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危機管理(5)

危機管理(5)

 今回の福島原発事故はスリーマイル島原発事故の上を行く大惨事になってしまい、チェルノブイリ原発事故と肩を並べるまでになってしまった。現段階での海外の危険度評価は最高レベルの一つ手前「レベル6」となっている。アメリカ政府は「福島原発から半径80km圏内のアメリカ人は国外退去を」と勧告している。これは4号炉の使用済み核燃料保管プールの水が全部無くなり空気に爆露され放射線量が異常に高くなっている(400ミリシーベルト以上)との判断からだ。他の各国も同様の判断で、迎えのチャーター機を出している。ロシアの原子力関係者からは「日本の原子力発電設計は経済効率優先」と酷評されている(旧ソ連時代に政府機関の責任者を務め、原発事故の汚染除去を担ったアンドレエフ氏の弁)。

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 安全よりも経済効率の方を重視する日本のやり方は他にも目を向ければ枚挙に暇が無い。記憶に新しい6年前の兵庫県福知山線(新しくJR東西線と改名)での列車転覆事故と同じ構図である。スピードアップを図り安全性を無視し、急カーブの線路に自動列車停止装置(ATS: Automatic Train Stop)を設けなかったが為に、制限速度の時速70kmの処を時速100km以上のスピードで突入し脱線転覆したものだった。亦、運転手の教育(日勤教育)で罰則規定が厳しくノイローゼになっていたというのも遠因になっていたと言われる。事故の直前まで長年、ボクもその路線を利用していたから急カーブに差し掛かる度に肝を冷やしたのを覚えている。言わばジェット・コースターに乗って居る気分だった。

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 JRもそうだが、東京電力も分割民営化された会社である。之も経済効率と独占禁止法から戦後、分割民営化されたのである。電力会社は、全国九つに分割され、北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力に分かれた。9電力会社は電気事業連合会を設立し、一方、1952年9月には、電源開発株式会社が発足した。沖縄電力は沖縄返還(1972)後に設立されたから日本の電力供給は全部民間会社が行っている。しかし、原子力発電のような危険を伴う事業は事故が発生した場合の事を考えると一企業では対応出来ないから国家管理が必要である。補償問題を考えれば明らかだ。ちなみに今回の補償問題を簡単に試算してみた。之を見れば驚く程の額に成る。

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 半径20km圏内の避難した人々の動産だけでも一人当たり単純に1千万円とすれば、圏内の五つの町の人口だけでも63,875人だから6,387億円となり、土地・家屋・田畑を時価で換算すれば幾ら田舎で安いとしても一戸分当たり3千万円は下らないだろうから平均3人家族とすれば21,291戸となり、6,387億円になって合計1兆2,774億となる。死の町半径20km圏内の私的資産だけでもそれだけに成る訳である。公的資産も入れると倍にはなるだろうから2兆5,548億円もの金を東京電力が負担出来る金額では無い。それは消費税1%に該当するから1年間の時限立法で1%の消費税(福島原発被害者基金)導入が検討される由縁だ。又しても国民にしわ寄せである。

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 安易な国民からの消費税1%徴収案では無く、この際、原発推進派から一人当たり1千万円の罰金を科すのが妥当という意見もあろう。述べ5万人は居るだろうから(死んだ人間は遺族から)徴収すれば5千億円は集まる。更に国会議員は給与を1年間半分にする。勿論、電力各社からも補償金を徴収する。その他、原発関連企業からも協力金を捻出させる。そうこうすれば4兆円程度は楽に集まるだろう。無責任な国会議員もそうする事で目が覚め真剣に考えるだろう。そういう態度を原発推進派が示せば国民も黙っては居ないだろうし協力もするだろう。国難を乗り切るにはそれぐらい想い切った政策を取らないと駄目だ。事故から1週間、国民はテレビに釘付けになり政府・電力会社の間抜けさと、うろたえぶりを観て来た。

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 次は国民が挙国一致して国難を乗り切る時だ。国民あっての国家である事を政府に知らしめる時である。危機管理の第一歩は国民自身が政府を監視する事である。キメ細かい目線で観れば危機は直ぐに気が付く。双方向の通信が可能に成っている現代では反応が早い。原発推進派も反対派も冷静になって今後のエネルギー政策を見直すべきだ。未だ実用化されていないメタン・ハイドレードは日本の周辺の海底に無尽蔵に転がっている。無資源国と想われていた常識が変わる時である。つまり、エネルギー輸出国に生まれ変わるのだ。折角の自然の贈り物を生かさない手はない。其処が技術立国日本の腕の見せ所である。今は悲観ばかりせず前向きに考え、甘い政府の危機管理を是正させる事が先決である。(つづく)

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