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危機管理(1)
危機管理(1)
福島原発の爆発による高レベルの放射線漏れが報道されてから早朝(5時)に目が覚めるようになってしまって今日で3日目である。以前ならゆっくり寝ているのだが、目が冴えて眠れないのだ。放射能に敏感になっているらしい。しかし、此処は福島から遠く離れた関西なので殆ど影響は少ないのに気持ちが先行してしまっているのだ。心配するのは仕方が無い。何故なら日本は唯一の核爆弾の被害国であり、外国の核実験場における日本のマグロ漁船の被ばくも世界で初めてなのだ。そんな核アレルギー国なのにエネルギー確保の為に原子力発電に半分頼っているという異常に驚く。安易に原子力に頼り過ぎて危機管理がおざなりなのだ。それが今回、大規模な地震と津波で露呈してしまった。恐ろしい話である。
何が恐ろしいのかは言うまでも無く放射線被害である。被ばくすれば知らぬ間に命が奪われたり重い病気にかかり苦しめられるからである。政府は口先だけの危機管理でしかなく電力会社も真剣に取り組んで来たのか大いに疑問である。政府は何ともお粗末な危機管理を電力会社に任せっきりにしていたものである。呆れかえると共に怒りがこみ上げて来る。我々一般市民は何を信じて生きて行けば良いのか虚しさを覚える。一体誰の為の国家なのだ。国民あっての国家なのに国民の方に目が向いていないのである。国会議員を始め地方議員も役人も自分達だけには被害が来ないと想っているのだろうか。馬鹿ではないか。何処に住んでいると言うのだ。同じ国土に住みながら馬鹿学者や評論家の言うままを信じているのだ。
学者や評論家は理論ばかりを振りかざし実践には弱い。実用に向かっては技術者が研究し、これなら大丈夫という線を出し、国家が認める事で初めて世に出る仕組みになってる。しかし、100%安全という事は在り得ない。必ず落とし穴が何処かにあるのだ。それを探し工夫するのも学者なり技術者なのだ。確かに原子力の平和利用の知識は格段に進歩し電力以外にも医療面にも及び日常生活に無くてはならない存在にまでなっている。しかし、其処には厳重な危機管理が為されて初めて役立つ原則というものがあるのだ。まあ好いやという甘さが少しでもあるとすれば直ぐに事故に繋がる。何度も失敗して改良しながら進むのも技術であるが、失敗は即、命にかかわる事だけに慎重の上にも慎重でなければならないのだ。
今回の福島原発の事故におけるGE(原子炉製造元)及びアメリカ政府の見解は単純明快である。震度7の地震に耐えた原子炉が事故原因ではなく、津波で周辺機器(冷却装置、非常用発電機、ポンプ)のダメージによるものだから日本側のミスによるものだと言うのである。事故の原因を詳細に調査しないと断言は出来ないが、一理ある。チェルノブイリ原発やスリーマイル島原発の事故は人為的ミスが原因だったとされている。今回は、バックアップ体制が甘かったのが原因の一つとされている。原子炉ばかりに目が行って周辺機器や装置は二番目となり、そのダメージで原子炉が影響を受けたとされるのである。危機管理とは正にそれを言うのだ。弱点に事前に気が付いて、それをカバーするシステムこそが危機管理なのだ。
甘いと言われれば確かにそうだ。直接的な放射線遮蔽ばかりに目が行って、それをバックアップするシステムに欠陥があったのだ。例えば、電気系統にしてもポンプ系統にしても地震の衝撃に耐えるものは作れるし津波にさらわれない場所を確保する事も出来る。もっと内陸部の場所に置いて遠隔操作で稼働させるシステムも出来る。使用済み核燃料の冷却プールなぞ原子炉建屋の中に設けずに別の場所にすべきだった。場所なぞ幾らでもあるのだ。同じ建屋内にコンパクトに収めるという発想は一見合理的に見えるが危険度は増す。もっと安全意識があれば冷却装置が壊れても別の独立した大きなプールなら爆発も起きないだろう。こういう風に総合的に検証して行けば幾らでも安全のシステムは見つける事が出来る。
建設コストの関係でコンパクトにしなくてはならないという発想がそもそもおかしいのである。費用が掛かり過ぎると言うなら安価な発電システムではないという事になる。石油式の火力発電よりもクリーンで安価だという触れ込みが嘘だった事になるのだ。アメリカ政府からロスチャイルド系企業が独占管理する核エネルギーを使えと半ば命令されて使ったにしろ、それを安全に利用するシステムが割高になるなら日本政府も実施に難色を示せる筈だ。アメリカの言いなりではなく、独自に考察して合理的整合性のある反論があれば堂々と交渉出来る。暗黙に政治決着をつけるから政治家が国民から灰色に評価されてしまうのだ。長年与党だった自民党とその一派の官僚連中が今の原子力政策を創り上げた。今やそれを見直す時期である。(つづく)
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