ココ の ブログ

庭の草花(3)

庭の草花(3)

 芝生も雑草の一種と書いたが、欧米では雨が少ないから雑草は余り生えず、芝生はれっきとした草(グラ―ス)の代表の地位を得ている。アメリカのある州では隣家の庭の芝生が手入れされず雑草が目立ち始めると役所にクレームの電話を入れるという。役所は調査に来て確認すると、その持ち主に罰金を科す。強制的に芝刈りをさせ雑草を駆除させるのだ。雑草の種が隣家に悪影響を及ぼすからだそうだ。そこまで徹底して芝生を愛でるのは多分、荒野か砂漠だった処をわざわざ人間の為に開発して維持している伝統があるからだろう。ネバダの砂漠に博打場(ラスベガス)を造り、周辺にゴルフ場を造っているのも総て人工的なものばかりだから一寸でも手を抜くと芝生が絶滅してしまうのだ。

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 その代わり水と肥料と薬をふんだんに撒いている筈である。あれだけの規模の劣悪な状態の砂漠に対抗して芝生を育てるには物量作戦しか無いからだ。日本のゴルフ場も別の意味で物量作戦をしていて農家に薬害がでていて問題になっている。そもそも元から無かった芝生を其処に育てるのだから大変な努力と労力が要るのである。そういう事が平気で出来るアメリカという国はとんでもない国で、日本では絶対と言って良いほど真似が出来ないだろう。先ずスケール観が違う。国土が広いという理由もあるが、道路にしても幅が広く、日本の倍も三倍もある。高速道路も10車線なぞ当たり前である。当然ながら鉄道よりも車が意識的に(国策として)移動手段として主流にされたからである。

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 それにしても、3億もの人口の半分が同時に車に乗る図は日本からすれば異常な社会である。そういう風に観れば、自然を人間の力でコントロール出来ると勘違いするのも分かるような気もする。それが昨今ではドル経済が行き詰って、テネシー川の洪水被害やハリケーンによる被害に対処出来なくなっている。金で何でも出来ると信じて来た国民が自然との対決に人間が勝てないと分かり始めたのである。月世界へ人を送った国が経済問題で立ち往生しているのだ。それでも人間の意識は急には変われないから隣の芝生の状態が気にかかるのである。日本の場合の隣の芝生と亦意味が違うのである。嫁姑の問題も違う。核家族の発祥地だけあって個人主義が家族間にも浸透しているのである。

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 今まで涙を流しながら駅や港で別れを惜しんでいた人が、相手が出発してしまうとケロリとした元の顔に戻って何事も無かったようにその場を離れる姿を我々は不思議な光景を観るように感じる。日本人なら暫くの間、雰囲気を残しているものだが、国民性の違いなのか大陸人の思想なのかドライなのである。余韻なぞ状況が変われば直ぐに消えるものと考えるのだろう。それは人の死というものに対してもドライである事を観れば分かる。銃を持つ権利を憲法で保障されているのは、西部開拓史を見れば分かる通り、自分の身を守るには銃で相手を倒さねば実現できない悲しい歴史があったからだ。所有者の無い土地を早い者勝ちで分捕った時代、その権利を護るのも銃であった。

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 その前に、白人がネイティブ・アメリカン(アメリカ・インデアン)を排除する為にも銃は必要だった。そもそもアメリカは銃で出来あがった国家だったのだ。ヨーロッパの喰いつ詰め者が新大陸に渡り、略奪から護る事で銃は正当化され、人の命は軽いものになっていた。悪事を働けば銃で殺すか縛り首にした。死刑にする程の罪で無くても見せしめに殺して行った訳である。当然そういう歴史が人々をドライにしてしまった。その流れを百年そこそこの文化でヨーロッパ並みの文化にまで引き揚げるには無理があり、50もの州それぞれに憲法があり中身が少しずつ違っても建国の理念は同じだから程度は変わらず、実践が付いて廻らなかったのだ。崇高な理念は実践してこそ文化である。

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 それは未だ完熟していない果物のような国と言う事である。だからこそ自分の身は自分で護らねば生きていけない社会では人々はドライに成らざるを得ないのだろう。ヒロシマ・ナガサキに核爆弾を落とす必要も無かったのに敢えて実験的に投下した言い訳として、あれがあったからこそ戦争は終わったのだと国民に信じ込ませているプロパガンダも単純なドライ的な発想である。直ぐにバレる嘘であっても平気で居られる無神経さを持った権力者を支持する国民性にも、アメリカという国の文化の低さを感じ取れるのである。日航機墜落事故(御巣鷹山)の原因が、アメリカのメーカーの水平尾翼の根本に在る圧力壁の修理に手抜きがあった事や、今回の福島原発事故も、原子炉メーカーであるGEの欠陥設計によるものであった事も文化の低さが招いたものであった。(つづく)

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