ココ　のブログ

陰陽五行（４）

陰陽五行（４）

　人間が一人では生きて行けない理由は、本来なら母親の胎内に１０月１０日間居るだけで生まれ出るのを出来ればもう少し長く居て、生まれ出た瞬間から歩く事が出来れば、過保護状態でなくとも生きて行けるのかも知れない。しかし、他の動物に見るように生まれ出た瞬間から歩けたとしても餌を与えて貰わないと生きて行けないから矢張り同じなのかも知れない。要は脳の発達が最低限１０ヶ月の間、体内に居る事で最低限の成長が出来るのだろう。そして幼時から少年、青年となって行くにつれ学習し大人になる訳だから万物の霊長としては過保護状態の期間が必要になるのだろう。そして、その後も集団生活によってしか生きて行けないのだ。人間とはか弱い生き物なのだ。

１．五行（水）

１．五行の水のカード。

　そういう過保護状態で生まれ出た以上は一人では絶対に生きて行けない。ロビンソンクルーソーやターザンのような訳には行かないのである。ヨーロッパで狼に育てられた少年が発見された話があるが、矢張り短命でしか生きられなかったのを見ても分かる。それでなくとも人間には七人の敵が居るとされる。殺されず奴隷になって生き長らえるにしても誰かの庇護のもとに生きて行くしか無いのである。それを陰陽五行説や子平（四柱推命のこと）で七つの相手や環境を配し、それらの相関関係で人生を予測するのである。先ず両親が居て、兄弟姉妹が居て、配偶者が居て、子供が出来、他人との人づきあいがあって仕事があり、社会的地位が出来、財が出来れば七つの環境条件が揃う事になる。

２．五行（木）

２．五行の木のカード。

　中国人は先ず金銭感覚が発達している民族だから現実的な事を占う事で人生を推し量ったのであろう。多民族国家というのは喰うか喰われるかの毎日だから現実味を帯びた占い（肉親、金、仕事、健康）が必要だったのだ。今でも漢民族が戦々恐々として満州民族や他の少数民族を抑えて中国という国家を何とか成り立たせているが、一寸でも隙を見せれば国内の他の民族にやられるという危機意識があって、まして海外の海千山千の民族の中で伍して行くには成り振り構って居られないのだろう。先の尖閣列島の日本での領土侵犯も、自分達が生きて行く為にはドロボーもしなければという思い込みがあるのだろう。何せ自分中心の中華思想の国なのだから。

３．五行（火）

３．五行の火のカード。

　そんな陰陽五行説や四柱推命が中国に生まれ日本に伝わり今日まで持て囃され続けたのは皮肉なものである。一見のどかで平和な国に見える日本も、つい１００年前までは日本刀で殺し合いをしていた生臭い国だったのだ。何も仕事をせず遊んで暮らす貴族の出来る事と言えば、武士や僧侶を騙して口先で生きて行く術しかなく占いはその格好の手法だった訳だ。言わばペテン師的才能が無ければ生きて行けなかった事になり実に重宝な手法であった訳だ。それを武士社会に押しやられ幕末になってようやく返り咲く事ができたのも占いがあったお蔭だった。尤も、外圧があったればこその話だが、その外圧も金儲けだけを考える諸国だったから、よくぞ植民地にならずに済んだと安堵の胸をなでおろした事だろう。

４．五行（土）

４．五行の土のカード。

　その外圧の国々もキリスト教という共通の宗教とは別に、中国と同じような占いを昔から持っていたから、方法は違っても彼等の考え方を理解するには難しくは無かった。タロットをはじめとするトランプや星占いは四柱推命と中身は何ら変わらず、戦略的な事も同じだっただけに日本の貴族には彼等の思想は簡単に理解出来た筈だ。キリスト教の平等思想でさえ仏教の平等思想と変わらず、唯、宇宙観や価値観が少しばかり日本の方が深淵だっただけに、心の中で彼等を見下す事が出来た事がひとつの救いだった。しかし、それよりも文明の差には驚愕し急いで身に付ける必要があった。蒸気機関や電気という文明には眼を見張るばかりだった。

５．五行（金）

５．五行の金のカード。

　が、鹿鳴館で彼等の生活風習や踊りや食べ物を見聞きし理解してしまうと底の浅い文化であった事に安心し、富国強兵策を推し進める事で、追い付き、追い越せると信じたのだ。だから明治期の初期の頃は西欧列強の物真似に終始し、やがて日清、日露の戦争で自信をつけると日本は増長し始める。其処にはもう怖いものは無かった。この勢いで行けば世界を制覇できると考えたのも幼稚と言えば幼稚だが、それだけ日本の貴族や武士の教育程度が高く、国民の産業の工業化への切り替えが江戸時代の手工業や経済活動のレベルの高さで簡単に実現できた事に自信を得たのはまぎれも無い事実だ。それは既に陰陽五行説で知っていた事ばかりだったのだ。（つづく）