ココ の ブログ

目に観えない異次元世界

目に観えない異次元世界

 不思議な話である。妻が通っている歯医者の事だ。彼は、かつて仲の良かった女流画家の一人息子で、幼かった頃から弟のように可愛がっていた関係から今も歯の治療で付き合っている。昔、妻が住んでいた街の近所だった関係から相手から押し掛けるようにやって来て一家と付き合いが始まったそうだ。女流画家は20年ほど前にパリで個展を開いて帰国して直ぐに癌で亡くなってしまった。享年57歳だった。ボクに言わせれば下手な絵描きだったが、霊感が強く働く人で、それをモチーフにして日本画を描いていた。簡単に言えばシャガールのような幻想的な絵で、ボクも婚約時代から何度も会った事があるが、変わった人だったという印象がある。事業で成功したご主人も彼女が亡くなって数年後に病気で亡くなっている。

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 親の残してくれた莫大な遺産があるので商売気の無い歯医者だが、根が真面目だから研究熱心で患者の評判もよく大いに流行っているという。妻もわざわざ遠くまで電車に乗って治療に行く理由は、親しく気楽だという他に腕前も信用できるからだろう。その歯医者が先日、治療が終わって、ふと「玄関の廊下の右手に、静物画が掛かっている?」と訊いたそうな。彼は、我が家を知らず、母親も生前に訪ねて来た事も無かった。勿論、是まで家の話なぞしていないのだが、彼も母親に似て昔から霊感が働く事は妻は知っていたから驚く事も無く「掛かっているわヨ」と応えると「是非、携帯で写真を撮っておいてネ」と言う。次回の治療時に撮った写真を見せると「あ!これこれ、やっぱりだ」と夢記録ノートと比較しながら言った。

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 「絵が、どうしたの?」と聞くと「お母ちゃんが夢に出て来て言っていたから」と応えたという。妻は、その絵がどうしたのかとは訊かなかったそうだが「◎◎さん(女流画家の名前)が、まだ浮遊霊で、この辺をさ迷っているのかしら?」とボクに言うのだ。もう20年も経っているのに今頃どうしてかと想うのが普通だが、ボクには分かる気もする。というのは、ボクは生前に女流画家の四柱推命を鑑定したことがあって、命式表(その人の運勢の構造図のようなもの)と大運(一生の運勢)表を渡しておいたのだが、彼女にすれば自分の身体の不調から来る寿命を肌で感じながらもボクの監定表と比較検討し、彼女なりに期待をしていたようなのだ。それはパリに行く何年も前の事だった。

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 そして、パリから帰国して入院していると聞いて妻が友人と一緒に見舞いに行くつもりで居る日の前日に彼女から電話があり、ひとしきり絵の話をした後「なんでやろ?」と自分の大運表と現実が合わない事を訊いたという。その頃はボクは東京へ単身赴任をしていて家に居なかったから、妻も応えようがなかった。翌日、見舞いに行く為に喫茶店で友達と落ちあい「昨日の電話の声では元気そうだったから、◎◎さんの事だし何時頃退院かしらネ」と冗談を言いながら病院へ行くと正に息を引き取った直後だったという。歯科医の息子が「昨日、電話であなたと話した直後、容体が悪くなって・・・、あれが最後の会話でした」と涙ぐんでいたのが信じられなかったと後日、妻から聞かされた。

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 仮に、自分の寿命が尽きるのが信じられず、ボクの大運表に頼っていて、急死で意識が身体と遊離していたとするなら、浮遊霊となって今もこの世を漂っているとボクには想える。先月の東北大震災で一瞬にして何万人もの人々が亡くなった中にはそういう人々も居たであろうし、浮遊霊となって家族や友人・知人の周りに漂っているとボクには想えるのだ。それは自然界が生み出すものではなく人間の想念が微弱な電子、もしくは物質となって発せられ、感度の良い受信者に伝わる現象なのだろう。虫の知らせとか第六勘というのがそうだ。人間は亡くなる瞬間、微量ながら体重が減るという実験データがあるから、減った何か(霊的ガスの発散?)が命の根源であるのかも知れない。

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 我々は目にするものしか信じられないのが一般的だが、そういう微弱な現象や、放射線やアルファ(α)線、ベータ(β)線、ガンマー(γ)線だって観えないからと言って無視する訳にも行かないのだ。ブラック・ホール(反重力物質)だってそうだ。それらが可視的になれば人々は信じるかも知れないが、観えたからと言ってその本質を理解していなければ観えないのと同じである。ボクも妻も浮遊霊を観た訳でもないが、様々な話や現象から信じざるを得ないような体験が多々ある。今回の絵の話も、そもそも彼と初めてそういう会話をしたのは何かそういう力が働いたのではないだろうか。「それで、◎◎さんは何を言いたいの?」とボクが訊けば「さあ、分からないわ」と妻は言うが、案外「なんでやろ?」と尋ねに来て、息子に夢で伝えているのかも知れない。

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