本銀行）である。其処から市中銀行に貸し出され、市中銀行は企業や個人に充分な担保を取って融資する。充分な担保を取らなくても融資する銀行は日本には無いと言っても良い。
街の雑踏（１）。８０年程前の日本の街角。
海外では企業であれ個人であれ成長の見込みがあれば審査し、その結果、合格を得れば融資するから個人起業家も成功する場合が多い。しかし、日本の銀行は起業家精神を煽っておきながら「担保物件があれば、その範囲内で融資しますが、その前に自己資金とアイデアを駆使して先ずやってみる事ですな」と虫の良い事を言う。そして成功すれば押し掛けて「是非、我が銀行の融資を受けて下さい」と身勝手なセールスをする。勧められるまま借りたは良いが、もし、事業が左前になってしまうと銀行は手の平を返したように貸し渋りをし「融資した残金を早く返せ」とばかりに押し掛け、情け容赦無く貸しはがしをしてしまう。それで泣きを見た事例は山とある。そもそも銀行には原則があるらしい。
街の雑踏（２）。現代のネパールの街角。
それは「貧乏人には金は貸すな。金持ち相手に融資しろ」と貸し手側の理屈だけを言うのだ。それを当然のような顔をして銀行員を教育し尻を叩く。非情なものだ。哀れな銀行員は自転車に乗りながら中小企業の親父やおかみさんの顔色を見て廻り、台所状態を探る。「もし、倒産でもされれば自分の成績が落ち、上司から嫌がらせを受け、下手をすれば窓際族に追いやられるだろう。此処は一つ歯を食いしばって情けなぞ無視し、資金回収に励むしかない」と心の片隅に少しばかりある良心を抑え、割り切って冷たい表情で走り回るのだ。銀行は中小企業相手では儲からないと見るや、サラ金業者に融資する。銀行から相手にされなくなった中小企業の親父はサラ金業者に金を借りる羽目になる。
街の雑踏（３）。現代のインドの街角。
サラ金の利息よりも少ない儲けしかない中でやりくりしても返済が滞り、やがては返済不能になり工場や事務所は担保として取られる。自宅も同様だ。それで儲けるのはサラ金と銀行である。中央銀行が無利子で銀行に貸し付ける事もあるから銀行は丸儲けで、国際競争力と称して自己資金保有率を上げる為にせっせと貯め込む。かくして中小企業の不況はスパイラルの状態で落ち込み、日本政府は税収が減った分、国債ばかり発行して不足分を大借金する。国債を買うのは主に銀行だから国は銀行の為に借金をしているようなものだ。そのくせ日本政府が買ったアメリカ国債はダントツに多く、１千兆円分も溜まってしまったという。売るに売れないアメリカ国債を抱えて日本政府はどうするのだろう。
街の雑踏（４）。現代のニューヨークの街角。
それを尻眼に「借金漬けの日本は今にギリシャのようになります」と外国から一銭も借金なぞせず、むしろ債権国のに、ロクに勉強もしないまま首相がのたまう。馬鹿かと想う。単純に言えば、アメリカ国債と日本国債とを交換すれば政府の借金は簡単に無くなりお釣りが来る。それよりも公務員の人件費が馬鹿高くなってしまって役人天国になってしまった弊害で国家予算が赤字になっているのだ。「入るを量りて出づるを制す」というのが家計の鉄則なのにその逆をやっている訳である。公務員は公僕なのだから国が困っている時は当然ながら協力して給料を下げるのが当たり前だ。その当たり前が妨害で進まない。公務員改革を国民が願っても議員や官僚は他所の国の話のように素知らぬ顔で既得権益にしがみ付いている。
街の雑踏（５）。現代の東京の街角。
ザルで水を汲むのを徒労というのは子供でも分かる理屈だ。経済効率の良い繁華街では決してそういう現象は見られない。むしろ逆の方法で、あぶく銭を稼ぐのが当たり前とされる世界である。先に水商売の語源を言ったが、元手の要らない身体ひとつ、舌先三寸でする商売の事を指すのなら、政府も役人も同じ事をしているのではないだろうか。国民からの血税を有難味なぞ感じず湯水のように使いまくる。それで景気が良くなり税収が上がれば国民も潤うから誰も文句は言わない。しかし、仮に景気が良くなり、税収が上がり、国庫が豊かになるのを見越してアメリカが圧力を掛けて来て「国際協力の為にに金を出せ」と８９３まがいのメカジメ料（湾岸戦争協力金や郵貯の資金投資で数百兆円もの大金）を出させるのだ。（つづく）
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